独眼竜政宗

「いやー大河ドラマはイイ！」

「何、掌返ししてるんですか！」

「この説得力！

ファンタジーだけど、脚本も役者も一流だから物語として成り立っている。

『麒麟がくる』なんて、もう見れないんじゃないか？」

「たぬきの津川雅彦は、この後何度か家康をやるが……

他の家康役で、津川雅彦を超えられた役者はおらん！」

「勝新太郎の豊臣秀吉の貫禄よ！

他の追随を許さない別次元の秀吉！

これも後世で、真似した奴がいない！」

「た、確かにぐうの音も出ない役者陣でしたけど……」

「役者だけじゃないぞ？

演出だって、きちんと作法のわかった人がやってて、細かい手の動きや所作が行き届いてる！

今、あの演出ができる人間が、時代劇にどれほど関わっているか！」

「総集編ってことで、見どころ名場面をさらっておったが……

わし的名シーンはあれじゃな！

天下泰平で徳川の世にあって、たぬきの四男担ぎ上げて、天下を狙う場面！

久々に大戦になりそうだから、政宗生え抜きの取り巻きと軍議を開くシーン！

やはり、戦場こそ武士の居場所！

子供みたいにはしゃぐ爺共に目を細める政宗のシーンは印象深かったの」

「……ノッブは、政宗が生まれた頃には、もう死んでいましたけどね」

「まだ、生きとったわ！

今川義元にまぐれ勝ちして調子に乗って尾張守を自称しとった！」

「織田信長は、守護代の傍系だったから、名乗れなかったんだよね。

そもそも、将軍家にそんな力も無かったし」

「誤差範囲じゃないですか！」

「15年を誤差とか言うと、お前が人斬りしとった時間なんて消し飛ぶぞ？

まあ、同じ戦国大名で謙信はダントツじゃったが……

同時代に生きておったら、間違いなく慶長出羽合戦ではなく

天分出羽合戦になって追ったじゃろうなぁ……

わしは10年早く、政宗は10年遅かった……

そう言う相反性を歴史に感じるところじゃからな？」

「つまり、信長亡き後の信長だった……と？」

「いや、わしはわしだし、政宗も政宗じゃ。

わしはやつほど信心深くは無いし、やつはわしほど運が良くない。

ま、御仏なんてそんなもんじゃけどね？」

「かわいくゆっても、罰当たりですよ？」

「歴史にIFないけれど……ね。

脱線したけど、本当に傑作大河ドラマだと思う。

未視聴の方は、機会があったら見てみてください。

……つーか！

NHKは受信料を強制してるんだから、歴代大河を無料視聴させるくらいしろよな！」

「幕末純情伝もよろしくおねがいします！」

「あれは、大河じゃないじゃろ？」