メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

シークレット・オブ・モンスター

2016年12月03日 | 映画
シークレット・オブ・モンスター
を観ました。


1918年、ヴェルサイユ条約締結を目的にフランスに送り込まれた米政府高官。彼には、神への深い信仰心を持つ妻と、まるで少女のように美しい息子がいた。
しかし、その少年は終始何かに不満を抱え、教会への投石や部屋に籠城するなど、その不可解な言動の数々に両親は頭を悩ましていた。
その周囲の心配をよそに、彼の性格は次第に恐ろしいほど歪み始めるー。
そして、ようやくヴェルサイユ条約の調印を終えたある夜、ついに彼の中の怪物がうめき声を上げるー。
20世紀が生んだ最悪の怪物”独裁者”誕生の謎に迫る至高の心理ミステリー。


ブラディ・コーベット監督作品です。
いつも通り前情報無しで見に行くので監督情報は観終わって知りましたが。
若手役者の人で何度かお見かけしたことはある人ですね。
この若さでこの脚本と監督をやっているのは驚愕です。
ちょっと精神状態を心配してしまいます。

それくらい凄い衝撃的な映画でした。

冒頭白黒で実際の第一次世界大戦の歴史絵巻のようなドキュメンタリーを、
迫力満点で不快感の音楽でグイグイ引き込まれます。

そしてChapter1みたいな字幕になり
その副題が非常に文学的な不気味さを秘めていて一気に心掴まれました。
このテイストでここまで見事なつかみをした映画はあまり記憶に無いですね。

チャプターは4つになっていますが、正直分けるほどそれぞれに明確な印象はありません。
どれも似たような内容です。
ただ最初から終盤に向かうに従って微妙微妙に嫌な予感を蓄積させて行く感じです。
その塩梅、予兆のほんのりさは実に見事でした。

一見普通の親子で、最初の事件でもまだ普通の親子かと思いましたが。
いい家庭特有の親子の距離感、夫婦の距離感の遠さが印象的です。

映像的にも実に効果的な手法で。
バードマンみたいに登場人物の背中を追いかける手法が良く使われます。
なのでワンカットの中に動きがあり、多くの人の中を少年が歩いている長回し等非常に印象的です。
不気味で怖い少年ですが、その心理状態がイマイチわかりません。
それをまさしく背中で語る感じになっています。

狡猾で天才的なモンスターなのかな?と思いきや意外と普通の少年だったり。
突然怖い内面が出てきたりで精神的に揺さぶられます。
とらえどころの無さが凄いです。

突然クライマックスになる感じですが。
その間に一体何があったのか?端折るにはでかすぎますが。

元々冒頭から何故この場面?と言う疑問だらけでした。
淡々と静かな生活描写ですが、切り取る場面が独特で。
普通ここにフォーカスします?とそのセンスに驚かされます。

モデルは誰なのか?実在するのかわかりませんが。
恐らくヒトラー辺りをイメージしてるのでしょうか?

そんなトム・スウィートがなかなか凄かったです。
無表情や癇癪。
この世代の子役にこんな長回しで本格的演技をさせたのはあっぱれですね。

それにしても爆音でした。
サスペンスなのにこんな爆音の映画は恐らく初めてです。
怖くなるくらい爆音でBGMでした。

クライマックスはなんとも言えない不快感と恐怖感に満ちて居ました。


そんなわけで8点。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。