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人類焼却による一年の空白を埋めるために、魔術協会から偉い人たちが来ることになった。
もろもろの準備があるため、僕こと高藤真実也は、1週間程の休暇……二一〇時間ほどの自由時間を得ることができた。
今まで、一年以上の拘束を考えると、こんな長い時間の自由を手にすることを想像もしていなかった。
どうにも、暇を持て余している僕に、カルデアの召喚英霊レオナルド・ダ・ヴィンチ……美の奉仕者にして信奉者ゆえに自身の霊基を弄って、モナ・リザ然とした美女に変貌した。
彼女に「やることないなら表に出てな」と日曜日の男親のようにカルデアから追い出されてしまった。
外にいても、やることはないのは変わらない。
ので、しょうがなく。
里帰り……いや、もともと住んでいた場所に……
懐かしきブロウン館に帰ることにしたのである。
行きと同様に、ローズ商会に連絡を取って、移動手段を確保してもらった。
いろいろと冷やかされもしたが、程なくロンドンまでの足を確保し、僕は帰路につくことにした。
行きと違うのは……
「先輩は倫敦に住んでいたんですか?」
「郊外だけどね」
僕と契約したデミサーヴァント……
マシュ・キリエライトと一緒だということだ……
この旅路が、まさかグランドオーダーと変わらない冒険になることを……
僕は、まだ知らない……
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