利根輪太郎の競輪人間学 記入ミス

2024年10月17日 21時58分25秒 | 未来予測研究会の掲示板

GⅠ   弥彦競輪 寛仁親王牌・世界選手権記念

初日(10月17日)

8レースは、いただきと利根輪太郎は意気込んだ。

1-2 1-3 1-9からの3連単各1000円を購入した。

1-2-3 1-3-2 1-9-2 1-9-3

だが、買ったはずの1-3-9番を買っていなかったのだ。




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 1 吉田 拓矢   11.0   捲りを捲る
2 3 佐々木 豪 1車身 11.3   追上キメ捲
3 9 神山 拓弥 1/4車輪 11.1     捲りに口空
× 4 2 山田 久徳 3/4車身 11.5     番手牽制も
5 7 橋本 強 1/2車輪 11.4     切替内失敗
  6 4 田尾 駿介 4車身 11.3   S 口空き浮き
  7 8 稲垣 裕之 2車身 11.9     キメられて
  8 6 小林 潤二 2車身 11.5     加速に離れ
9 5 中釜 章成 3/4車身 12.3   B 先行捲られ

 

 
2

1=3
2,260円(8)
2

1=3
2,390円(10)
3

1=3=9
1,400円(4)


1=3
640円(10)
1=9
170円(1)
3=9
960円(15)
1-3
2,970円(10)
1-3
3,070円(9)
1-3-9
11,470円(35)

戦い終わって

戦い終わって写真

 後方スタートの吉田拓矢が佐々木豪を押さえて、やる気満々の中釜章成が山田久徳、稲垣裕之を連れて上昇。すかさず打鐘で佐々木が巻き返しに出るも、稲垣の横で止まって位置を奪う。中釜の先行で迎えた最終バック、3番手から佐々木が山田の牽制を乗り越えて捲ると、その上を吉田が捲って1着。先捲りの佐々木が2着、3着は吉田マークの神山拓弥。

 吉田は「並び的に後ろでも良いかなと。みんなを1回動かせたし、柔軟に走れた。ダッシュが良い中釜君が中団だったので、そこだけ警戒していた。セッティングも最近の中では一番感触が良いけど、もう少し微調整を。上手く回せなかったのは緊張もあるけど、まだ余分な力みがある感じなので」
 佐々木は「田尾さんのスタートが速くて助かった。同県の先輩が付いているし、ジャン前で行くのは決めていた。中釜君のダッシュが良かったし、無理やりカマしてもバックでタレてしまうかなと。落ち着いて判断して対処できたと思う」
 神山は「吉田君が後ろ攻めから頑張ってくれた。余裕は出てきたけど、しっかり付けきって2着に続きたかった。状態は普通。でも、共同通信社杯の後に配分が空いたので、そこでしっかり練習できた」

 

 

 


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

2024年10月17日 09時21分24秒 | 社会・文化・政治・経済

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題:Once Upon a Time in... Hollywood)は、2019年のアメリカ合衆国、イギリスのスリラー映画。

1969年にハリウッド女優シャロン・テートがチャールズ・マンソン率いるカルト集団「マンソン・ファミリー(英語版)」に殺害された事件を背景に[4]、ハリウッド映画界を描いた作品。クエンティン・タランティーノの監督第9作目であり、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットの初共演作品[5]。

あらすじ
かつて西部劇を中心にテレビスターとして名を馳せていた俳優リック・ダルトンは、カウンターカルチャーの影響で変容しつつあるハリウッドの中で時代の流れに取り残され、今やドラマの悪役や単発企画へのゲスト出演に甘んじていた。

リックの親友で専属スタントマンのクリフ・ブースもリックと同様に時代の流れの煽りを食い、また過去に自身が起こした出演者とのトラブルもあってリックの世話係を務める毎日を送っていた。

そんな中、シエロ・ドライブ(シエロ通り)にあるリック邸の隣にまさに時代の寵児となりつつあった映画監督ロマン・ポランスキーとその妻で売り出し中の若手女優シャロン・テートが引っ越してきていた。

1969年2月8日、リックは西部劇愛好家で映画プロデューサーのマーヴィン・シュワーズからイタリアの西部劇映画への出演を勧められる。ハリウッドスターとしてのプライドから誘いを固辞するリックは、ハリウッド俳優としての限界を改めて突きつけられたとクリフに泣きつき、自身とは正反対に多くの友人に囲まれながら華やかで幸福な前途洋々の生活を送るポランスキー、シャロン夫妻を苦々しく見つめるのであった。

1969年2月9日、リックはクリフの運転で撮影現場へ向かう。リックから撮影中に家のアンテナを修理しておくように依頼されたクリフは屋根の上から、ポランスキー邸に向かう一台の車を目撃する。

やがて車から降りた男に対して、ポランスキー邸に出入りしているシャロンの元恋人で友人のジェイ・シブリングが声をかけると、男は「“テリー”を探している」と言う。ジェイが「ここは1か月前からポランスキーの家だ」と返すと男は去っていった。

若手俳優ジェームズ・ステイシー主演のテレビ西部劇『対決ランサー牧場(英語版)』に悪役として起用されていたリックだったが、監督から髪型のチェンジや、付け髭などを要求され、「テレビ映画の演技ではなく、映画の演技を見せろ」と言われて困惑する。さらに、前夜の深酒の影響から何度も台詞を飛ばしてしまう。トレーラーハウスで気合いを入れ直したリックは、悪役としての見せ場であるシーンの撮影でスターならではの怪演を見せつけるのだった。

