今日の写真は4日前の四倉で山下博士と坂本県議と松村氏と高橋社長と日本原子力機構委託研究で高温好気堆肥システムによる放射能の減溶化実証実験の打ち合わせの時の写真です。このプロジェクトは年明け早々から始まりますので、建設資材の調達から施工と管理の話までみんな真剣でした。横須賀のNPOのYさんからの支援物資を笑顔で受け取る彼と、高橋社長にごちそうされた海鮮丼を喜ぶ彼の3枚を選びました。。
NO-45
1月1日昨日の夕方に彼から二度目の連絡がきて、4時半から30分間くらい話しをした。彼から電話が入る時は何かあった時で必ずその理由があるのだ。「二度目の牛の水やりを今、終えてきたところだ」と言ったが、彼は朝には氷が張った外にいてトラックのシガレットライターに差し込んだ携帯充電器に携帯を繋ぎ一気に話してくれた。
「今日二度目の牛の水をやりに行って、今、たてごを切って来た!」と・・・たてごって何?って僕が聞いたら、あの大震災の時に生まれていた子牛に取り付けられた縄?鼻に輪(鼻かん)を付けられない子供に口から耳を通して首で固定して子牛をひくときに必要なのだが、それを切って来たと言った。
あれから、もう10ヶ月が経とうとしていて子牛も大きくなって、そのたてごが顔に食い込んで顔のその部分の肉が腐っていて化膿していたのだ。水が欲しくて寄ってきたのを彼は無理やり捕まえて、そのたてごを掴もうとするが肉に食い込んでいて捕まえたつもりでも、そのたてごをなかなか掴めないでいた。
彼は「このまま放置してはこの牛も死んでしまう」と牛を捕らえたまま何とか捕まえようとそのたてごなる物を掴み、指に力を入れてギュッと握った。まだ大人の牛になっていない牛といっても暴れられたらに簡単に彼は指を折られてしまうからだ。
ようやくたてごをたぐり、牛の角の辺りで飼料の袋を切るために携帯しているナイフでたてごなるものを切り、1mくらいの長さの紐(ロープ)みたいになったものを柵に結び牛の確保に成功した。
動きを制限された子牛が嫌がって強引に首と体を振った時に、腐った牛の顔の中に食い込んでいたたてごも切れたのだが、子牛の顔の肉も削がれて牛の顔は血だらけになったと言う。それでも、子牛にとっては命拾いである。彼に聞いたら「子牛がもっと大きくなったら、首まで圧迫されて完全に死んでしまうから」と言った。
「こんな牛がまだまだいるんだ。だけど、捕まえに行くと逃げるから捕まえられねえんだ。逃げなきゃ助けられるのになあ」と。僕は血だらけの牛は大丈夫なのか?と聞いたら「2~3日はひどいべえ、だけど大丈夫だべ!」と、一つの命を助けた男は言った。正直元旦から、こんな話を聞くとも思っていなかった僕だった。
自分ではとても出来ないことをやって来た彼に、「松ちゃん、ありがとう!ほんとにお疲れさま。」と自然に口から言葉が出てきて、血だらけの牛の顔を想像した。でも、冬で良かった。夏では腐った肉に、もっとひどい状況が訪れていたのではなかったろうかとも思った。
彼はいつも一人だから、その映像も無くブログを見てくれるみんなに、僕のヘタクソなこの書きコミしか無いので、いつも彼には悪いな~と思っている。もっと、彼の大変さとか凄さとかうまく書けたらいいのになあ。(反省)
牛の鼻先に食い込んだところは、顔の肉がズタズタに切れて酷かったらしいが、この冬の寒さで血も止まり腐ったところは傷が残っても治っていくみたいだ。彼も言っていたが、動物の生命力や自然治癒力は知っていても僕は農家の出身でなく、何の知識も無いからいつも驚いてしまう。
そんな彼に今日は夕飯に何食べるの?と聞いたら、朝のメニューと同じカップラーメンだと言った。毎日朝と夕の一日二食である。ご飯を炊けよ!と言ったが、あの水の冷たさを考えたら僕にも米とぎなんて出来ない。だから、このことにはあまり文句を言えない僕がいる。
5日の日はおもちとおかずを持って行こうと思う。震災後半年で10kg痩せたのはわかっているが、こんな食生活では本当に何年か後に病気になってしまう。うちのかみさんも心配して、帰るたびに何を食べさせようかとおかずを考え懸命になっている。
今日の彼の言葉で、一番僕のハートに響いたのが「俺もまさか富岡町で、たった一人でお正月を迎えると思わなかった。俺は何も悪い事してねえのになあ・・・」このひとことが一番だった。寂しいお正月にかわりはなく、同情した僕だった。
今日の最後に、昨日もコメントでご指摘された富岡町の役場の住所を、税務課の郡山出張所の住所で紹介していましたのでみなさんに謝りたいと思います。本当に申し訳ありませんでした。正しい住所をお知らせいたします。〒963-0115福島県郡山市南2丁目52番地ビックパレット内TEL0120-33-6466です。
募金をしていただいた皆様には、ユーチューブで募金への感謝の言葉を述べる松村直登を見て下さい。昨日のブログをまだお読みいただいていない方に、前回ご支援をお願い致しました足場組用の資材は、役場でなく四倉港あたりでお引き受けしたいと考えていますので、こちらもどうぞ宜しくお願い致します。
それからみなさん、明日福島に帰りますので1月6日頃ブログを再開する予定でいます。みなさんにはいいお正月をお過ごし下さればと願っています。それでは、また会いましょう。
ところで、ももこひめさんのブログに、カナダの全国紙、『ザ・カナディアン』が、福島の動物に関心を示していて、記事を求めているらしいという情報がありました。もしよければ、松村さんが動物を助けていること(SOSを発信していることや銀行口座もよろしければ)を書いて投稿しますが・・・。もちろん、掲載されるとは限りません。たくさんの人たちが書くでしょうし・・・。いかがでしょうか?
もう多くの海外メディアが取り上げていることですし、不要ということでしたら投稿しませんが・・・。ももこひめさんによると、どういう形でかわかりませんが、カナディアンは基金を募ることも検討中のようです。
情報をありがとうございます。是非僕たちに代わって呼びかけしていただきたいと思います。どうか、宜しくお願い致します。
ときぶーより。