九州の方に転勤になった頃……僕は小学校1年生だったんだけど……
朝、3時から4時ころ起きてたんだ」
ただ、鮮明に覚えていることは、朝早く起きると、不意に寝室のドアをノックされるんだ」
時々、どん!
という、大きな音になることがあった。
同じ部屋に弟も寝てたけど……あいつは1回くらい聞いたんじゃないか?
まあ、ともかく、そういうことがずっとあったんだ」
確認しようとは思わなかったんですか?」
そもそも、ドアをノックする習慣がうちには、無かったから……
『一体誰が?』
って思ったら、怖くてね……
しばらくは、何もできなかったよ。
まあ、その後、膀胱炎とかになって、体に悪いことになったんだけど……
それは、また別の話で……
何やかやあって、意を決して、僕は扉を開けてみることにしたんだ」
それでも、その家にいる間中、迷惑な訪問者は続いたんだけど……
後々になって、それは『やなり』だったんじゃないかな?
って、思ったんだよ」
「昔の人はよくわからなかったんで『やなり(家鳴り)』という妖怪がやったって思っていたらしいね。
それくらいから、水木大先生に傾倒して、オカルトに興味を持ったんだよ。
魔除けとかね」
「……正体を知っても、それが続いてるのは、どうかと思いますよ?」
ああ、続いてるで思い出したけど……
膀胱炎で入院した病室のドアも叩かれたっけなぁ」
「その後、静岡に帰ってきても決まって早朝にふすまを叩かれたし……
新築のアパート(鉄筋)のガラス張りのドアも叩かれたときの白っぽいものは、何だったんだろうね?」
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