その頃、シャロンは休日を1人で過ごしていた。ショッピングの帰り道、自身が出演した映画『サイレンサー/破壊部隊』が上映されている映画館の前を通りがかり、自分の名がクレジットされたポスターを眺めて気を良くしたシャロンは、受付係に「この映画の出演者なの」と声をかける。怪訝な顔をされながらも何とか入場を許され、自身の演技に対する客のリアクションを見て満足気な表情を浮かべるシャロンだった。

一方、リック邸のアンテナ修理を終えた後、気ままにドライブしながらリックの迎えまでの時間を潰していたクリフは、ヒッチハイクをするヒッピーの少女プッシーキャットをピックアップする。プッシーは行き先を「スパーン映画牧場」と告げるも、クリフにとって馴染みの撮影所であった牧場について彼女が「仲間と暮らしている」と語ったことに違和感を感じた彼は、牧場主のジョージ・スパーンに挨拶するためという口実で牧場を訪れる。

牧場に着くと、車から降り立ったクリフをヒッピーたちが取り囲む。ヒッピーを説得しジョージとの再会を果たしたクリフであったが、ジョージは両目を失明した上記憶も混濁している状態で軟禁されていた。牧場は「チャーリー」という人物を崇拝するヒッピー集団のコミュニティとなっていた。

半年後の1969年8月8日、リックは妻のフランチェスカ・カプッチとクリフと共にロサンゼルスへ向かう飛行機に搭乗していた。『対決ランサー牧場』への出演後、リックはイタリア映画への出演を承諾し、クリフと共におよそ半年間のイタリア生活を過ごしていたのだった。半年の間に出演した4作品はいずれもイタリア国内でヒットし、2人はある程度の成功を収めていた。ロサンゼルスに着いた2人は街のレストランで食事を共にし、深夜(明けて8月9日)、泥酔してタクシーにてリック邸に帰宅した。

ポランスキーとの子を身ごもっていたシャロンは、大きく膨らんだお腹を抱えながらジェイら友人と共に街のレストランで食事を摂り、その後夫の留守を理由に彼らを自宅に招いた。

クリフが愛犬のブランディの散歩に出た後、リックが追加のマルガリータを作ろうとキッチンに立った頃、4人の男女を乗せた一台の車がシエロ・ドライブに現れた。リック邸の前に停車した車のエンジン音に苛立ったリックは4人を恫喝し、その勢いに気圧された4人は足早にその場を後にした。「チャーリー」からの命令により旧テリー・メルチャー邸に住む人物(即ちシャロンら)の殺害を企てていた4人であったが、自分たちを恫喝した人物がリック・ダルトンであることに気づくと、「リック・ダルトンのような殺人を演じた西部劇スターこそが自分たちに殺人を教え込んだ張本人である」「殺しを教えた奴らを殺そう」と標的をリックに変更する。

「マンソン・ファミリー(英語版)」がリック邸に押し入ると、ちょうど散歩から帰宅したクリフとブランディが彼らを迎えた。ファミリーのリーダー格の男テックスはクリフに銃を向け、奥の部屋で寝入っていたフランチェスカもナイフを突きつけられる。しかし、クリフがブランディに対して合図を出すと、ブランディはテックスの腕に噛みつき、クリフも怯んだファミリーを容赦なく袋叩きにする。1人プールで酒と音楽に浸っていたリックだったが、クリフとブランディから攻撃を受け半狂乱になった女がプールに飛び込んでくる。手にした銃を四方八方に乱射する女に対し、リックは過去の出演作で使用した小道具の火炎放射器を取り出し女を焼いて制圧した。

やがて警察と救急隊が駆けつけ、ファミリーの遺体と負傷したクリフを搬送、リックとフランチェスカは事情聴取を受ける。クリフを見送りその場に佇むリック。騒ぎを聞きつけやってきたジェイがリックに声をかける。シャロンもリックの身を案じ、他の友人と共に自宅へ招き入れるのであった。

