お世話になっております。仰秀新3年の木藤です。
アニオルズカップが終了しました。結果は2位でした。ディフェンディングチャンピオンにとって優勝以外は全て同じ結果。ノーレースとなった初日の強風を忍んで迎えた2日目レースは5レース。前半レースで連続の2位、中盤で1位を連取し、宿敵神戸大と同点で迎えた最終レース、結果は神戸のトップフィニッシュ。数字だけを見れば接戦でしたが、内容は終始神戸に押され気味の展開でした。1・2レースは圧倒的な差で神戸に先行され、3・4レースはケースで優って薄氷を踏むトップフィニッシュ。最終レースは不運なケースに巻き込まれたとはいえ、総合的に神戸大が優っていたことには認めざるを得ない事実です。タックの精度、ランニングのボートスピード、スタートのシークエンス、コンディションごとの対応力、悔しいですが、神戸大に実力的に先行されているなと実感した点は枚挙にいとまがありません。悔しい結果となりましたが、我々の最終目標は全日本選手権での総合5位。今後も精進したいと思います。
p.s.
最後に神戸大の皆さん、優勝おめでとうございます。防衛大、合同チーム、運営の皆さんも良いレースをありがとうございました!来年もよろしくお願いします。
木藤大和
第五レースのケースについて
最終レースのケース、悔しい思いはありつつ、ケースとしてもかなり興味深かったので、客観的な観点として記録用にこのブログに残してみたいと思います。
ーケースの状況と経過ー
最終レースは我々と神戸で首位を争っていたので、東大と神戸大のマッチレースのような様相になりました。
スタートで神戸に先行された東大、色々とあってスタボクローズで両艇ラップを持ち並ぶ形になりました。
状況としては上側に神戸、下側に東大。ゲージは初めは2挺身ほど。その後、ポートレイラインが近づくなか、神戸は東大を追い出しにかかり(東大はタックできない位置でした)ましたが、段々と東大のバウが前に出てくるようになってラップが切れるようになりその後ポートレイラインちょうどくらいで完全にラップが切れてさらに東大と神戸のレーンが同じになるくらいになりました。(ちょうど完璧なクリアスタン・ヘッドの位置関係)ここで問題になったのが、タックできるかどうか。本当はこの時点で既にポートレイラインをかなりオーバーしていたので東大としてはas soon as possible でタックをしたかったのですが、東大のスタンと神戸のバウの距離がなんとも絶妙でレーンも東大が上というわけでもなくジャスト同じか若干下という状況。果たしてタックできるのかというところで、結論としてはそこでペナルティを受けるのを恐れて完全にレーンが上になるのを待ってタック。ちょうど同タイミングで神戸もタックし、ラップを有したまま、神戸が下、東大が上でポートアプローチ。もちろん大分オーバーしているので神戸に度々下をかけられながらもラップを有したまま上マークの3艇身ゾーンに突入。東大は下側の神戸大にマークルームを要求し下るように要求します。しかし、ちょうど我々が3艇身ゾーンに突入する前後にマーク付近では合同チーム・防衛大の2艇がマークを回航しており、我々がオーバーしてポートアプローチしていたこともあり、回航した彼らと正面から向き合う形に。初めに回航してきた合同チームが神戸の下を通ったため、東大がマークルームを要求している中で神戸大は合同チームにふさがれた下にバウを向けることができず、避けるためにラフィングして接触を回避。その時点で東大は合同チームの状況を把握しておらず3挺身ゾーンにもかかわらずマークルームを与えずにラフしてきたという点で神戸にプロテストの意思表示をおこなったものの、神戸大が合同チームを避けて微妙にラフし我々がマークルームを要求していたところ、合同チームの数挺身後続から防衛大がマークを回航し、突如発生した正面の障害物に対し、神戸大は合同チームと防衛大の間を縫ってベアして避け、そのまま回航。東大は下に神戸大をおき防衛大を避けるルームがなかったため、咄嗟の判断でタックし、防衛大と軽い接触をしたのち一回転をする形で遅れて回航という形になりました。東大はアンパイアーに対してプロテストの意思表示をしたつもりなものの、「アンパイアーから赤旗が視認されず」という結果。
今レースはアンパイアー制のもと行われたレースであったため、レース後の審問は認められずそのまま順位決定となりました。
ーアンパイアーの「個人的な」見解ー
後からアンパイアーに仮にプロテストを海上で視認したとしての仮の想定での、公的ではない「個人的な見解」としてたまわった言及は以下の通り。
「まず、神戸大に関しては合同チームを避けるものとしてラフし、その結果としてマークルームを与えられなかったという点で免罪され、ノーペナルティ。防衛大に関してはあり得ることにはマーク回航は進路変更であるため仮に東大と明確な接触があればペナルティを与えられるが、今回のケースでは東大がレース展開を度外視し、接触を回避するために全力を注いだ結果の一回転があったとはいえ、「レース展開には関係なく衝突を避けられた事実がある」という点を考慮し、「避けるルームがあった」と捉えて防衛大に対してもノーペナルティー。よってグリーン&ホワイト旗を掲揚する。セーラーとして接触を回避するための最善の行動をとったことに対して称賛に値する。ケースとしては君たち(東大)にとって不運だった。」
ー仮の想定ー
では東大にとってはどのようにするのが正解だったのか。
一つの論点として上がったのは「①防衛大をラフではなくベアをして避けたらどうだったのか」一旦現実の状況を度外視し、ルールに則したロジックで考えると東大が防衛大を避ける際にラフ・タックではなくベアして避ければ「進路変更をしている」防衛大が避けるべき存在として扱われるため、防衛大が避けて東大はマークルームを要求してインサイドをとれたのではないかという仮説である。これはルールに全面的に即して考えると最善の策だったように考えられるが、現実問題として東大がベアして防衛大が避けれる状況にあったかを動画を参考にしながら検証した結果、仮にその策を選択していた場合は衝突は免れなかっただろうと我々は考えたしアンパイアーも同様の見解を示した。この点で我々はセーラーとして船の衝突を避ける最善策をとったものであり、それ以外の選択肢はなかったと考えられる。もう一つの論点はそもそものケースが起きた原因は過度なポートアプローチのレイラインオーバーであるという点である。過度にレイラインをオーバーした原因は神戸とクリアスタン・ヘッドの関係になった後のタックタイミングにある。つまり「②レイラインタックのタイミング」が東大が勝つための選択肢の一つだったのではないか。ここでポイントになるのがクリアスタン・ヘッドになったタイミングで早々にタックできたのではないかという点にある。これはレーサー的な観点となるが、この時点でヘルムスマンは「タックできる」という判断をしていて、他のメンバーは「この位置のタックはリスキー」という見解を持っていた。アンパイアーからの「レーサー」としての見解でも「レーサーとして述べればあの時点で早々にタックできたのではないか」というものだった。この点に関しては意志判断としてあの状況で「確実にタックできる」とチーム全体で確信できるほどの技量的実力が不足していたということが敗因と言えるだろう。
以上
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます