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アズミ・ハルコは行方不明

2016年12月09日 | 映画
アズミ・ハルコは行方不明
を観ました。


春子:
とある地方都市に住む27歳の安曇春子(蒼井優)。独身で恋人もいない春子は、実家で両親と祖母と一緒に暮らしている。老齢の祖母を介護する母のストレスが充満する実家は決して居心地のいいものではなく、会社に行けば社長と専務に「女は若いうちに結婚するべきだ」とセクハラ三昧の言葉を浴びせられる日々。春子はふと自分の年齢を実感する。まだ27歳ではなく、もう27歳。若くはないということに…。
愛菜:
20歳の愛菜(高畑充希)はとある地方都市の成人式の会場で、大学進学のため名古屋に行った中学時代の同級生のユキオ(太賀)と再会。ほどなくして大学を中退し、地元に帰ってきたユキオと、なんとなく会って遊んだり、なんとなくセックスする間柄になっていく。ある日、ユキオの誕生日プレゼントを買いにレンタルビデオ店に行ったふたりは、そこでバイトをしていた同級生の学(葉山奨之)と再会し…。
春子:
ある日の仕事帰り、運転する春子の車の目の前を制服姿の女子高生たちが駆け抜けていく。興味を覚えた春子は後を追って公園へ。するとそこには、誰かに暴行されて倒れている男の姿が。それは、少し前に再会したばかりの同級生の曽我(石崎ひゅーい)だった! 曽我を送り届けたその夜、ふたりは互いの虚しさを埋め合うように身体を重ね、付き合うという言葉はないまま、食事をしたり、買い物に行ったりする仲になっていった。
久しぶりに心浮き立つ春子とは裏腹に、しばらくして曽我からの連絡が途絶えるように。そして、コンビニでバイトをする噂好きの同級生から衝撃の事実を聞かされ…。
キルロイ:
ユキオと学はグラフィティアーティストのドキュメンタリー映画を観て、映画に登場する覆面アーティストのバンクシーに憧れ、グラフィティ・アートを始める。チーム名は、アメリカに実在する有名な落書きからとって“キルロイ”と決定。キルロイは“28歳・安曇春子の行方を探す張り紙”をモチーフに、春子の顔とMISSINGという文字を合わせてグラフィティ・アートにし、街中に拡散していく。自分そっちのけで楽しむふたりに愛菜は怒り心頭。強引に割って入り、アズミ・ハルコのグラフィティ・アートを一緒に広めていくのだった。一方その頃、〈少女ギャング団〉による男性のみを襲う暴行事件が巷を騒がせていた。インターネット上ではその事件と、アズミ・ハルコのグラフィティ・アートの関連が噂され…。


松居大悟監督作品です。
若手監督ならではのセンスを感じさせてくれる監督ですね。

冒頭から単館映画っぽい意味深で叙情的なシーンでした。
そして春子の物語と愛菜の物語が交互に描かれます。
一体どうやってこの2つが絡み合うのか?と疑問になります。

全く無関係な2つの物語ですが、お互い近くで起きている物語というのはわかります。
春子の方の物語では春子はごくごく普通のちょっと冴えない暮らしをしている普通の女性ですが、
愛菜の方ではグラフィティアートの題材にされた行方不明の女性として神格化しています。

時系列をズラして描写しているのはわかりますが、一体どういうこと?どうして春子が??
という引っ張りは凄いです。

共通して出てくるのは女子高生ギャングで、
少女たちだけで男や社会と戦おうというような不気味さも感じる集団です。
彼女たちがなかなかの革命的思想を感じさせる奇行で。
昔の園子温映画を観ているような気分にもなりました。

ストーリーはそれぞれ平凡ですが、描写は非常にアーティスティックな好みのやつだったので見やすかったです。

なんとも不思議な悩ましい作品でした。
そこまで難解でもないですが、時々夢みたいな難解シーンを差し込むことで作品が平凡から一気に飛躍してしまいます。
詩みたいなセリフになったり、情熱的なシーンになったり。
奇声を上げて走り出したり。
その辺も園子温っぽいですね。

蒼井優は最近の彼女らしいハイセンスな雰囲気をプンプンに出してやっていました。
ボケた祖母とヒステリックな母の間で感情を消し去って過ごす、なんとも憂鬱な家族環境で。
すっかり曝け出せる生々しい演技ができる実力派です。
実に幸の薄い女性でした。

高畑充希は朝ドラから一転、極度にチャラい馬鹿ギャルの役でした。
貞操観念も低く、すぐ抱かれてしまいます。
この役の幅にはびっくりしますね。
あまり可愛い扱いされないリアルさを受け入れているのも素晴らしいです。
非常に優秀な女優さんだと思います。

石崎ひゅーいは音楽はよく聴きますが蒼井優の恋人的な役をやってました。
音楽のパフォーマンスや雰囲気からなかなかの役者オーラはあると思います。
流石の世界観を持っているアーティストだけあって堂々とした演技でした。

最近クズの若者を演じさせると評価高い大賀が今作でもなかなかのクズを演じていました。
引っ張りだこが納得のクオリティです。
腹立ますがかなり好きな役者ですね。

チョイ役ですが、自分が高評価する菊池亜希子も出ていて嬉しかったです。
相変わらず素晴らしい役者オーラです。

あと好みの落合モトキもらしい現代っ子の役で出ていました。

タイトルも内容も好みで良かったです。


そんなわけで7点。

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