9/28(月) 19:51配信
ABEMA TIMES
竹内結子さん
女優の竹内結子さんが自宅で意識不明の状態で見つかり、その後、死亡が確認された。数多くのドラマや映画に出演していた竹内さんの、40歳という早すぎる死に日本中に驚きと悲しみが広がった。
相次ぐ自殺に臨床心理士「コロナ禍は外して語れない」
9月27日の午前2時前、東京・渋谷区のマンションで夫の俳優・中林大樹(35)から119番通報があった。竹内さんは自宅の寝室で心肺停止の状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。遺書などは見つかっていないが、警視庁は周辺の状況から自殺したとみて調べている。
竹内さんは2005年6月に歌舞伎俳優の中村獅童と結婚、11月に長男を出産したが、3年後の2008年2月に離婚した。去年2月に中林と再婚すると、今年1月には第2子となる男児を出産していた。
ここ最近、芸能界で自ら命を絶つ人が相次いでいることに、臨床心理士の明星大学・藤井靖准教授は「本当に衝撃でした。またこういうことが起こってしまったという、ショックな気持ちが大きい」と率直な感想を述べると、続けて「今年はコロナ禍というのは、外して語れないと思う。俳優、女優の方がなくなるということが相次いでいるが、一人の労働者として見た場合、仕事があったりなかったりという時期を繰り返していく方も多い。中にはコロナで仕事がなくなって、本当にまた仕事が始められるんだろうかという不安や、自信をなくした方もいると思う」と、労働時間やリズムが不安定な職種であることもストレスがかかりやすいのではと指摘した。
また、自身が出演した作品の評価が、自分の存在価値にも直結しやすいのが俳優業の特異性だとして「例えば会社員のように、同僚や先輩・後輩がいて、手伝ってもらったり代わってもらえるという環境でもないため、孤独な真剣勝負を続けていかなければならない。普段からプレッシャー、ストレスがかかる上に、コロナ禍でイレギュラーな日常を誰しもが強いられている。亡くなるということは複合要因で、一つに絞ることは難しいが、自分と向き合う時間が増えたことでアイデンティティや自分の今後について考えざるを得ない状況も相まって心理的な負担がかかり、精神的な孤独に至っていた可能性は推測される」と、様々な不安の積み重ねが要因だったのではと語った。
今年1月に出産していた竹内さんだが、一般論として出産をした女性の心、体がアンバランスになることは珍しくない。「マタニティブルーズといって、2週間以内の短期的な精神や身体の不調は30%ぐらいの人に起こると言われている。それが長く続くと産後うつと呼ばれ、出産して3カ月以内に発症することが多い。その後、カウンセリングや治療など何も対策をしなかった場合、さらに3カ月程度でより状態が悪化して、より苦しくなるケースも少なくない。場合によっては自分が消えてなくなりたい、いなくなりたいとか、死にたいとかいう気持ちを持ってしまう場合もあるので、竹内さんがどういう状況だったのかと考えてしまう」と、状況を推察した。
大きなストレスを抱えた本人が自ら自分の気持ちを吐露できればいいが、なかなかSOSを出すのも難しい。その場合は、周りの人々のケアが必要だ。「15秒の気配りと3分の雑談を大事にしてほしいと思う。『15秒の気配り』は、自分の周りに誰か気になる人がいた時に、何しているか、今どういう状態、気持ちでいるかを考えてみてほしい。15秒、ある人のことを考えると『あの人気になるな』とか『大丈夫かな』とか『どうしてるかな』とか、いろいろな思いが出てくる」と説明。さらに「気になった人にはSNSでも電話でも対面でもいいので、ちょっと声をかけていただきたい。そこで3分ぐらい雑談してもらうといいと思う。そうすると何か様子が違うなとか、なんでこんな話をするんだろうと思うかもしれない。短い時間であっても、繰り返し雑談の機会を作ることで、変化に気付きやすくなったり、つらい気持ちにある人が話せる場を作るということにもなる」と、短く思える時間も人の救いになる可能性があると訴えた。
この15秒の気配りと3分の雑談も、コロナ以前であれば何気なく出来ていたことかもしれない。「コロナ禍で、雑談はものすごく大事なことだったんだなと改めて感じる。そういう時間が、ソーシャルディスタンスや感染拡大予防で少なくなっている。産後で気分が落ち込んでいる方は、わけもなく泣きたくなったり気分が不安定でイライラしやすかったりする。周りの人は、自分で命を絶つことは否定しつつも、辛い気持ちは肯定して受け止めてあげて欲しいし、3分の雑談も方法の一つとして活用してもらえれば」とした。
最後に藤井氏は、有名人の死去が相次いでいることにも言及し、「やはり私たちの人生の中で人が亡くなることは最も心理的なインパクトが大きい。いまだ辛かったり、ショックを受けている人は多くいると思う。また、今まさに辛い気持ちだったり、死にたい気持ちがある方は、現実味を感じて苦しくなっているかもしれない。それらは当たり前の反応ともいえ、だからこそ心が辛くなるような情報からは距離を置くことも時に大事だし、また、自分が考えている以外の悩みや問題の出口が必ずあると考えて欲しい。時間はかかるかもしれないが、私たちも危機を乗り越えるお手伝いを現場でしていきたい」と、呼びかけていた。
「いのちの電話」
0570-783-556
「こころの健康相談統一ダイヤル」
0570-064-556
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)