登場人物・キャスト
主な登場人物
リック・ダルトン
演 - レオナルド・ディカプリオ
本作の主人公。1933年生まれ。かつてテレビの西部劇ドラマ『賞金稼ぎの掟』で人気を博した俳優。映画スターへの道が切り開けず、キャリアの停滞に焦る毎日を過ごしている。マーヴィンからイタリア映画への出演を提案されるも、質の低いイタリア西部劇への出演は「都落ち」であるとして提案をはねつける一方で、ハリウッドでは既に「過去のヒーロー」と見なされており、将来有望な若手俳優のかませ犬的配役に起用されることがほとんどとなっている。かつては『大脱走』でスティーブ・マックイーンが主役を降りる騒ぎがあった際、3人のジョージ(ジョージ・チャキリス、ジョージ・ペパード、ジョージ・マハリス)と共に代役候補となったこともある。
ハリウッド俳優としての将来の不安から、やや情緒不安定な様子が描かれる。街中に溢れるヒッピー文化への嫌悪感を隠さない。
2023年5月、監督であるタランティーノが自身のポッドキャスト番組『The Video Archives Podcast』の公式Twitterで、「妻のフランチェスカに看取られ、ハワイの自宅で静かに息を引き取った。享年90歳」であることを発表した[8]。
クリフ・ブース演 - ブラッド・ピット
本作の副主人公。リックの親友で彼の専属スタントマン兼世話係。戦争の帰還兵で、ハリウッドからやや離れた郊外・ヴァンナイズ(英語版)のトレーラーハウスでピットブルのブランディと暮らしている。
リックの仕事減少に伴ってスタントマンとしての仕事が減っている上、過去に他の出演者と暴力沙汰の騒ぎを起こしたことや妻殺しの噂があることから、現場から避けられている節がある。
情緒不安定さが目立つリックとは対照的に常に飄々としており、あらゆる面からリックのフォローを務める。その一方で暴力を厭わないやや粗野な一面も度々垣間見せる。
シャロン・テート演 - マーゴット・ロビー、
本作のヒロイン。ハリウッドで売り出し中の若手女優。
純粋で無邪気な性格の26歳。夜な夜なナイトパーティに繰り出したり、自宅でも音楽を大音量でかけて躍るなど若者らしい振る舞いが目立つ。
自身が出演する映画を上映する映画館に出演者として訪れ無料で鑑賞した際には、自らの演技に対する観客たちの好意的なリアクションを前にして素直に喜ぶ様子を見せた。なお、この時上映されていた『サイレンサー/破壊部隊』の映像は実際のものが使用されている。
ポランスキーとともにシエロ・ドライブ(シエロ通り)に引越ししてきたが、隣人であるリックとは直接の面識はなかった模様。
ハリウッド関係者
ロマン・ポランスキー演 - ラファル・ザビエルチャ
新進気鋭の映画監督でシャロンの夫。シャロンとともにシエロ・ドライブに引越してきたが、シャロンと同様隣人であるリックとは直接の面識はない。
撮影のために家を留守にしていることが多く、「マンソン・ファミリー(英語版)」の襲撃の際も制作のためロンドンに滞在していた。
マーヴィン・シュワーズ演 - アル・パチーノ
西部劇をこよなく愛する映画プロデューサー。お気に入りの俳優の1人であるリックのキャリアを案じており、イタリア映画出演を提案・仲介する。
サム・ワナメイカー演 - ニコラス・ハモンド、
『対決ランサー牧場(英語版)』の監督。ヒッピー的な役作りを拒むリックに対して、「過去の役を感じさせたくない」「主役の若手俳優を輝かせたい」と主張した。
その一方で、本番でリックが見せた怪演を手放しで絶賛した。
ランディ・ミラー演 - カート・ラッセル
スタントマンのコーディネーター。クリフの妻殺しの噂を信じている他、前述のブルースとのいざこざからクリフの起用を避けている。
演じるラッセルは本作のナレーターも務めている。
ジャネット・ミラー演 - ゾーイ・ベル
ランディの妻。ランディ以上にクリフを毛嫌いしている。ゾーイ・ベルはジャネット役以外にも映画内のスタントもいくつか担当している。
ジェームズ・ステイシー演 - ティモシー・オリファント
『対決ランサー牧場』で主役のジョニー・マドリッド役を演じる若手俳優。
リックとの会話で、悪気は無いながらもリックの傷を抉るような質問をしてしまう。
トルーディ・フレイザー演 - ジュリア・バターズ
『対決ランサー牧場』でリックと共演した子役俳優。8歳ながら俳優として高い意識とこだわりを持っており、リックに対しても大人びた態度を見せる。
小説の主人公と自らの境遇を重ね合わせて思わず涙ぐむリックを励ました他、一転悪役として真骨頂を見せたリックに「今までの人生で最高の演技」と絶賛した。
ウェイン・モウンダー演 - ルーク・ペリー
『対決ランサー牧場』でスコット・ランサー役を演じ、リックと共演する俳優。
ブルース・リー演 - マイク・モー
若手カンフー俳優。『サイレンサー/破壊部隊』ではシャロンのアクション指導も行なった。
クリフが起こした騒動の相手。ある日の撮影前、アクション俳優としての心得を説いた際にそれをせせら笑ったクリフに喧嘩を仕掛け、投げ飛ばされた際にジャネットの車を傷つけた。人気テレビドラマシリーズ『グリーン・ホーネット』の「カトー」役で出演していたため、クリフから「カトー」と呼ばれている。
スティーブ・マックイーン演 - ダミアン・ルイス 
シャロンの友人で、『大脱走』などに出演するハリウッド・スター。
本作では、リックと正反対にテレビスターから映画スターへの転向に成功した者として描かれる。
プレイボーイ・マンションのパーティーに参加していた際にはポランスキーが後に「やらかす」ことを示唆するような発言をしていた。
ジェイ・シブリング演 - エミール・ハーシュ
シャロンの元婚約者で友人のヘアスタイリスト。スティーブ・マックイーンのヘアメイクを担当する。
家を留守にするポランスキーに代わりシャロンの世話役を担っており、日常的にポランスキー邸に出入りしている。
マックイーンによればシャロンに未練があるとのことで、常に夫妻と一緒にいるのは彼女とポランスキーとの不和を見逃さないようにするためらしい。
リックの出演作にも精通している様子である。
コニー・スティーヴンス演 - ドリーマ・ウォーカー
シャロンの友人で女優。プレイボーイ・マンションのパーティーにスティーブやジェイと共に参加していた。
ミシェル・フィリップス
演 - レベッカ・リットンハウス
シャロンの友人で歌手、女優。ママス&パパスのメンバー。プレイボーイ・マンションのパーティーに参加していた。
キャス・エリオット
演 - レイチェル・レッドリーフ
シャロンの友人で歌手。ママス&パパスのメンバー。プレイボーイ・マンションのパーティーに参加していた。
ジョアンナ・ペティット
演 - ルーマー・ウィリス
