(大内山下の東屋からの眺め)
4年前、東秩父村大内沢上ノ貝戸地区にある花桃の里に訪れたことがあった。元々大内沢集落はみかん栽培で有名な土地だったのだが、増えてきた耕作放棄地に対応するために花卉園芸を始めたのが花桃の里が出来るきっかけとなった。福島市の花見山には負けるものの、花桃・レンギョウ・山桜・菜の花が共演する様は見事であった。今年は2月の大雪の影響で、武甲山などの1000mを超える山はまだかなり雪が残って危険な状態らしい。雪が融けていそうで、また雪が残っていても危険が無さそうななだらかな山が連なる外秩父の山を歩こうと思った。東秩父村のライヴカメラを見ると花桃の里もちょうど見頃のようだ。そこで秩父高原牧場に上がって、グミの木峠から花桃の里へ下りることにした。
東秩父村の花桃の里パンフレット
これまで秩父高原牧場へ行くときはいつも大霧山を越えるルートを通っていた。しかし今日は花桃の里がメインなので、山は手短に済ませたい。候補としては粥新田峠(かゆにたとうげ)を越える峠道があるのだが、今回は西武バスの高原牧場入口バス停から歩き出すことにした。西武秩父駅に着き、皆野三沢線のバスを待つ。あまり本数が多い路線ではないのだが、結構利用者は多い。古い町並みの残る秩父市街を抜け、横瀬町へ入る。再び秩父市に入り、金昌寺を過ぎると定峰への道を分ける。秩父一番札所である四萬部寺(しまぶじ)でボク以外の全ての乗客が降りた。皆札所巡りの参拝者だったのだ。四萬部寺から坂道を上がり、曽根坂を越えると高原牧場入口(旧・広町山十前)バス停のある広町集落に着く。かつて広町山十前バス停と呼ばれていたのは、バス停前にある商店の屋号が山十であったことに由来する。
(広町集落を望む)
広町から秩父高原牧場へは入山集落を通って粥新田峠のやや南に出る関東ふれあいの道を通ることが多い。しかし皆野町が設定した江戸巡礼古道を通って直接粥新田峠へ至る道もあるようだ。違いとしてはやや江戸巡礼古道のほうが舗装路が多く、距離は短い。関東ふれあいの道は多くの人が紹介していることもあり、江戸巡礼古道を通ることにする。道標にしたがって舗装路を進み、寺山の子安観音を過ぎると再び道標があり、山道に入る。ショベルカーなどで作ったような広い九十九折となっていて、林道のようでもあり、他方で峠道のようでもある。落葉樹と杉檜の混合林となっており、雰囲気は悪くない。しばらく登ると民家の庭先らしき所に出る。住人の小母さんが庭の手入れをしていた。小母さんに挨拶して庭を回り込むと建物の向こうに武甲山の眺めが広がる。春先にしては空気が澄んでいる。
(この道標が目印)
(雑木林の道 九十九折になっている)
(民家の庭先に出る)
(庭先から望める武甲山)
民家を過ぎると舗装路に出る。馬頭観音の供養塔や小さな祠があり、古い道であることを思わせるものもある。暗い林間の道を抜けるとパッと周囲が明るくなる。秩父高原牧場の入口に出たのだ。周囲には牧草地が広がる。特にゲートなどは設けられていないが、入口には看板が立てられ、一般車の通行自粛を促している。入口の側には榛名神社があり、散り際の桜と檜に覆われた神社との対比が良い。案内板によると室町時代の頃からある神社であるらしい。
(榛名神社前に咲く水仙)
(秩父高原牧場入口 ゲートなどは特にない)
(榛名神社)
(牧場内の桜)
(牧場入口のパノラマ)
牧場の道路は開けた所を通るので、振り返れば両神山や二子山・毘沙門山などを眺めることができる。514のピークを巻いたカーヴで南側の展望が大きく開ける。丸山から金昌寺へ延びるなだらかな尾根の上には段々畑状の武甲山が顕著だ。武甲山の背後は奥多摩・奥秩父の山並みがまだ白く雪を被っている。秩父市街地の眺めも良い。
(両神山が見える)
(右に二子山 中央奥はおそらく毘沙門山と思われる)
(カーブで武甲山が見えてくる)
(武甲山)
(秩父・横瀬の市街地)
(牧場施設も見える)
(パノラマ)
北側が崖地となる辺りから道が砂利混じりとなる。舗装が無くなったため、抉れて水溜りになっている所もある。592のピークを巻き終わり、ヘアピンカーヴが連続する辺りは広い牧草地になっている。ここも武甲山の眺めが得られる。大きな巾着状のカーヴでは開けた牧草地の丘が広がる。このカーヴが終わると見慣れたお地蔵様が見えてきた。粥新田峠に到着。のんびり歩いて一時間強となかなか歩きやすい道だったと思う。
(砂利交じりの道)
(牧草地の中を行く)
(振り返れば武甲山)
(牧草地の丘)
(粥新田峠にあるお地蔵様)
