昨年、パワハラ防止を定めた労働施策総合推進法が施行され、大企業に適用されてから1年。
4月からパワハラ防止法が中小企業にも適用拡大されます。
事業主には、パワハラ防止の方針の打ち出しと周知、体制整備、迅速な対応、プライバシー保護などの履行義務が生じることになっています。
中小企業であっても、人を雇用する経営者の方は注意が必要です。
違反すると20万円以下の過料が課されます。
さらには労働局から企業名と違反内容の公表ということもあり、会社の存続の大きなリスクとなります。
日経ビジネスの特集2022.3.22号の特集は、「パワハラ大国ニッポン」。
日本のパワハラについて詳しく解説しています。
経団連の調査によるとセクハラは多少減少気味であるのに対し、パワハラは増加傾向にあるとのこと。
また、国際的には世界第4位とのこと。
1位インド、2位オーストラリア、3位ニュージーランド、5位フランス・・・。
我が国は、パワハラ大国と指摘します。
Contents
Part1 ハラスメント保険に殺到 不安に陥る日本企業
Part2 危険度を再点検 グレーゾーンはもうない
Part3 撲滅に奇策なし 愚直に取り組む3要素
ハラスメント・・・。
セクハラあたりから始まり、マタハラ、パワハラ、オワハラ、カスハラ、ソーハラ、セカハラ、ジェンハラ、ハラハラなどなど・・・。
何でも「ハラ」が付けられています。
就活、婚活、終活などの「ナニナニ活」と同じですね。
でも、この「ハラスメント」という概念は、受け取る側の主観、気持ちがベースとなるため、防止策が難しいことがあげられます。
自分は大丈夫だと思っても相手が嫌な思いをしたり不快に感じたりすると、それはハラスメントとなる可能性があります。
管理職は受難の時代・・・本当に大変です。
グレーゾーンが広いのがハラスメントの特徴といえますが、最近では厚生労働省が出した6類型などで、グレーゾーンもかなり狭くなっています。
1 身体的な攻撃 暴行、傷害
2 精神的な攻撃
3 人間関係からの切り離し
4 過大な要求
5 過少な要求
6 個の侵害 プライバシー侵害
この特集では、パワハラ・チェックシートも載っていますので、一度確認されたほうがよいと思います。
また、グレーゾーンの例示もあります。
・指導という名の「能力否定」
・みんなの前で「見せしめ」
・リモートでの細かすぎる進捗管理
・プライベートに過度に踏み込む
・性的役割分担意識がある
・飲食に誘う
これらは全て「アウト」だそうです。
今はやりの1on1ミーティングや個室での面談、フィードバックミーティングなどもリスクがあるかもしれません。
企業のパワハラ対策に欠かせない3要素は、次の3つとのことです。
1 経営陣のコミットメント
2 現場に仕組みを導入
3 継続する
国連では、パワハラを人権問題としてとらえているとのこと。
いずれにせよ、パワハラは人を傷つけるだけではなく、職場の生産性を落とし、社員の離職を招き、だれも入社したくない会社になり、業績もダダ下がりになるという悪循環をもたらします。
上司も部下も同僚も、気軽にコミュニケーションが出来る「心理的安全性」の高い職場、風土を醸成していくことがパワハラ防止の近道かもしれません。