シャロンの友人で女優。事件当日の昼頃にシャロン宅を訪れていた。
マンソン・ファミリー
チャールズ・マンソン演 - デイモン・ヘリマン
カリフォルニア州にて、カルト集団「マンソン・ファミリー(英語版)」を率いて集団生活をしていたカルト指導者。
作中では「チャーリー」とのみ言及されている。
プッシーキャット演 - マーガレット・クアリー
クリフを気に入り、彼をスパーン映画牧場に招く。実際のファミリーには存在しない架空のキャラクター。
テックス演 - オースティン・バトラー
ポランスキー邸襲撃グループの1人。ファミリー内ではマンソンに次ぐ地位。乗馬が得意で、スパーン牧場では乗馬体験ツアーを提供している。本名はチャールズ・ワトソン。
スクィーキー演 - ダコタ・ファニング
ジョージ・スパーンの世話係。本名はリネット・フロム。
ジプシー(英語版)
演 - レナ・ダナム
やや年配の女性。プッシーキャットを牧場まで送ってくれたクリフを歓迎する。本名はキャサリン・シェアー。
ケイティ(英語版)
演 - マディセン・ベイティ、日本語吹替 - 高橋紗耶香[7]
ポランスキー邸襲撃グループの1人。赤毛でウェーブのかかった髪が特徴。本名はパトリシア・クレンウィンケル。
セイディ(英語版)
演 - マイキー・マディソン
ポランスキー邸襲撃グループの1人。黒髪に青白い顔が特徴。本名はスーザン・アトキンスで、シャロン・テート殺害事件の主犯とされている。
クレム(英語版)
演 - ジェームズ・ランドリー・ヘーベルト、日本語吹替 - 吉田勝哉[7]
リックの車のタイヤをパンクさせたことでクリフに殴られる。
フラワー・チャイルド(英語版)
演 - マヤ・ホーク
リンダ・カサビアンをモデルとしたキャラクター。フラワー・チャイルドは通称だが、実際にこのように呼ばれていたわけではなく、本作劇中のみのオリジナル名。
ポランスキー邸襲撃グループの1人だが、カサビアンは逃亡のための運転担当で邸宅内には侵入していない。本作では襲撃直前に車で1人逃げ出し、襲撃グループで唯一、凶行には加担しなかった。
ルル(英語版)
演 - ビクトリア・ペドレッティ(英語版)
スネーク(ドイツ語版)
演 - シドニー・スウィーニー
フロッギー
演 - ハーレイ・クイン・スミス
サンダンス
演 - キャシディ・ヴィック・ハイス 、日本語吹替 - 種市桃子
キャラクター名は、演じるハイスが自分で名付けたもの。
エンジェル
演 - ダニエル・ハリス
ジョージ・スパーン(英語版)
演 - ブルース・ダーン[注 2]、日本語吹替 - 佐々木睦
スパーン映画牧場の牧場主。盲目で、意識も混濁していたことから、ファミリーに利用されていた。
その他
フランチェスカ・カプッチ
演 - ロレンツァ・イッツォ、日本語吹替 - 下田屋有依[7]
リックがイタリア滞在中に結婚した若手イタリア人女優。
ビリー・ブース
演 - レベッカ・ゲイハート、日本語吹替 - 清水はる香[7]
クリフの亡き妻。彼女の死について様々な噂が立っている。夫婦仲は険悪であった模様。
ヴォイテク・フライコウスキー(英語版)
演 - コスタ・ローニン(英語版) 、日本語吹替 - 丹羽正人
シャロンの友人。ポランスキーの旧友で脚本家志望。襲撃事件の夜、シャロン宅に招かれていた。
アビゲイル・フォルジャー(英語版)
演 - サマンサ・ロビンソン(英語版) 、日本語吹替 - 藤田曜子
シャロンの友人。ヴォイテクのガールフレンドで、コーヒーブランド・フォルジャーズの女相続人。襲撃事件の夜、シャロン宅に招かれていた。
メアリー・アリス・シュワーズ
演- ブレンダ・ヴァッカロ
マーヴィンの妻。
アレン・キンケイド
演 - スペンサー・ギャレット(英語版) 、日本語吹替 - 長谷川敦央
リックとクリフにインタビューするTVキャスター。
ダフナ・ベン=コボ
演 - ダニエラ・ピック
イタリア人女優。演じているダニエラ・ピックはタランティーノ監督の妻である。
ラリー・エドマンズ
演 - クルー・ギャラガー、日本語吹替 - 佐々木睦
シャロンが訪れた書店の主。
ブルーイン・シアターの受付嬢
演 - ケイト・バーラント(英語版)
ブルーイン・シアター(英語版)で受付を務める女性。
シャロンのことを「『哀愁の花びら』に出てた子」としか認知しておらず、シャロンが『サイレンサー/破壊部隊』を見に来た時も「出演者だ」という言葉をすぐに受けいれなかった。
ヒッピーの売人
演 - パーラ・ヘイニー=ジャーディン
クリフにLSD漬けのタバコを売る。
ビル・フリッチュ
演 - トム・ハーティグ
スパーン映画牧場に屯するヘルズ・エンジェルスのバイカー。
実在するエンジェルス・メンバーであり、後にオルタモント・フリーコンサートの警備を担当したメンバーの1人。
ドニー
演 - オマー・ドゥーム(英語版)
スパーン映画牧場に屯するヘルズ・エンジェルスのバイカー。
デヴィッド
演 - デヴィッド・スティーン(英語版)
スパーン映画牧場に屯するストレート・サタンのバイカー。
ナレーション
声 - カート・ラッセル、日本語吹替 - 安原義人
西部劇の登場人物
ボブ・ギルバート
演 - スクート・マクネイリー
『対決ランサー牧場』に登場する人物。「請負人」の二つ名を持つ。
エルネスト
演 - クリフトン・コリンズ・Jr
『対決ランサー牧場』に登場する人物。
バーテンダー
演 - マルコ・ロドリゲス(英語版)
『対決ランサー牧場』に登場する人物。
ならず者
演 - モーリス・コンプト(英語版)、リュー・テンプル、ヴィンセント・ラレスカ(英語版)
『対決ランサー牧場』に登場する人物。
保安官
演 - マーティン・コーヴ
『賞金稼ぎの掟』に登場する人物。
ハケット保安官
演 - マイケル・マドセン 、日本語吹替 - 長谷川敦央
『賞金稼ぎの掟』に登場する人物。
アグリー・オウル・フート
演 - ジェームズ・レマー
『賞金稼ぎの掟』に登場する人物。
賞金稼ぎの掟のナレーション
声 - コーリー・バートン
『賞金稼ぎの掟』のナレーション。
カメオ出演・シーンカット
ハンブル・ハーヴ・ミラー
声 - レイジ・スチュワート(クレジットなし)
ラジオ局KHJ(英語版)のDJ。
レッド・アップルのCM監督
声 - クエンティン・タランティーノ(クレジットなし)
リックが出演したレッド・アップルのCMの監督。声のみの出演。
オールド・チャタヌーガ・ビールのCMのナレーション
声 - ウォルトン・ゴギンズ
出演シーンカット。未公開シーンに登場。声のみの出演。
バート・レイノルズ
演 - ジェームズ・マースデン
出演シーンカット。未公開シーンに登場。レッド・アップルのCMに出演している。
アモス・ラッセル
演 - ティム・ロス
出演シーンカット。ジェイ・セブリングの執事。