秩父高原牧場の中心である彩の国ふれあい牧場までは一般的には車道を歩いていくことになる。でも正直車道歩きは怠い。そこで粥新田地蔵の裏から山道を登っていく。尾根道は鉄塔管理道となっていて、藪や下草が無く、とても歩きやすい。鉄塔のある辺りは広く伐採されている。道路を挟んだ向かいの尾根にも鉄塔が立っているのが見える。牧場のバラ線を避けつつ、一旦車道へ下りる。管理道を示す黄色いポストが向かいの尾根にも立っている。尾根道を上がると鉄塔が見えてきた。鉄塔下へ下ると東側の眺めが良い。採掘工事が行われている観音山の麓に見える集落は小安戸辺りか。北に延びる送電線の先には虎山の千本桜も見える。どちらも花盛りで春爛漫の景色が心地いい。管理道は山頂から尾根を外して下っていってしまうので、車道へ戻り、牧場内を進む。
(鉄塔管理道 とても歩きやすい)
(74号鉄塔下の様子 車道向かいの75号鉄塔も見える)
(75号鉄塔からの眺め)
(おそらく小安戸辺りと思われる)
(虎山の千本桜も見える)
ポピー畑への道が分岐する辺りは広い牧草地になっていて、特に西側の眺めが良い。手前には土饅頭のような蓑山が横たわる。その奥はギザギザとした両神山、双耳峰のような城峯山と鐘掛城、更に背後には御荷鉾山、真っ白な浅間山が望める。眼下に見える宝登山はかなり小さい。栗和田方面から延びる道路は舗装し直していて、クルマは二本木峠方面から来るしかなさそうだ。水仙咲く道を登っていくと今度は東側の眺めが良い。振り返れば笠山・堂平山・大霧山の比企三山が並び立つ。春霞の中にシルエットが浮かび上がる筑波山も辛うじて眺められる。
(ポピー畑への道との分岐)
(左・御荷鉾山 右後ろ・浅間山)
(城峯山)
(両神山)
(毘沙門山と二子山)
(後ろは上信国境辺りの山だろうか)
(左手前は宝登山)
(手前は蓑山)
(パノラマ)
(水仙咲く道)
(中央は笠山 その後ろは堂平山)
(笠山方面のパノラマ)
(筑波山)
中心部へやって来ると牛乳やソフトクリームを売るミルクハウス、農産物直売所やふれあい動物広場のあるモーモーハウスなどがある。ブログを始めてから何度か訪れているが、いずれも寒い時期でミルクハウスや直売所は休業中であった。今日はミルクハウスで開店準備をしており、店員さんに話を聞くと今日から開店だという。ちょうど良いタイミングだった。ソフトクリームを買い、ベンチでのんびり味わっているとお客さんがちらほらとやって来た。開店直後でまだ少し早い時間なのだろう。ミルクハウスで売られている牛乳やソフトクリームは県内他の農場で取れたものを出しているらしい。まあそれはともかくとして美味しい。
(売店が建ち並ぶエリア)
(ソフトクリーム 濃厚な味でした)
売店の近くにはトイレが無く、100mほど丘を登ったモーモーハウス内に設置されている。冷たいものを食べたらちょっと催してきた。緩い坂を登ると羊の小舎が見えてくる。羊たちは餌に夢中で側を通りかかった小父さんの柏手にも全然動じる気配がない。ちょっと寂しい。牛はもう少し暖かくなると下界から連れて来られて高原牧場内に放牧される。牛が見たかったらGWの頃が良いだろう。車道を横切り、東側斜面にあるモーモーハウスへと移動する。おっ、柵の向こう側に入っている観光客がいるぞ。彩の国ふれあい牧場と書かれた看板横から牧草地に入ると山羊とのふれあい広場になっている。のんびり寝そべる山羊、牧草を食べる山羊、子供たちに触られて迷惑そうにしている山羊…。もふもふしてて可愛いぞっ。モーモーハウスの敷地内にはウサギも飼われているが、こちらはゲージに入っているので、触れ合うことはできない。残念…。建物の中は休憩室や展示室となっていて、ふれあい広場と同じく家族連れが多い。さて、トイレも済ませたし、出発しますか。
(スカイツリーも辛うじて見える)
(羊 お尻が可愛い)
(山羊)
(ふれあい広場と笠山)
(ウサギ)
(モーモーハウス内)
モーモーハウスを出て、しばらく車道を歩く。皆野町と東秩父村との境界付近から尾根道に入る。この辺りはまだ整備された尾根だ。大量の糞に慄きつつ、防火線造設の碑までやって来る。この碑については二本木峠に着くと意味が分かってくる。踏み跡はここで切れ、土留めの木段となって車道へと下りていく。道路開削によって消失した尾根道が明瞭に残るのはここまで。車道は北にカーブを切るため南側の眺めが良い。大霧山の東側斜面を広く見渡すにはこの辺りが良いだろう。
(駐車場脇に植えられたサンシュユの木)
(尾根道 この辺りはまあまあ良い道)
(防火線造設の碑)
(石碑下のカーヴから比企三山)
車道を進み、再び境界が近づく辺りで尾根道に上がる。雑木林となっていて日当たりは良い。いや良過ぎるくらいか。防火線造設の碑があった辺りと異なり、あまり人の手が入った形跡が無い。下草はあまり無いが、その分棘のある蔓に行く手を阻まれる。蔓の無い所へ行こうとすると牧場のバラ線に阻まれる。これは蔓の藪を突破していくしかなさそうだ。棘に引っ掻かれつつ626のピーク手前までやって来た。電波塔が見えてきたがどうやって車道に下りるのだろうか?二本木峠まで行くしかないのだろうか?626のピーク付近は猛烈な藪で、夏場はボクの実力では突破不可能だっただろう。下草の生えない時期だったので、枯れた蔓を踏んで上がっていく。人の手は入ってないが、人が通った形跡は何となくある。境界確認のために入ったのならご苦労様としか言いようがない。しかしボクのように遊びで入ったのなら、そいつは良い意味で馬鹿だ。まあそのおかげで辛うじて通ることができているのだが。
(境界標が埋まった尾根 まだ歩ける状態)
(茨の藪 ここで万歩計を落としてしまった)
(バラ線越しに見える牧草地)
(見た目は大したことは無いがしんどい藪 茨を踏んでいったほうが速い)
二本木峠の西側にある農場が近づくとようやく藪は落ち着いてくる。雨具を羽織っていたので汗でびっしょりだ。峠へ下りてくると男性が一人、看板の前で佇んでいた。尾根道の地獄ぶりと比べると嘘みたいに平和な時間が流れる。とりあえず峠から車道を西へ下り、大霧山や武甲山の見晴らしが良い所で休憩を取る。こんなにしんどい思いをするとは思わなんだ。峠に戻ると数人の登山客が案内板を眺めていた。時間的に通過する人が多いのだろう。案内板は見慣れないものになっていた。二年以上訪れていなかったこともあり、内容が変わった可能性もあるし、あるいは単に覚えていないだけなのかもしれない。二本木峠は山ツツジで有名な所だが、案内板によると旧槻川村時代に笠山から登谷山にかけて防火線を構築した際に下方の山から移植したものだという。山ツツジが移植されたものであったことにも驚くが、それ以上に防火線が現在のハイキングコースになっていることにも驚いた。
(二本木峠近くの農場が見えてきた)
(二本木峠)
(大霧山)
(武甲山)
(パノラマ)
(看板の説明文)
二本木峠から愛宕山へは東斜面がツツジの道になっている。まだ芽吹いておらず、花を付けるのは5月の中旬くらいだろうか。木段交じりのやや急な傾斜を登りきると愛宕山(654.8)の頂上に出る。雑木林に覆われた明るい山頂だ。案内板にもあった愛宕神社の碑が健在であった。一旦車道に下り、皇鈴山(みすずやま)へと登り返す道は雑木林が広がる気持ちの良い所。目立たない山だけれども、落ち着いた雰囲気が良い。小ピークを越えると西側斜面に花桃が植えられた一画が広がる。いや花桃かと思っていたが、桜の若木のような感じもする。いずれにせよまだ紅い蕾の状態で満開になるにはあと一週間は掛かりそうだ。尾根道に復帰せずにクルマの轍が残る広い道を登る。以前来た時よりも雑然とした雰囲気になっていて、草が伸び放題になっていた。あまり見晴らしも期待できない状態だ。ここから緩やかな斜面をトラバース気味に登っていくと皇鈴山(679)頂上の東屋の前に出る。ちょうど老夫婦が出発の準備をしているところだった。皇鈴山は決して見晴らしの良い所ではないのだが、それでも両神山や二子山、城峯山などが見渡せる。蓑山が見渡せるので、桜の時期が良さそうだ。
(愛宕山の頂上を目指して)
(愛宕山頂上)
(愛宕神社の碑)
(皇鈴山にて 雑木林の道)
(山頂付近西側斜面にある花桃だか桜だかの若木)
(皇鈴山頂上からの眺め)
(両神山、二子山など)
(城峯山)
(奥秩父 右から三宝山・甲武信ヶ岳・木賊山 大きな鞍部を挟んで破風山)
(蓑山)
(頂上の様子)
皇鈴山から北へ。電波塔の管理道が上ってくる辺りに案内板がある。案内板にある井草のバス停が花桃の里に一番近い。案内板の先にある祠のある小ピークの北側斜面は東秩父村のHPによると金場の平と呼ばれているらしい。管理道掘削により北東方向が開けていて薄らとだが日光男体山の姿を拝むことができた。そして眼下を見下ろせば花桃の里が見える。金場の平から見る花桃の里は黄色やピンクの花を敷き詰めた箱庭の様だ。花はちょうど見頃を迎えている。
(金場の平から花桃の里を見下ろす)
茱萸(グミ)の木峠に下り、ここから車道を延々と歩いていく。以前両親と歩いたことがあり、花桃の里まで30分は掛かるとみておこう。しばらくは暗い杉林が続き、やがて瀟洒な別荘が現れるといくらか周囲が開けてくる。別荘地には山桜が植えられ、桃色の花を付けていた。馬頭観音の碑は別荘の下に安置されていた。別荘地を過ぎると味気無い道が続く。パンフレットに「水」と書かれた辺りには数本の桜が植えられている。ここまで来ればあと一息。再び暗い植林帯を抜けていくと桃色の花が目に飛び込んでくる。花桃の里の西端に到着だ。日当たりの良い斜面には花桃の若木が植えられている。集落内を東に下る。金場の平から見えた黄色い花は多くが菜の花だ。分岐には大きな桜の木がある。先に集落の上部を回っておきたいので、稲荷神社を目指して歩く。稲荷神社への道端には花桃だけでなく、ボケの花も咲き始めていた。稲荷神社の手前には桃色の花を付けた木が数本がある。桜だろうか?
(グミの木峠)
(別荘地の桜)
(馬頭観音の碑)
(別荘地から虎山の千本桜が見える所がある)
(「水」と書かれた辺りの桜)
(水 飲用には適さないものと思われる)
(花桃の里上部 若木を見下ろす)
(分岐に立つ桜)
(ボケの花)
(稲荷神社近く)
(中央は展望台)
鳥居の建ち並ぶ稲荷神社には小さなお稲荷様が大量に奉納されており、信仰の厚さを窺わせる。神社の裏手を抜けると集落上部の道に出る。集落上部は一帯が農地になっていることもあり、集落内を広く見渡せる。集落中ほどにある小山には展望台のようなものも作られていた。4年前に訪れたときは小さな祠があるだけだったのだが。大通領神社(何と読むのか?)への分岐にはベンチが置かれている。ここも眺めが良い。大通領神社方面へ入ると菜の花畑が広がる。なお大通領神社へは桜の木があった分岐へ下る途中の畑の道を入っていく。ぐるっと回り込んで集会所まで下ってきた。ここにも以前は無かったお休み処桃の木茶屋がオープンしていた。桜の木があった分岐に戻り、一旦若木が植えられたエリアへ足を延ばす。若木は単に花桃だけでなく、桜なども植わっているようだ。
(稲荷神社)
(桜だと思うのだが)
(集落上部からの眺め)
(コブシの木がある)
(ミツバツツジ)
(ハナモクレン)
(赤い花桃の花もある)
(大通領神社)
(神社からの眺め)
(これも花桃だろうか)
(若木のエリア)
道を戻り、諏訪神社からショウジンバへ向かう。ショウジンバ近くからは集落を見上げる位置での眺めが良い。集会所方面に向かうと先ほどから気になっていた展望台が近づく。展望台は上下二つに分かれている。まずは上の展望台へ。木段とスロープの両方が付けられていて、最初はスロープを上がっていくが、次第に木段を登ったほうが楽になってくる。木段を登りきると木製の展望台がお目見えだ。山頂標識によるとこの小山は大内山(324)と呼ばれているらしい。展望台にはベンチが置かれ、集落内を一望できる。確かにこういう施設があると良いなとは思っていたんだよね。下の展望台にも東屋があり、こちらのほうが観光客で混み合っている。眺めは上のものに比べると格段に落ちる。ただベンチは広い。茶屋で買った大内沢名物の柑橘類を食べていると誰かの犬が膝に乗っかってきた。随分甘えん坊だな。まあでも動物は好きなので気にしない。
(諏訪神社)
(ショウジンバへ向かって)
(ショウジンバ付近から見上げる)
(この辺りも若木のエリア)
(展望台 右端にも東屋がある)
(お休み処)
(お休み処からの眺め)
(大内山の木段とスロープ)
(大内山展望台)
(展望台からの眺め)
(鞍部にある桜)
(下の東屋からの眺め)
展望台を下り、大内山の下部に付けられた巻き道を下っていく。久しぶりに山道を歩く。本当はグミの木峠から山道が付けられていると良いのだが。車道へ出て、慈雲堂へはやや登り返す。大内沢川と自販機が数台置かれた商店が見えてくれば、井草バス停は近い。バス停は商店向かいの目立たない所にあるのでちょっと注意は必要。バス時間を調べると次のバスは14:58?!一時間待ちかよ…。
むぅ…こうなったら歩くしかない!
(巻き道を行く)
(慈雲堂)
(井草バス停近くから)
登山靴というのは靴底が固く作られていることが多い。岩場などの不整地を歩く場合、靴底が柔らかいと足を痛める可能性もあるし、疲れも少ない。ところが舗装路のように固い地面を歩くには固い靴底は適していない。井草バス停から寄居駅までは一時間ほど延々と舗装路が続く。奥武蔵は車道歩きを強いられることが多いとはいえ、今日は流石に車道歩きの時間が多過ぎる。大宝集落付近の峠を越えると寄居の街がチラっと見える。これを遠いとみるか近いとみるか。かやの湯、秋山、三品…とバス停を過ぎ、ようやく八高線の踏切が見えてきた。踏切手前の分岐に入ると更に踏切がある。その先は鉢形城の敷地内だ。鉢形城は戦国時代の城跡で、奥武蔵だけでなく、埼玉県においてもかなり大規模な城跡と言ってよいだろう。荒川を見下ろす位置に築かれ、天然の要害を上手く利用していることがわかる。城内を東に進み、車道を渡るとエドヒガンザクラがある。樹齢150年を超える大樹で、やや見頃を過ぎていた。花桃の里と併せるとどうしても時期がずれてしまうのは致し方ない。それでもこの荘厳な趣は一見の価値があると思う。
(道すがらの桜)
(石仏群)
(鉢形城内 立派な土塁)
(石垣は往時のものなのだろうか?)
(北側は切り立った斜面で男体山が拝める)
(土塁)
(エドヒガンザクラ)
(本丸跡地)
(本丸付近は見晴らしが良い)
往路を戻り、荒川沿いに歩いていく。携帯アプリで時刻表を調べると15:18の八高線に間に合いそうだ。正喜橋を渡り、そこからは只管走る。寄居駅舎の階段を駆け上がり、ホームに下りるとちょうど汽車が来たところであった。最後は慌ただしくなってしまったが、久しぶりの花桃の里は以前よりものんびりと楽しめる所になっていたのは嬉しかった。
(正喜橋から荒川の眺め)
DATA:
西武秩父駅(西武観光バス)高原牧場入口バス停7:58~8:28秩父高原牧場入口(榛名神社)~9:08粥新田峠~9:39ミルクハウス~
9:53彩の国ふれあい牧場~10:13防火線造設の碑~10:43二本木峠~10:55愛宕山~11:13皇鈴山~11:28グミの木峠~11:55花桃の里上
~13:20大内山~13:58井草バス停~14:45諏訪神社(鉢形城)~14:54エドヒガンザクラ~15:16寄居駅
参考HP 東秩父村(花桃の里の紹介や村営バスの時刻表などがある) 彩の国ふれあい牧場
西武観光バス 西武秩父駅~高原牧場入口(皆野駅行き 360円)
トイレ 秩父高原牧場モーモーハウス内 花桃の里大内山下 鉢形城
地形図 安戸 寄居
ウォッちずの運用が停止になるということなので、新たに地理院地図にリンクすることにしました。送電線が載っているので使いやすいかと思います。全体的に車道歩きが長いルートなので、登山靴よりもスニーカーなどの底の柔らかい靴がオススメです。秩父高原牧場の尾根道は安易に入らないようにしてください。またバラ線より中(牧草地など)に入ると不法侵入となる可能性があります。牧場の売店は基本的に土日祝日の営業です。モーモーハウスは月曜・年末年始を除き営業しています。
4年前、東秩父村大内沢上ノ貝戸地区にある花桃の里に訪れたことがあった。元々大内沢集落はみかん栽培で有名な土地だったのだが、増えてきた耕作放棄地に対応するために花卉園芸を始めたのが花桃の里が出来るきっかけとなった。福島市の花見山には負けるものの、花桃・レンギョウ・山桜・菜の花が共演する様は見事であった。今年は2月の大雪の影響で、武甲山などの1000mを超える山はまだかなり雪が残って危険な状態らしい。雪が融けていそうで、また雪が残っていても危険が無さそうななだらかな山が連なる外秩父の山を歩こうと思った。東秩父村のライヴカメラを見ると花桃の里もちょうど見頃のようだ。そこで秩父高原牧場に上がって、グミの木峠から花桃の里へ下りることにした。
東秩父村の花桃の里パンフレット
これまで秩父高原牧場へ行くときはいつも大霧山を越えるルートを通っていた。しかし今日は花桃の里がメインなので、山は手短に済ませたい。候補としては粥新田峠(かゆにたとうげ)を越える峠道があるのだが、今回は西武バスの高原牧場入口バス停から歩き出すことにした。西武秩父駅に着き、皆野三沢線のバスを待つ。あまり本数が多い路線ではないのだが、結構利用者は多い。古い町並みの残る秩父市街を抜け、横瀬町へ入る。再び秩父市に入り、金昌寺を過ぎると定峰への道を分ける。秩父一番札所である四萬部寺(しまぶじ)でボク以外の全ての乗客が降りた。皆札所巡りの参拝者だったのだ。四萬部寺から坂道を上がり、曽根坂を越えると高原牧場入口(旧・広町山十前)バス停のある広町集落に着く。かつて広町山十前バス停と呼ばれていたのは、バス停前にある商店の屋号が山十であったことに由来する。
(広町集落を望む)
広町から秩父高原牧場へは入山集落を通って粥新田峠のやや南に出る関東ふれあいの道を通ることが多い。しかし皆野町が設定した江戸巡礼古道を通って直接粥新田峠へ至る道もあるようだ。違いとしてはやや江戸巡礼古道のほうが舗装路が多く、距離は短い。関東ふれあいの道は多くの人が紹介していることもあり、江戸巡礼古道を通ることにする。道標にしたがって舗装路を進み、寺山の子安観音を過ぎると再び道標があり、山道に入る。ショベルカーなどで作ったような広い九十九折となっていて、林道のようでもあり、他方で峠道のようでもある。落葉樹と杉檜の混合林となっており、雰囲気は悪くない。しばらく登ると民家の庭先らしき所に出る。住人の小母さんが庭の手入れをしていた。小母さんに挨拶して庭を回り込むと建物の向こうに武甲山の眺めが広がる。春先にしては空気が澄んでいる。
(この道標が目印)
(雑木林の道 九十九折になっている)
(民家の庭先に出る)
(庭先から望める武甲山)
民家を過ぎると舗装路に出る。馬頭観音の供養塔や小さな祠があり、古い道であることを思わせるものもある。暗い林間の道を抜けるとパッと周囲が明るくなる。秩父高原牧場の入口に出たのだ。周囲には牧草地が広がる。特にゲートなどは設けられていないが、入口には看板が立てられ、一般車の通行自粛を促している。入口の側には榛名神社があり、散り際の桜と檜に覆われた神社との対比が良い。案内板によると室町時代の頃からある神社であるらしい。
(榛名神社前に咲く水仙)
(秩父高原牧場入口 ゲートなどは特にない)
(榛名神社)
(牧場内の桜)
(牧場入口のパノラマ)
