智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

書と庭は通じる

2015年06月02日 | 書道、絵を描く
書を再開して、気が付いたことです。

書と作庭は相通じる、ということです。


漢字は、左と右、上と下のバランス、水平、垂直の角度、微妙に変えるだけで、表情が変わります。

庭では、石は字の楷書と似て、構成要素の変更はできませんが、

向き、角度、地上での見せ方、他の石とのバランス、間の取り方で、石の表情が出てきます。

庭木もしかり。


書では、紙という空間の中で、黒の墨と、余白の白のバランスも大切ですが、

庭も、土地という限られた場の中で、庭木、石、草、水のバランスが重要です。


私は子供の頃、そして中学高校で書道を習い続けましたが、

お手本を眺めながら、「どうして綺麗なのか?」と先生の字を分析をして、

先生の真似に終わらず、自分にとっての理想の美を追及する、そんなところがありました。


近所の深川図書館で本を借り、清澄庭園でおやつのお団子を食べながら、

「よきかな、よきかな」と眺めるのが好きな子供でもありました。


大学で法律を学び、その延長線上にある就職をして、肌に合わない、どこかしっくりこない思いを抱えて20代を走りぬき、

その間、趣味の旅行で、日本各地や海外を訪れる時は、建築物と名庭は欠かさずに、見て回りました。

そして、30代、造園業に飛び込み、ようやく、自分を発揮できる場を見つけることができました。


40代に家を建てるに際し、建築という空間美の世界に触れ、

そこでも問われるのは、水平や垂直、斜の角度、左右バランス、間の取り方・・・

空間へのセンス、美意識は、書道と相通じることに気が付きます。

雪舟など、古来優れた作庭家は、優れた絵と書も残しています。


作庭や建築の機会を得ることは、そう、あることではありません。

しかし、センスを鈍らせない為にも、書に打ち込むことは大事、と思うこの頃です。