創作 徹の青春 18

2024年10月17日 06時34分42秒 | 創作欄

徹の母親の江梨子がうつ病になったのは、3年前のことである。
原因は、夫の佐吉の浮気問題であった。
狭い沼田の街のことであり、江梨子はお花の稽古仲間の一人から聞いた。
「言おうか、言うまえか迷っていたのだけれど、私、見てしまったの」
お花の稽古仲間は7人いたが、その人とは格別親しかったわけではないので、江梨子は相手を訝って見詰めた。
4
月の中旬で沼田城址公園の桜が5分咲きであったのに、昨夜降った雪が開花した桜の花びらと蕾を包み込むように積もっていた。
2人は立ち止まってそれを見た。
「雪が降り積もって桜が、かわいそうね」と江梨子は言った。
相手はまだ言い淀んでいる様子であった。
「あなた、何を言いたいの」江梨子は促した。
「あなたの旦那さんが、女の人と寄り添って歩いているところを、見てしまったの」
相手は気まずそうに俯いて言う。
「あなたは、私の夫を知っているの?」
江梨子は改めて相手の横顔を凝視した。
「実は、あなたの旦那さんとは尋常小学校の同級生だった。田代幸恵と言えば佐吉さんは覚えているはずよ」
田代幸恵は親しげに笑みを浮かべた。

「そうなの。世間は狭いのね」
だが江梨子は微笑むことができなかった。
城掘川に江梨子は目を転じた。
「私の家は、横塚町の菊屋商店の裏にあるの。遊びに来てね」
田代幸恵は、夫の佐吉について詳しく話すことなく立ち去って行った。
その夜から江梨子は不眠症になった。
「本当に夫の佐吉が浮気をしているの?」
浮気をすることなど江梨子には、とても信じ難いことであった。
江梨子は夫が戦死して、夫の弟の佐吉と再婚していた。
家長制度の名残りであり、兄嫁と義弟の関係からして如何にも日本的な結びつきであった。
一方では、明治時代の貞操観念から夫を亡くした妻は「2夫に交えず」(操正しき女は未亡人になっても、再婚しない)という教えもあったのである。
沼田祇園祭の8月5日、君江が強姦された日に佐吉は農協の旅行だと言っていたが、ある女の人と2人で新潟県の湯沢温泉に行っていた。
1956年(昭和31年)、経済企画庁は経済白書「日本経済の成長と近代化」の結びで「もはや戦後ではない」と記述、この言葉は流行語になった。
君江の強姦事件は、それから4年後(1960年)に起きた。

「徹、おぎょん(祇園祭の別称)には君江1人では行かせるな。何かあると困るからな。兄貴のお前が確りと面倒を見るんだ。いいいな。分かったか」
佐吉は旅行で家を出る前の夜、徹に釘を刺すように言った。
例年なら父親の佐吉が、沼田祇園祭に娘を連れて行っていた。
結果として、父親佐吉の浮気旅行が裏目に出たのだ。
浮気相手は、いわゆる戦争未亡人であり、妻の江梨子と同じ立場の人で会った。
18
歳で結婚し、20歳で夫を戦争で失っていた。
江梨子の夫と同じ高崎陸軍歩兵第十五連隊で、昭和16年から始まった太平洋戦争の激化により、十五連隊は南方パラオ諸島に派遣され、ペリリュー島の攻防をめぐってアメリカ軍と激戦を交え、2個大隊分(約2000人)が全滅し、昭和21年(1946)、日本に帰還できたのは1個大隊分の人たちだけであった。

 