牧場の道路は開けた所を通るので、振り返れば両神山や二子山・毘沙門山などを眺めることができる。514のピークを巻いたカーヴで南側の展望が大きく開ける。丸山から金昌寺へ延びるなだらかな尾根の上には段々畑状の武甲山が顕著だ。武甲山の背後は奥多摩・奥秩父の山並みがまだ白く雪を被っている。秩父市街地の眺めも良い。
(両神山が見える)
(右に二子山 中央奥はおそらく毘沙門山と思われる)
(カーブで武甲山が見えてくる)
(武甲山)
(秩父・横瀬の市街地)
(牧場施設も見える)
(パノラマ)
北側が崖地となる辺りから道が砂利混じりとなる。舗装が無くなったため、抉れて水溜りになっている所もある。592のピークを巻き終わり、ヘアピンカーヴが連続する辺りは広い牧草地になっている。ここも武甲山の眺めが得られる。大きな巾着状のカーヴでは開けた牧草地の丘が広がる。このカーヴが終わると見慣れたお地蔵様が見えてきた。粥新田峠に到着。のんびり歩いて一時間強となかなか歩きやすい道だったと思う。
(砂利交じりの道)
(牧草地の中を行く)
(振り返れば武甲山)
(牧草地の丘)
(粥新田峠にあるお地蔵様)
秩父高原牧場の中心である彩の国ふれあい牧場までは一般的には車道を歩いていくことになる。でも正直車道歩きは怠い。そこで粥新田地蔵の裏から山道を登っていく。尾根道は鉄塔管理道となっていて、藪や下草が無く、とても歩きやすい。鉄塔のある辺りは広く伐採されている。道路を挟んだ向かいの尾根にも鉄塔が立っているのが見える。牧場のバラ線を避けつつ、一旦車道へ下りる。管理道を示す黄色いポストが向かいの尾根にも立っている。尾根道を上がると鉄塔が見えてきた。鉄塔下へ下ると東側の眺めが良い。採掘工事が行われている観音山の麓に見える集落は小安戸辺りか。北に延びる送電線の先には虎山の千本桜も見える。どちらも花盛りで春爛漫の景色が心地いい。管理道は山頂から尾根を外して下っていってしまうので、車道へ戻り、牧場内を進む。
(鉄塔管理道 とても歩きやすい)
(74号鉄塔下の様子 車道向かいの75号鉄塔も見える)
(75号鉄塔からの眺め)
(おそらく小安戸辺りと思われる)
(虎山の千本桜も見える)
ポピー畑への道が分岐する辺りは広い牧草地になっていて、特に西側の眺めが良い。手前には土饅頭のような蓑山が横たわる。その奥はギザギザとした両神山、双耳峰のような城峯山と鐘掛城、更に背後には御荷鉾山、真っ白な浅間山が望める。眼下に見える宝登山はかなり小さい。栗和田方面から延びる道路は舗装し直していて、クルマは二本木峠方面から来るしかなさそうだ。水仙咲く道を登っていくと今度は東側の眺めが良い。振り返れば笠山・堂平山・大霧山の比企三山が並び立つ。春霞の中にシルエットが浮かび上がる筑波山も辛うじて眺められる。
(ポピー畑への道との分岐)
(左・御荷鉾山 右後ろ・浅間山)
(城峯山)
(両神山)
(毘沙門山と二子山)
(後ろは上信国境辺りの山だろうか)
(左手前は宝登山)
(手前は蓑山)
(パノラマ)
(水仙咲く道)
(中央は笠山 その後ろは堂平山)
(笠山方面のパノラマ)
(筑波山)
中心部へやって来ると牛乳やソフトクリームを売るミルクハウス、農産物直売所や
(売店が建ち並ぶエリア)
(ソフトクリーム 濃厚な味でした)
売店の近くにはトイレが無く、100mほど丘を登ったモーモーハウス内に設置されている。冷たいものを食べたらちょっと催してきた。緩い坂を登ると羊の小舎が見えてくる。羊たちは餌に夢中で側を通りかかった小父さんの柏手にも全然動じる気配がない。ちょっと寂しい。牛はもう少し暖かくなると下界から連れて来られて高原牧場内に放牧される。牛が見たかったらGWの頃が良いだろう。車道を横切り、東側斜面にあるモーモーハウスへと移動する。おっ、柵の向こう側に入っている観光客がいるぞ。彩の国ふれあい牧場と書かれた看板横から牧草地に入ると山羊とのふれあい広場になっている。のんびり寝そべる山羊、牧草を食べる山羊、子供たちに触られて迷惑そうにしている山羊…。もふもふしてて可愛いぞっ。モーモーハウスの敷地内にはウサギも飼われているが、こちらはゲージに入っているので、触れ合うことはできない。残念…。建物の中は休憩室や展示室となっていて、ふれあい広場と同じく家族連れが多い。さて、トイレも済ませたし、出発しますか。
(スカイツリーも辛うじて見える)
(羊 お尻が可愛い)
(山羊)
(ふれあい広場と笠山)
(ウサギ)
(モーモーハウス内)
モーモーハウスを出て、しばらく車道を歩く。皆野町と東秩父村との境界付近から尾根道に入る。この辺りはまだ整備された尾根だ。大量の糞に慄きつつ、防火線造設の碑までやって来る。この碑については二本木峠に着くと意味が分かってくる。踏み跡はここで切れ、土留めの木段となって車道へと下りていく。道路開削によって消失した尾根道が明瞭に残るのはここまで。車道は北にカーブを切るため南側の眺めが良い。大霧山の東側斜面を広く見渡すにはこの辺りが良いだろう。
(駐車場脇に植えられたサンシュユの木)
(尾根道 この辺りはまあまあ良い道)
(防火線造設の碑)
(石碑下のカーヴから比企三山)
