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カヌーに夢中になっている頃
かわいそうなこのバイクは
ずっと眠っていた
24歳のときに買ったこいつ
買った次の日に
走っていて
ギアチェンジしようと左足を動かした
感触が無い・・・・
えっ??
ギアペダルが外れて
ステップに引っかかってた
買って次の日だっつーの!!
ま いっか
エンジンがかからずに
バッテリーが上がる
しょうがないから
押しがけするが
なかなか かからず
近所のオヤジさんが不思議そうに
<そのバイク、新車だよな?
ま いいか
Vツインの鼓動が
心を叩く
憧れだったこいつが
今ある
それだけで満足だった
ハンドルをプルバックハンドルに交換
ハンドルが大きいため
振動を軽減するために
ゴムブッシュで止められているそれは
ふにゃふにゃな感触になってしまう
ゴムブッシュを鉄の削りだしに変える
これでゆったりとした姿勢になる
マフラーはノーマルでは
もそもそとした、最悪の音
最初からテーパードマフラーにしている
低めの抑えた音 でも切れがある
バッテリーにメッキカバーをつける
バッテリーは日本製ユアサがついている
しばらくはそれで満足
ライトが気に入らない
帽子をかぶったような姿が
どうにも我慢できなくなる
ステーごとすっきりとした
ライトに交換する
水戸に仲間ができて
3台で走る
その頃水戸にはチョッパータイプは
この3台しかなかった
仲間と走るその姿を見ながら
ああ・・俺もこんな風に見えるんだ・・・
ちくしょ~かっこいいぜ~!!!
自己満足の世界であった
そのうちに改造は
徐々にエスカレートしていく
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エンジンをばらし
各パーツを一個一個
サンダーで削り、
表面の黒い塗装を落とす
下地になったら
サンドペーパーをかける
200番ー600番ー800番
番数を上げ、きめを細かくする
水ペーパーできれいにする
アルミはここから
ピカールで磨き=金属磨きはこれが一番
最後の仕上げに
新聞紙でこすると
鏡のようになる
鏡面仕上げである
鉄はメッキをかける
ひとつ、ひとつ磨き上げるたびに
一人 にた~と、にやける
多分それを他人が見たら
きっと頭がおかしいと思われただろう
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ローライダー
それで充分だったはずなのに
いつかチョッパーへと
はまり込んでいく
タンクを換え
またハンドルを換え
シートを換え
ライトを換え
タイヤ、ホイールを換え
フェンダーを換え
とうとうフレームを換え
セルモーターをはずし
ベルトドライブにし
オイルタンクを換え
オイルラインを換え
テールランプ、ウインカー
シーシーバーを換え
その他もろもろ
いったい何が残ってるかって感じ
ってくらいの改造車になってしまった
こいつは俺が死ぬまで持つやつだから
それでいいのだ
でも死んだら一緒には埋められねえな・・・・・
そしてかれこれ31年が過ぎ
今 また
はじめようかと・・・・
今度はできるだけノーマルに近く
地味に、目立たぬように
そんな風に仕上げたい
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