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バラの花を追っかけるシニア

18世紀末、中国からヨーロッパへ「庚申バラ」が渡りバラの進化に革命をもたらしたとは?

18世紀末から19世紀初頭のヨーロッパでのバラの栽培は、「オールドローズの基本4種」と呼ばれていた「ロサ・ガリカ」「ロサ・アルバ」「ロサ・ダマスク」「ロサ・ケンティフォリオ」の品種群が中心であった。(前期オールドローズ時代) 一季咲きで花期も短いものであった。又、ヨーロッパのバラは、赤いバラと言ってもピンク系、紫系の赤では無かった。
18世紀末頃から19世紀初頭、中国からインド経由でヨーロッパに渡ってきたのが庚申バラ(Rosa  chinensis)(インディカ節)で、四季咲き性、鮮やかな赤と画期的なバラが現れて、交配が進みこれ迄にない多彩で四季咲きの品種を人工的に生み出す道が開けた。18世紀終わりから19世紀初頭に4種類のバラの紹介によりヨーロッパのバラ界には画期的なことであり人工交配の技術も進歩、19世紀には新たな品種が爆発的な勢いで増えて行く事となる。(後期オールドローズ時代)

最初にヨーロッパに紹介された中国の4種のバラは以下の通りです

1)スレイターズ・クリムソン・チャイナ(Slater’s Crimson China)[ロサ・キネンシス・センペルフローレンス(Rosa chinensis senperclorens)]
浜寺公園バラ園

2)パーソンズ・ピンク・チャイナ(Parsons’ Pink China)[オールドブラッシュ(Old Blush)]

浜寺公園バラ園

3)ヒュームズ・ブラッシュ・ティー・センティッド・チャイナ(Hume’s Blush Tea -
scented China)

浜寺公園バラ園

4)パークス・イエロー・ティーセンティッド・チャイナ(Park’s Yellow Tea -scented China)

浜寺公園バラ園
      1)2) ロサ・キネンシス系   3)4)ロサ・ギガンティア系
画期的な貢献をした4品種を「フォー・スタッド・ローズ・オブ・チャイナ」と呼んでいる


新たに誕生した系統とは?  フロー図の水色の系統

◉ポートランド系統(Portland Rosa)
チャイナローズの四季咲き性がヨーロッパに導入されて交配に関わった最初の系統であるとされている。上記フローで示す通り、オータムダマスクにスレイターズ・クリムソン・チャイナが交配され誕生した系統と考えられている。四季咲きのあるものやないものがあり木立性もあるがこの段階では完全な状態ではない。枝の伸び方と四季咲き性は密接な関係がある。

ジャック・カルティエ Jacques Cartier
 ポートランド系統 Portland 作出:  1868年 フランス ロベール&モロー
開花:         返り咲き

鶴見緑地バラ園

◉ブルボン系(Bourbon Rpse)
ポートランド系と同様にオータムダマスクにチャイナローズが交配されたと考えられており、チャイナローズは恐らくオールドブラッシュであろうとされている。
発見された当時の場所がブルボン島だったことからそれが系統名になった

レーヌ・ビクトリア Reine Victori    ブルボン系統 Bourbon
作出:  1872年  フランス
浜寺公園バラ園

◉ハイブリッドパーペチュアル系(Hybrid Perpetual Rose)
オールドローズの中では最もたくさんの種類がある系統である。上記の系統が複雑に交配されて成立したものです。パーペチュアルとは繰り返すことを意味し、かなりの四季咲き性あることことで名付けられました。花の大きさや、葉の色や艶など現代バラにかなり近い感じですが四季咲き性も秋に少し咲く程度である。
オールドローズ最後の系統となる

マダム・アルフレッド・ドゥ・ルージュモン
Madame Alfred de Rougemont
HP       ハイブリッド・パーペチュアル系統
作出:    1862年 フランス ラシャルム

浜寺公園バラ園

◉ティー系(Tea Rose)
ロサ・キネンシスにロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)が自然交雑されて誕生したものと考えられている。多くは木立性で四季咲き性がはっきりとあり、弁先が尖る、いわゆる剣弁咲きになるものが多い。ギガンティアから引き継いだティーの香り(紅茶)がする。
上記フローの通り、ティー系統とハイブリッドパーペチュアル系統が交配されてモダンローズ第1号ハイブリッドティー系統のラ・フランスが1867年に登場した

