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娘に贈る言葉~長女の巣立ちに寄せて~

2009-11-04 09:14:00 | 徒然なるままに
11月3日(火)

長女が11月から自活をすることになった。
自活と言っても、友達と部屋をシェアすると言う、いわゆる共同生活ではあるが。
でも、友達と折半と言いながらも、自分で家賃や住民税、食費、光熱費を払って生活をするわけだから、立派な自活だ。
場所も都内と言うことで、いざというとき、私がすぐに車で駆けつけられる場所ではない。

娘は、高校卒業後、進学はせず、高校時代から続けているアルバイトを本業にして、働き出して半年が経つ。
朝早い仕事の時は、始発のバスがないので私が駅まで送り、最終電車で帰るようなときは終バスがないので迎えに行ったり、応援できるところは応援して来た。
でも、ここに来て、泊りがけでの仕事や、出張が続き、家に帰ってくるのは週に2日もあればいいほうかという感じになっていて。
来春からは都内に住むと言ってはいたが、ここに来て、
「会社が都内に部屋を借り上げてくれたから女友達と部屋をシェアする。」
と言うことになった。
私は、高校を卒業したら進学であれ就職であれ、家を出て自活させるつもりでいたから、反対する理由もなく同意した。

昨日、その具体的な引越し先の住所や日程について娘から報告があり、いろいろなことを話し合った。

家では全く『わがままなお姫様』な、典型的『外良い子』の長女。
これで自活なら散らかっていようがどうだろうが自業自得だが、共同生活となると、気をつけなければならないこと、心がけなければならないことや、常識、ルール、マナー、エチケットがたくさんある。
家族なら見過ごしてももらえ、喧嘩しても翌日は普段通りで済むことでも、他人は違う。たとえ、親友同士や最愛の恋人同士だとしても。

一般的な共同生活のルールやマナーに加えて、お互いの生い立ちや価値観、『文化の違い』を尊重し合えなければ、共同生活なんて成り立たない。
外で会う時の『仲良し』『大好き』状態は、相手の良いところばかり見ていられるから。
一緒に暮らせば嫌でも見たり聞いたりしてしまう、相手の癖ややり方、こだわりに、どう折り合いを付けていけるのか・・・。
布団の上げ下ろし、洗濯物の干し方、洗物の洗い方、拭き方、仕舞い方に始まり、トイレ、洗面所の使い方、玄関の靴の脱ぎ方靴のしまい方まで。
日常の些細なことが、今まで自分のやりたいようにやっていたり、うちのやり方が普通だと思っていたことが、そうではないやり方やこだわりがあることに触れ、それを受け入れたり、折り合いをつけたり、いいところは取り入れ、新たなルールややり方を作っていくことを前向きに捕らえられるかどうか・・・・。

失敗もあるだろう。でも、そうなったら、二人でよく話し合えれば良いと思う。
どちらかが我慢してばかり。どちらかが楽して、いつも一方が損してばかりでは長続きしない。
トイレットペーパーを換えるのも、排水溝の汚れを取るのもいつも自分・・・。やってもらって当たり前みたいな態度や意識では、お互いにストレスが溜まっていく。
気がついたらすぐにやる。やってもらったことに気がついたら、すぐにお礼を言う。
この『お互い様』と『おかげ様』と言う気持ちの持ちようこそ、『仲良き中にも礼儀あり』だと思うし、長続きする秘訣なのだと思うのだ。
とにかく、やってもらったら、どんな小さなことでも、声に出して、またメモ書きでも良いから『ありがとう』と言う気持ちをあらわし、相手に伝えること。それが大事。

それから『我慢』と『無理』はほどほどに。言いたいことがあったら、その場の勢いで売り言葉に買い言葉みたいな喧嘩腰ではなく、言葉を選んで、相手の気持ちや立場も考えながら、誤解されないようにちゃんと分かってもらえるように伝えること。
喧嘩になっても良いから、言いたいことはお互い言い合える仲でいること。でも、必ず、その日のうちに仲直りして、翌日に持ち越さない努力をすること。

『灯り』と『音』にはお互いに気を使うこと。
『郵便物』の置き場所をきちんと決めること。
『鍵』の置き場所や取り扱いには十分気をつけ、戸締りは厳重に。絶対に鍵をかけ忘れて出かけることがないように。

などなど、口うるさいようなことを次々話す私の言葉を、いつもうるさがって適当に聞いていた長女が、なぜか涙ぐみながら黙って聞いていた。

今まで、自分が気がつかなかった、気がついていながらいつも『ママがやっていてくれたこと』を、今度は、自分から気がついて心がけてやっていかなくてはならない。友達にばかりやらせてはいけない。お互いに協力し合って、快適に生活していくには、小さな努力の積み重ねが大切なんだと言うことが少しでも伝わってくれたら良いと思う。

まずは、女の子同士の共同生活から。
お互いのプライバシーを尊重しながら、一人暮らしにはない、共同生活ならではの不自由さと楽しさと心強さをいっぱい体験してほしい。

やがて、好きな男性と一緒に暮らしたり、家庭を持ち、家族を作って、親戚付き合いも広がっていく時に、これから実地で経験していくことは絶対役に立つ時が来る。
親元でいつも親任せでわがまま一杯に、何も出来ない状態ではだめだと、家でもいろいろやらせようとは思ってはいたのだが、
「仕事で疲れてるから」
とか言って、自分から動こうともしなかった長女だった。
でも、ここに来て私に料理のレシピを聞いてきたり、家事のコツを聞いてくるようになった。何より、「お月見」など、年中行事の料理やお供えなどのセットへのこだわりは最近なかったことだ。
『子どもは育てたように育つ』
と言うが、小さい頃からこだわってきた『年中行事』がこの娘にとっての『我家の文化』だったのだと思った。

同居するお友達は名古屋出身なのだとか。
お味噌の味からして違う食文化との出会いで、長女は何を学び、どんな風に成長して行くのか、楽しみでもある。

そして、きっと、仕事でも部屋でも気を遣いすぎて疲れてしまったら、たまには家に帰ってきなさい。
あなたの好きな小松菜と油揚げのお味噌汁を食べに。
愚痴ぐらいは聞いてあげるから。


私のインフルエンザが完治したら、娘達の新居に千葉の美味しいものでも手土産に引っ越し祝いに行ってみようと思っている。

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