書名 なぜデジタル政府は失敗し続けるのか 消えた年金からコロナ対策まで
著者 日経コンピュータ (著)、(編集)
発行社 日経BP
発行日 2021年2月15日
頁 244
価格 1,800円 + 税
20年かけて政府が積み上げたIT戦略やITインフラが、新型コロナ対策で役に立たなかった。
まさにデジタル敗戦だ。
菅義偉首相肝煎りで「デジタル庁」創設に挑む平井卓也デジタル改革相は、こう反省の弁を述べた。
事実、マイナンバーカードは緊急の現金給付事業で力を発揮できなかった。
陽性者の情報を登録するシステムは病院や保健所から「使いにくい」と不満が噴出した。
国の構造から制度、人材までデジタルシフトを怠ってきたツケが回った格好だ。
行政のDX(デジタル変革)に挑む日本は、この敗戦から何を学ぶべきか。
年金システムから特許庁システム、マイナンバー関連システムまで、
20年にわたる電子政府/システム調達改革の歴史から、失敗の教訓を読み解く。
≪目次≫
■第1章 2020年、日本は「敗戦」を喫した
コロナ禍、デジタル政府は機能せず
感染者情報管理システム「HER -SYS」
接触確認アプリ「COCOA」
医療機関と行政の情報共有システム「G -MIS」
雇用調整助成金オンライン申請シ
ステム/持続化給付金オンライン申請システム
特別定額給付金オンライン申請システム
●「敗戦」以外の何物でもない―デジタル改革相 平井 卓也 氏
●3つの「壁」がIT活用を阻んだ―衆院議員 平 将明 氏
●厚労省のIT人材は片手ほどだった―衆院議員 橋本 岳 氏
■第2章 電子政府を巡る20年の大混乱
大手ITベンダーに支配されたデジタル政府
IT調達改革の不備が露呈した特許庁システム刷新
IT調達改革に欠けていた「必要なリソース」の視点
強い調達力」のヒントは韓国にあり
■第3章 政府CIO設置、立て直し始まる
ITガバナンス変革へ
特許庁の正攻法、内製・調達力を高める
■第4章 セキュリティーに翻弄された年金システム
「消えた年金」の衝撃「/セキュリティー」が刷新の足を引っ張る
官公庁システム、セキュリティー強化へ
拙速なセキュリティー対策が生んだひずみ
自治体はセキュリティー対策が形骸化
■第5章 マイナンバーカードの一進一退
マイナポータル、ログインでつまづく
コロナ禍で真価を発揮できなかったマイナンバーカード
サービスの拡充が続くマイナンバーカードとマイナポータル
■第6章 自治体システム、標準化への困難
「25年度末までに統一」に懸念
100億円をかけた京都市の基幹刷新が「中断」
「統一・標準化」から「標準化・共通化」へ
■第7章 デジタル庁発足へ、変わる省庁と自治体
デジタル庁創設、その中身は
法改正でマイナンバー制度はどう変わる
行政DXへ動き出した自治体
■第8章 デジタル庁設立への提言
●住民主語のデジタル化を進めよ―Z ホールディングス社長CEO(最高経営責任者) 川辺 健太郎 氏
●優れた地方DX事例の横展開を―サイボウズ社長 青野 慶久 氏
●自律分散型でイノベーション起こせ―シナモン社長CEO(最高経営責任者) 平野 未来 氏
●住民メリット生み出す標準化を―Japan Dig ital Design CTO(最高技術責任者) 楠 正憲 氏
●デジタル格差を生み出すな―東洋大学教授 竹中 平蔵 氏
●データガバナンスの強化望む―武蔵大学教授 庄司 昌彦 氏
●行政システムもオープンソースに―一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事 関 治之 氏
●危機になってから動くのでは遅い―政府CIO 三輪 昭尚 氏
●アーキテクチャーにまで踏み込まなければ―デジタル改革相 平井 卓也 氏
おわりに