大学を卒業して
某大手紳士服会社に入社した
いきなり配属された店は神戸
右も左も解らずに
社員寮とは間違っても言えないくらいの
オンボロアパートで先輩と二人暮らし
先行き不安なスタートだった
けど、仲間がいた
同期の社員が3人
毎晩近所の定食屋で
あーでもない。
こーでもない。
って自分たちの夢を話し合った
少しだけ仕事にも慣れてきた時
海外からの幹部候補生として
二人の台湾人がやって来た
1人はノウハウを学ぶ為に
もう1人は本当に服が大好きで
店長になる夢を持った
何だか憎めないやつ
だけど、その時の店長は
全く二人を受け入れる気はなく
みんなの嫌がる雑用ばかりをさせていた
そんな時に新入社員強化合宿が行われ
た
みんな厳しい研修に耐えるなか
国籍や年齢に関係なく深い絆が生まれ
全員が仲間になった
研修が終わってから
再び店舗に戻ったけど
みんなの気持ちは違ってた
全国に300人の仲間がいる!
それだけで何だか力が沸いてきた
台湾からの2人もきっと同じ気持ちだった
そして数ヶ月が経ち
2人も接客して売り上げを上げて
国に帰らなければ行けない…
そんな中
やはり店長は相変わらず雑用ばかり…
これでは接客すら出来ない
他のみんなもやっぱり最後には自分の
事しか考えない…
そんなのに嫌気がさしたから
雑用を変わって
売り方は解ってるよね?
だったら今まで我慢してたぶん
思いきり売っておいで!
って売場にだした
あなたは?
って聞くから
平気平気!
ってニッコリ笑って背中を押した
同期の三人は事あるごとに
そんなのやらせてお前も売場に立たなきゃ!
と忠告に来たけど
あの二人がお客さん取られない様に助けてやってくれ!
と追い返した
閉店の時間が近づき
その日の売り上げは0だな?
と思ってた時
台湾人の1人が
オレの手を引っ張って
売場に…
そして
ある夫婦のお客さんの前に
連れて行って
ワタシハタイワンカラノ
ケンシュウシャインデス
ナノデウマクセッキャクガ
デキマセンノデ
センパイニカワッテイタダキマス
スミマセン…
とわざと下手くそな日本語を喋り
作業場に走り去った
馬鹿野郎!
嬉しくて悔しくて
涙を我慢して
接客した
そして作業場に戻り
何でわざとあんな事したんだよ!
オレは平気だって言ったじゃん!
すると
あなたは本当の友達だから
って笑った
あれから20年以上経つけど
きっと今でも服が大好きで
立派な店長になったに違いない
新型コロナ
大丈夫だったかな?
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