昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 三

2010-07-07 21:53:56 | 小説
[呪文]

『大人になったら・・』
それが子供の次郎吉にとっては、
万能薬の如くに思えていた。

大金持ちになることも容易いことだと思えていた。
唯、
その為に何を為すべきかは分からないでいた。

毎日が空きっ腹の次郎吉は
『大人になったら・・』と、
呪文の如くに呟くだけだ。

しかしながら、
そんな夢のような呪文も、
年を経るにつれ段々と萎んでいった。

二十代半ばとなった今では何の夢もなく、
子どもの頃の夢も忘れてしまった。

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