アルシデュック・ジョセフ  Archiduk Joseph
 ティー系統(Tea)      作出:  1892年 フランス 咲き方:  四季咲き
中之島公園バラ園

◉ノワゼット系(Noisette Rose)
チャイナ系のオールドブラッシュにロサ・モスカータが交配され誕生した系統である。モスカータは遅咲きなので夏から秋口まで咲くものも多い。鈍い黄色系の花色もある。

    品種名:ブラッシュ・ノアゼット Blush. Noisette
作出:1814年 アメリカ 
浜寺公園バラ園

◉ポリアンサ系(Polyantha Rose)
日本のノイバラ(Rosa multiflora)にロサ・キネンシスが交配されて小輪だが花数の多いポリ(たくさん)アンサ(花)系となった。はっきりとした四季咲き性があり、ノイバラの強健さを受け継いでいる。

パクレット  Paquerette
Pol.     ポリアンサ系統 作出: 1875年 フランス 咲き方:四季咲き
浜寺公園バラ園

◉ランブラー系(Rambler Rose)
日本の野生種テリハノイバラ(Rosa luciae  旧名称Rosa wichuraiana)の伸びる性質を利用して改良されたもので、これがさらに進展してモダンローズのつるバラとなる。

以上が中国からヨーロッパへ渡ったチャイナローズを中心に新たは系統が確立されたものです。他にもブールソール系、エアシャー系などありますが限られた所だと推測します。

ランブラー系に
・Hmult  ハイブリッド・ムルティフローラ系  
 ☞ノイバラ、ロサ・モスカータ、サ・セティゲラ 等を交配親とする品種群
・Hwich  ハイブリッド・ウイックライアーナ系 
 ☞テリハノイバラを交配親とする品種群

以上、後期オールドローズの系統でした。ランブラー系のHwichはオールドローズには該当しないと思われます。

参考までに、主な系統のフローで纏めてみました。


🟡黄色いバラの系統はどうなのか?
黄色のバラの野生種はないわけではないがその花色を改良していくことに困難があった。また、ノワゼット系やティー系にみられる淡い黄色の花色はパークスイエロー・ティーセンティッドの血を引き、鮮やかな黄色ではなかった。他にも中国原産種、ロサ・フゴニス他存在していた。鮮やか黄色ではなかった。
ヨーロッパで黄色のバラが見られる様になったのは1837年に「ペルシャンイエロー(Rosa foetida persiana)が初めて伝わってからです。
西アジア辺りに“ロサ・フォエティダ(Rosa foetida)“という鮮やかな黄色の野生種があり、これの変種で八重咲きの”ロサ・フォエティダ・ペルシアナ(Rosa foetida persiana)がある。フランスのペルネ・ドゥシェはこの「ペルシアナ」と「ハイブリッドパーペチュアルを交配することにより、長い歳月をかけてやっと大輪八重咲きの橙黄色のバラ「ソレユ・ドール」(Soleil d’Or)を1900年に作り出した。これがさらにハイブリッドティーローズと交配されることで現代バラに黄の花色が導入・完成したのである。この後、ソレユ・ドールが交配に関わり、ペルネが作出した品種については、ベルネ・ドゥシュの名をとり、ベルネシア系と呼ばれていた。
今日の黄色のバラを遡ればここに辿り着くことになる。

ロサ・フェティダ  Rosa foetida
中近東原産の珍しい純黄色の原種です
   系統: 原種(Sp) Species  作出國: 中近東・カフーカス山脈山麓の丘陵地に自生
   発見は: 1542年以前 成長形態: つる性 咲き方: 一季咲き 花形: 一重咲き
   ピンピネリフォリア節
   黄色種の祖となった原種

咲くやこの花館高山植物室

枝変わりにより生まれた

ペルシアン・イエロー  Persian Yellow
(ロサ・フェティダ・ベルシアーナ Rosa Foetida Persians)
黄色のバラの祖として重要な品種
系統: 原種(Sp)  HFt.   ハイブリッド・フェティダ系統 Hybrid Foetida
   作出: 1838年以前  咲き方:一季性 成長形態:つる性 花形:八重咲き

浜寺公園公園バラ園

以上 黄色にまつわるお話でした






バラ専用のblog開設しました
よろしくお願いします

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