車道を進み、再び境界が近づく辺りで尾根道に上がる。雑木林となっていて日当たりは良い。いや良過ぎるくらいか。防火線造設の碑があった辺りと異なり、あまり人の手が入った形跡が無い。下草はあまり無いが、その分棘のある蔓に行く手を阻まれる。蔓の無い所へ行こうとすると牧場のバラ線に阻まれる。これは蔓の藪を突破していくしかなさそうだ。棘に引っ掻かれつつ626のピーク手前までやって来た。電波塔が見えてきたがどうやって車道に下りるのだろうか?二本木峠まで行くしかないのだろうか?626のピーク付近は猛烈な藪で、夏場はボクの実力では突破不可能だっただろう。下草の生えない時期だったので、枯れた蔓を踏んで上がっていく。人の手は入ってないが、人が通った形跡は何となくある。境界確認のために入ったのならご苦労様としか言いようがない。しかしボクのように遊びで入ったのなら、そいつは良い意味で馬鹿だ。まあそのおかげで辛うじて通ることができているのだが。
(境界標が埋まった尾根 まだ歩ける状態)
(茨の藪 ここで万歩計を落としてしまった)
(バラ線越しに見える牧草地)
(見た目は大したことは無いがしんどい藪 茨を踏んでいったほうが速い)
二本木峠の西側にある農場が近づくとようやく藪は落ち着いてくる。雨具を羽織っていたので汗でびっしょりだ。峠へ下りてくると男性が一人、看板の前で佇んでいた。尾根道の地獄ぶりと比べると嘘みたいに平和な時間が流れる。とりあえず峠から車道を西へ下り、大霧山や武甲山の見晴らしが良い所で休憩を取る。こんなにしんどい思いをするとは思わなんだ。峠に戻ると数人の登山客が案内板を眺めていた。時間的に通過する人が多いのだろう。案内板は見慣れないものになっていた。二年以上訪れていなかったこともあり、内容が変わった可能性もあるし、あるいは単に覚えていないだけなのかもしれない。二本木峠は山ツツジで有名な所だが、案内板によると旧槻川村時代に笠山から登谷山にかけて防火線を構築した際に下方の山から移植したものだという。山ツツジが移植されたものであったことにも驚くが、それ以上に防火線が現在のハイキングコースになっていることにも驚いた。
(二本木峠近くの農場が見えてきた)
(二本木峠)
(大霧山)
(武甲山)
(パノラマ)
(看板の説明文)
二本木峠から愛宕山へは東斜面がツツジの道になっている。まだ芽吹いておらず、花を付けるのは5月の中旬くらいだろうか。木段交じりのやや急な傾斜を登りきると愛宕山(654.8)の頂上に出る。雑木林に覆われた明るい山頂だ。案内板にもあった愛宕神社の碑が健在であった。一旦車道に下り、皇鈴山(みすずやま)へと登り返す道は雑木林が広がる気持ちの良い所。目立たない山だけれども、落ち着いた雰囲気が良い。小ピークを越えると西側斜面に花桃が植えられた一画が広がる。いや花桃かと思っていたが、桜の若木のような感じもする。いずれにせよまだ紅い蕾の状態で満開になるにはあと一週間は掛かりそうだ。尾根道に復帰せずにクルマの轍が残る広い道を登る。以前来た時よりも雑然とした雰囲気になっていて、草が伸び放題になっていた。あまり見晴らしも期待できない状態だ。ここから緩やかな斜面をトラバース気味に登っていくと皇鈴山(679)頂上の東屋の前に出る。ちょうど老夫婦が出発の準備をしているところだった。皇鈴山は決して見晴らしの良い所ではないのだが、それでも両神山や二子山、城峯山などが見渡せる。蓑山が見渡せるので、桜の時期が良さそうだ。
(愛宕山の頂上を目指して)
(愛宕山頂上)
(愛宕神社の碑)
(皇鈴山にて 雑木林の道)
(山頂付近西側斜面にある花桃だか桜だかの若木)
(皇鈴山頂上からの眺め)
(両神山、二子山など)
(城峯山)
(奥秩父 右から三宝山・甲武信ヶ岳・木賊山 大きな鞍部を挟んで破風山)
(蓑山)
(頂上の様子)
皇鈴山から北へ。電波塔の管理道が上ってくる辺りに案内板がある。案内板にある井草のバス停が花桃の里に一番近い。案内板の先にある祠のある小ピークの北側斜面は東秩父村のHPによると金場の平と呼ばれているらしい。管理道掘削により北東方向が開けていて薄らとだが日光男体山の姿を拝むことができた。そして眼下を見下ろせば花桃の里が見える。金場の平から見る花桃の里は黄色やピンクの花を敷き詰めた箱庭の様だ。花はちょうど見頃を迎えている。
(金場の平から花桃の里を見下ろす)
茱萸(グミ)の木峠に下り、ここから車道を延々と歩いていく。以前両親と歩いたことがあり、花桃の里まで30分は掛かるとみておこう。しばらくは暗い杉林が続き、やがて瀟洒な別荘が現れるといくらか周囲が開けてくる。別荘地には山桜が植えられ、桃色の花を付けていた。馬頭観音の碑は別荘の下に安置されていた。別荘地を過ぎると味気無い道が続く。パンフレットに「水」と書かれた辺りには数本の桜が植えられている。ここまで来ればあと一息。再び暗い植林帯を抜けていくと桃色の花が目に飛び込んでくる。花桃の里の西端に到着だ。日当たりの良い斜面には花桃の若木が植えられている。集落内を東に下る。金場の平から見えた黄色い花は多くが菜の花だ。分岐には大きな桜の木がある。先に集落の上部を回っておきたいので、稲荷神社を目指して歩く。稲荷神社への道端には花桃だけでなく、ボケの花も咲き始めていた。稲荷神社の手前には桃色の花を付けた木が数本がある。桜だろうか?
(グミの木峠)
(別荘地の桜)
(馬頭観音の碑)
(別荘地から虎山の千本桜が見える所がある)
(「水」と書かれた辺りの桜)
(水 飲用には適さないものと思われる)
(花桃の里上部 若木を見下ろす)
(分岐に立つ桜)
(ボケの花)
(稲荷神社近く)
(中央は展望台)
鳥居の建ち並ぶ稲荷神社には小さなお稲荷様が大量に奉納されており、信仰の厚さを窺わせる。神社の裏手を抜けると集落上部の道に出る。集落上部は一帯が農地になっていることもあり、集落内を広く見渡せる。集落中ほどにある小山には展望台のようなものも作られていた。4年前に訪れたときは小さな祠があるだけだったのだが。大通領神社(何と読むのか?)への分岐にはベンチが置かれている。ここも眺めが良い。大通領神社方面へ入ると菜の花畑が広がる。なお大通領神社へは桜の木があった分岐へ下る途中の畑の道を入っていく。ぐるっと回り込んで集会所まで下ってきた。ここにも以前は無かったお休み処桃の木茶屋がオープンしていた。桜の木があった分岐に戻り、一旦若木が植えられたエリアへ足を延ばす。若木は単に花桃だけでなく、桜なども植わっているようだ。
(稲荷神社)
(桜だと思うのだが)
(集落上部からの眺め)
(コブシの木がある)
(ミツバツツジ)
(ハナモクレン)
(赤い花桃の花もある)
(大通領神社)
(神社からの眺め)
(これも花桃だろうか)
(若木のエリア)
道を戻り、諏訪神社からショウジンバへ向かう。ショウジンバ近くからは集落を見上げる位置での眺めが良い。集会所方面に向かうと先ほどから気になっていた展望台が近づく。展望台は上下二つに分かれている。まずは上の展望台へ。木段とスロープの両方が付けられていて、最初はスロープを上がっていくが、次第に木段を登ったほうが楽になってくる。木段を登りきると木製の展望台がお目見えだ。山頂標識によるとこの小山は大内山(324)と呼ばれているらしい。展望台にはベンチが置かれ、集落内を一望できる。確かにこういう施設があると良いなとは思っていたんだよね。下の展望台にも東屋があり、こちらのほうが観光客で混み合っている。眺めは上のものに比べると格段に落ちる。ただベンチは広い。茶屋で買った大内沢名物の柑橘類を食べていると誰かの犬が膝に乗っかってきた。随分甘えん坊だな。まあでも動物は好きなので気にしない。
(諏訪神社)
(ショウジンバへ向かって)
(ショウジンバ付近から見上げる)
(この辺りも若木のエリア)
(展望台 右端にも東屋がある)
(お休み処)
(お休み処からの眺め)
(大内山の木段とスロープ)
(大内山展望台)
(展望台からの眺め)
(鞍部にある桜)
(下の東屋からの眺め)
展望台を下り、大内山の下部に付けられた巻き道を下っていく。久しぶりに山道を歩く。本当はグミの木峠から山道が付けられていると良いのだが。車道へ出て、慈雲堂へはやや登り返す。大内沢川と自販機が数台置かれた商店が見えてくれば、井草バス停は近い。バス停は商店向かいの目立たない所にあるのでちょっと注意は必要。バス時間を調べると次のバスは14:58?!一時間待ちかよ…。
むぅ…こうなったら歩くしかない!
(巻き道を行く)
(慈雲堂)
(井草バス停近くから)
登山靴というのは靴底が固く作られていることが多い。岩場などの不整地を歩く場合、靴底が柔らかいと足を痛める可能性もあるし、疲れも少ない。ところが舗装路のように固い地面を歩くには固い靴底は適していない。井草バス停から寄居駅までは一時間ほど延々と舗装路が続く。奥武蔵は車道歩きを強いられることが多いとはいえ、今日は流石に車道歩きの時間が多過ぎる。大宝集落付近の峠を越えると寄居の街がチラっと見える。これを遠いとみるか近いとみるか。かやの湯、秋山、三品…とバス停を過ぎ、ようやく八高線の踏切が見えてきた。踏切手前の分岐に入ると更に踏切がある。その先は鉢形城の敷地内だ。鉢形城は戦国時代の城跡で、奥武蔵だけでなく、埼玉県においてもかなり大規模な城跡と言ってよいだろう。荒川を見下ろす位置に築かれ、天然の要害を上手く利用していることがわかる。城内を東に進み、車道を渡るとエドヒガンザクラがある。樹齢150年を超える大樹で、やや見頃を過ぎていた。花桃の里と併せるとどうしても時期がずれてしまうのは致し方ない。それでもこの荘厳な趣は一見の価値があると思う。
(道すがらの桜)
(石仏群)
(鉢形城内 立派な土塁)
(石垣は往時のものなのだろうか?)
(北側は切り立った斜面で男体山が拝める)
(土塁)
(エドヒガンザクラ)
(本丸跡地)
(本丸付近は見晴らしが良い)
往路を戻り、荒川沿いに歩いていく。携帯アプリで時刻表を調べると15:18の八高線に間に合いそうだ。正喜橋を渡り、そこからは只管走る。寄居駅舎の階段を駆け上がり、ホームに下りるとちょうど汽車が来たところであった。最後は慌ただしくなってしまったが、久しぶりの花桃の里は以前よりものんびりと楽しめる所になっていたのは嬉しかった。
(正喜橋から荒川の眺め)
DATA:
西武秩父駅(西武観光バス)高原牧場入口バス停7:58~8:28秩父高原牧場入口(榛名神社)~9:08粥新田峠~9:39ミルクハウス~
9:53彩の国ふれあい牧場~10:13防火線造設の碑~10:43二本木峠~10:55愛宕山~11:13皇鈴山~11:28グミの木峠~11:55花桃の里上
~13:20大内山~13:58井草バス停~14:45諏訪神社(鉢形城)~14:54エドヒガンザクラ~15:16寄居駅
参考HP 東秩父村(花桃の里の紹介や村営バスの時刻表などがある) 彩の国ふれあい牧場
西武観光バス 西武秩父駅~高原牧場入口(皆野駅行き 360円)
トイレ 秩父高原牧場モーモーハウス内 花桃の里大内山下 鉢形城
地形図 安戸 寄居
ウォッちずの運用が停止になるということなので、新たに地理院地図にリンクすることにしました。送電線が載っているので使いやすいかと思います。全体的に車道歩きが長いルートなので、登山靴よりもスニーカーなどの底の柔らかい靴がオススメです。秩父高原牧場の尾根道は安易に入らないようにしてください。またバラ線より中(牧草地など)に入ると不法侵入となる可能性があります。牧場の売店は基本的に土日祝日の営業です。モーモーハウスは月曜・年末年始を除き営業しています。