5年生になった
「みんなみたいにゲーム機が欲しい」
そう源次郎は望む
これまでに辞めた
学習塾、HIPHOPダンス、スイミング
この喪失感の
埋め合わせをしたいのだろう
ゲーム機を与えるだけでいいのだろうか
何も習い事が無くなって
半年以上が過ぎた頃
ボクは源次郎に
「何かやってみたいことはないの?」
と聞いてみる
すると
「もう勉強とかスポーツは嫌だ、書道ならいいよ」
意外な返事だった
点数や偏差値、順位が付いたり
競争することはしたくないのだと思った
確かに筆で字を書くのは
低学年から好きだったみたいだ
「よし、書道教室へ週に1回行こう!
任天堂スイッチを誕生日にプレゼントする!」
源次郎を縛り付けていた自分を反省した
ボクは
「義父の操り人形」だった
そして
源次郎を
「ボクの操り人形」にしていたのだ
自分の道は自分で見つけてくれ
親が決めることはしない
お前は義父の子どもじゃない
オレの子どもなんだ...