創作 徹の青春 19

徹の母親の江梨子は、うつ病を発症して病院通いをしていたが、信仰を得てから劇的に変化を遂げた。
それはほとんど奇跡的であった。
説明できない「何ものか」の存在を確信したのである。
「宇宙の法則」と呼ばれている教えを信じて、毎日祈り捧げていた。
1
時間、2時間、3時間。
すると、内面から湧きあがるものを感じ始めた。
「不思議な現象は、誰にも起こるのです。ところが、多くの人はそれを無視します。例え不思議な現象が起こったとしても、単なる偶然だと思ってしまいます」
江梨子を信仰に導いた高校の教師をしている大月杏子が確信を込めて言っていた。
「本当だったのね」
祈り終えて江梨子は歓喜を抑え難くなった。
江梨子は、娘の君江を産んで2年後に子宮筋腫となり、子どもが産めない体となった。
さらに32歳で子宮頸がんとなった。
その後、夫との夜の営みに段々と抵抗感を抱くようになっていた。
夫の佐吉は若かったので不満を口にした。
18
歳で徹を産んだ江梨子は、35歳になっていた。
夫の浮気に対して、「北風ではなく、太陽でいこう」と決意していた。
また、江梨子は母親として、15歳の娘の君江を信仰へ導いた。
「信仰はね。信じることから始まるの。いいわね。知識でも知恵でもないの。まず、信じること」
確信を込めて諭した。
君江は教えられるままに、母親の後ろに正座して祈った。
「君江は、素直な性格なので、不思議な現象が内面から湧いてくるわよ」
江梨子が君江を振り返り微笑んだ。
「おかさん、綺麗になったね」と君江が感嘆したように言う。
「そうね。内面が美しくなれば、それが面にも表れるはずね」
江梨子はうつ病を患っていた時には、暗く沈んでいてその表情から40代の女に見えていた。
君江は何かを会得したように、短期間で劇的な変貌を遂げた。
「宇宙の法則」に感応したようであった。
まず驚いたのは兄の徹であった。
徹は自分に課せられた十字架を一生背負っていく覚悟を決めていた。
「君江には、どうか幸せになってほしい。そうでなければ、俺の幸せもない」
徹は思い詰めていた。
「兄ちゃん、私のために高校を辞めてしまって、ごめんね。高校へ戻ってね。私はもう大丈夫だから。死ぬなんて2度と言わないからね」
徹が居間で太宰治の小説「人間失格」を読んでいる時、君江が徹の脇に並ぶように正座して言った。

徹は妹の君江を改めて愛おしく思った。

君江の容貌は母似であった。

「お前は、兄貴に段々似てきたな」

徹は戦死した父似だと義父が言っていた。

 

 





 





 








創作 徹の青春 15

2024年10月17日 06時27分44秒 | 創作欄

母親の江利子は、ある新興宗教の信者である。
実は、85日の沼田の祇園祭の日は、実家の川場村に帰省していた。
目的は、兄嫁の貞江に宗教を勧めることであった。
うつ病であった江利子は、蘇ったように性格が明るくなり元気に活動するようになっていた。
兄嫁は別人のように見える江利子を目の前にして目を丸くした。
「江利子変わったわね」
「そうでしょ。私は蘇生したのよ。宇宙の法則に沿って生きているのよ」
「宇宙の法則?」
「例えば、ラジオを聴く時、周波数があるわね。それに合わせないと番組を聴くことができない。NHKにはNHKの周波数があるように、宇宙の法則は一つなの。自分の内に本来ある根本的なものと宇宙の法則に周波数を合わせるの」
「よくわからない」
貞江は多弁になった江利子に気押させた。
「私も初めは、何のことだかさっぱり分からなかった。でもうつ病が治るものなら、やってみようと思ったの。でも今は宇宙の法則があることを確信している。お姉さんも宗教を信じてやってみてね」
「私、考えておく」
貞江は腰が引けた。
夫の佐吉は、江利子の勧める宗教の話には聞く耳を持たなかった。
「信仰の自由だ。お前が信仰を持つことは許すが、俺は絶対にやらんぞ、2度と俺に向かって信仰など勧めるな。いいな」
息子の徹も同様であった。
娘の君江は、「私、考えてみる」と興味を示した。
君江が人工中絶をして病室のベッドに横たわっていた。
両手で顔を覆って君江は泣いていた。
江利子はベッドの脇に座り君江の髪を優しく撫でながら言った。
「君江、そろそろ信仰をしようね。人生には色々なことがあるけれど、君江は幸せなる権利があるのよ。信仰のことは直ぐにはわからない。でもね、どんな運命でも変えることができる宗教なのよ。いいわね?」
君江は布団で顔を覆い泣き続けた。
だが、「どんな運命でも変えることができる」と言った母親の言葉を胸に留めていた。

 

創作欄 徹の青春 16

徹の母親の江梨子は、肝っ玉の据わった女であった。
突然、息子の徹が高等学校を中退してしまった時もほとんど動じなかった。
「まだ、17歳でしょ。高校を中退しただけで、徹の人生が終わったわけではないの。私は徹を見守っているからね」
徹の心情を察するような眼差しを向けると包み込むように言った。
そして学校を辞めてから、毎日、沼田の街中を彷徨っているような息子を見守っていた。
一方、徹の義父の佐吉は、怒りが心頭に達して徹を何度も殴りつけた。
「家を出て行け!」
吐き捨てるように言った。
「いつまでも、ぶらぶらしているのか!目ざわりだ、早く出て行け!」
顔を合わせる度に、苦情を言われた。
義父は酒を飲むと苦虫を噛みつぶしているような顔が赤らみ、段々般若の面を想わせるように目も吊りあがっていった。
佐吉は囲炉裏端で、炭の火を見詰めながら煙草を吸っていた。
そして戦死した兄のことを思い浮かべていた。
佐吉は兄が戦死したことで、自分の人生行路が狂ってしまった。
佐吉は終戦を長野県の松代で迎えた。
いったん沼田に帰郷して、大学に復学する予定であった。
だが、父親の金蔵が「兄嫁と結婚して、家を継げ」と家長の権限で命令したのだ。
家長とは、一家の家督を継承して家族を統括し、その祭祀を主宰する者を指した。
当主と同義の言葉とされている。
家長は夫権や親権を通じた配偶者及び直系卑属に対する支配は勿論のこと、それ以外の親族に対しても道徳的な関係を有し、彼らに対する保護義務とともに家長の意向に反したものに対する者を義絶する権限を有していた。
そのようは封建社会の古い体質を金蔵は体現していた男だった。

戦死した徹の父の清太郎は、旧制沼田中学の優等生であった。
誰もが高等学校へ進学し、帝国大学へも行くものと期待をしていた。
旧制沼田中学で清太郎と成績を争っていた、清太郎の親友だった大野幸郎は一高から帝国大学へ進学し、後年は弁護士になっている。
だが、清太郎は父親の金蔵から、「農家を継ぐ者に学問はいらない」と高等学校の受験を反対された。
そして、清太郎が19歳の時、川場村から16歳の江梨子を嫁に迎え入れた。

すべての段取りを父親の金蔵が仕切っていた。
農協の組合長で村会議員をしていた金蔵は村の有力者であり、封建的時代の家長的体質が色濃い人間で、言動には人に有無を言わせない強引さがあった。

 

創作欄 徹の青春 17

徹の義父佐吉は、戦争に翻弄されたと思って生きてきた。
東京の杉並の阿佐ヶ谷に下宿をしていて、大学予科へ通っていたのであるが、学徒出陣の実施の流れに組み込まれた。
1943
年(昭和18年)1021日、東京都四谷区の明治神宮外苑競技場で「出陣学徒壮行会」が文部省主催、陸海軍省等の後援で実施された。
壮行会を終えた学生は徴兵検査を受け、1943年(昭和18年)12月に連隊(入営)か海兵団(入団)へ入隊した。
そして、徹の義父佐吉は長野県の松代象山地下壕で終戦を迎えた。
第2次世界大戦の末期、軍部が本土決戦最後の拠点として極秘のうちに、大本営、政府各省等を松代に移すという計画の下に地下壕を構築した。
地下壕の着工は昭和19年11月11日から、翌20年8月15日の終戦の日まで、約9か月の間に当時の金で約2億円の巨費とおよそ延べ300万人の住民及び学徒・生徒、朝鮮人の人々が労働者として強制的に動員され1日3交代徹夜で工事が進められた。
食糧事情が悪く、工法も旧式な人海作戦を強いられ、多くの犠牲者を出したと言われている。
松代地下壕は、舞鶴山(現気象庁精密地震観測室)を中心に皆神山、象山の3か所に碁盤の目のように掘り抜かれ、その延長は10キロメートル余に及んでいた。
全工程の75%の時点で終戦となり工事は中止された。
佐吉は、下宿先の娘と恋仲になっていた。
「戦争でお互い生き残ったら、将来結婚しよう」と約束していたのだ。
だが、いったん群馬県の沼田に戻ったことから、思わぬ挫折となった。
大学予科へ戻れなかったことに加え、恋に終止符が打たれた。
それは悔やんでも悔やみきれないことであった。
徹が高校を中退した時、佐吉は自分の過去を重ねて怒りが込み上げてきた。

佐吉は妻の江利子にも大学予科へ通って時代のことや、長野県の松代象山地下壕で苦役を強られたことなどの過去には硬く口を閉ざしていた。

敗戦の年から、15年の歳月が流れていた。

「あの娘は、どなっているであろうか?」

一人酒を飲むと佐吉は想ってみた。


 


 

 





 





 











 

 







 





 





 


 

 





 

 

 






 




 



 






 



 

 


創作欄 徹の青春 10

2024年10月17日 06時06分46秒 | 創作欄

「友だちの妹が、おぎょんから先に帰ったのに、家に居ないんです。
探してください」
加奈子は肩で息をしながら、交番の前に立つ40代と思われる警官に訴えた。
「友だちの妹、いくつだ?」
15歳です。中学3年生です。何かがあったのかもしれません」
15歳だな。遊び盛りだ。まだ、おぎょんは終わっていない。どこかで祭を見物しているんだろう」
「とても心配でなりません。探してください」
警官は威圧するように鋭い目を加奈子に注いだ。
「まだ、事件が起こったわけではないんだろう。探せだとふざけるな!」
警官は左手で帽子のつばを押さえ、右手で警棒を握りながら、胸を突き出し仁王立ちのようになると、左手で加奈子を追い払うような仕草をした。
「こうなったら、徹さんと二人で君江さんを探すほかない」
加奈子は踵を返して、駆け出して行く。
胸騒ぎが高まるなかで、涙が込み上げてきた。
だが、信じがかいことに、徹はそ知らぬ顔をして居間で萩原朔太郎の詩集を読んでいた。
「徹さんは、心配ではないの。きっと、君江さんに何かがあったのよ。探しに行きましょう」
やれやれという表情を浮かべると徹は、さも面倒くさそうに詩集を閉じた。
「この人を何故、恋したのだろう?」
加奈子は、無神経な徹の態度に呆れ返った。
そして、いっぺんに恋心が覚めてゆくのを感じはめていた。
17
歳の徹はまったく新聞を読んでいない。
いわゆる新聞の3面記事を読んだ記憶がなかったのだ。
読むのは詩や短歌、俳句、小説であり、世間の動きにはまったく疎かった。
ある意味で純粋でもあるが、厳密に言えば無知蒙昧である。
徹は強姦という犯罪があることすら知らなかった。
彼が読んでいた文字のなかに、強姦という文字は一度も出てこなかったのである。

 

創作欄 徹の青春 11

藤沢勝海は昭和11年生まれであるので、君江を強姦した時は24歳だった。
検事調書によると、最初に強姦をしたのは16歳の時であったが、14歳の被害者は警察に届けていない。
性癖としては、幼児に興味をもっており、小学校の6年生の時には5歳の女の子を赤谷川に連れて行き性器に小石を詰める悪戯をしている。
また、幼児の男の子の性器を扱いてみたりしていた。
学校でイジメにあっていたため、同年代の子どもたちとはほとんど遊んでいない。
何故か義母は勝海を実の子ども以上に溺愛していてた。
義母は勝海が学校でイジメにあっていることを知ってから不憫に思い、度々担任教師に訴えていたが、「その事実が把握できない」と取り合ってもらえなかった。
中学1年生の時に、義母と義父が性行為をしているを目撃してから、自慰を繰り返すようになる。
中学を卒業すると、月夜野の家を出て建築業を営んでいた沼田の義父の家へ住み込み大工見習いとなった。
そして翌年、14歳の中学生学の女の子を麦畑へ連れ込み最初の強姦をしたのである。
勝海は君江を強姦した翌月も17歳の女子高生を強姦している。
「お前の顔は確り、覚えておくからな。警察に届けたら殺すぞ。分かったな!」
強姦に及んだ後の勝海の常套文句であった。
だが、その女子高生が警察に被害を届けたことから勝海は連続強姦犯として逮捕されたのだ。
勝海を溺愛していた義母は、マスコミの取材攻勢に堪えられなくなり、勝海が逮捕された2週間後に農薬を飲んで自殺してしまった。
徹はそれまで新聞をまったく読まなかったが、早朝に新聞が届くと食い入るように読んでいた。
徹は犯罪者である藤沢勝海を殺してやりたいくらい激しく憎んだが、一方ではどのような人間であるのかと興味をもった。
検事調書によると君江は勝海に3回犯され、19歳の男に2回、17歳の少年にも2回犯されていた。
強姦された場所は自宅に近い寺の墓地の中だった。
君江を探しあぐねていた徹と加奈子は午前4時ころ、寺の墓地に倒れていた君江の泣き声に気づいたのである。
それまで沼田公園や学校の校庭、近隣の林、桑畑や麦畑などを探し回っていた。
「私、死にたい」
うつ伏せになって、君江は慟哭していた。
「誰にやられたんだ!」」
状況が初めて飲み込めて、徹は怒り狂った。
それは自分に対する怒りでもあった。
「俺は、甘かったんだ!」
徹は怒りを爆発させて拳骨で墓石を叩いた。
さらに、墓石を蹴りつけた。
「ダメ、墓石に当たって、どうするの」
加奈子が制止したが、徹の怒りは収まらない。
加奈子は裸同然の君江を抱き起こして、浴衣を整えていた。
「私たちが悪かったのね。可哀想なことをさせてしまった」
加奈子は君江を抱きしめて泣き出した。
その嗚咽は徹の耳に深く記憶をとどめた。
君江も加奈子の胸に顔を埋めて泣き続けていた。

 

創作欄 徹の青春 12

徹が17歳の時に、浅沼稲次郎暗殺事件(19601012日)が起きた。
東京都千代田区にある日比谷公会堂で、演説中の日本社会党委員長・浅沼稲次郎が、17歳の右翼少年・山口二矢に暗殺されたテロ事件である。
徹は妹の君江を強姦した男たちに制裁を加えるために群馬県沼田の街中を探し回っていた。
家の古い桐箪笥の中に、江戸時代から伝わる脇差や小柄が収められていた。
脇差は、刃長 一尺八寸二分五厘(55・3㎝)である。
小柄は刃長115cmだった。
それを剣道の竹刀袋に納めて徹は沼田の街中を歩き回っていた。
徹は君江の強姦事件を契機に高校を中退してしまった。
父親は怒り、「家を出ていけ!」と怒り、徹を何度も殴りつけた。
徹はその痛みを3人の男たちへの報復の導火線とした。
「徹さん、怖い目をしている。嫌い!」

徹は常軌を逸して、血走った異様な形相をしていた。
加奈子は徹からやがて離れていく。
そのような時期に、浅沼稲次郎暗殺事件が起きた。
しかも、右翼少年・山口二矢は奇しくも徹と同じ17歳であった。
社会の世情に疎く、考え方が甘かった自分への憤りも日々つのってきた。
「兄貴として、15歳の君江の身を守ってやれなかった。俺が悪かった。おれはダメな人間なんだ。一生この十字架を俺は背負っていく」
徹は悔やんでも悔やみきれなかった。
君江は、「私が強姦されたことを警察に訴えたら、私は死ぬからね」と泣いて訴えた。
加奈子は風呂を沸かして、3人の男たちによって蹂躙され君江の体を丁寧に洗ってやった。

実の姉のように優しい気持ちを込めて洗ってやった。
「私たちが、悪かったの。許してとは言えないけれど。死ぬことだけは思いとどまってね。君江さんが死んだら、私も後を追って死ぬ。本当よ。いいわね」

加奈子は3人の男の精液で汚された君江の膣を念入りに洗浄してやった。
「妊娠するかもしれない」
加奈子は産婦人科へ連れて行こうとしたが、君江はそれを頑なに拒絶した。
あの日(85日)外出していた父にも母にも君江が強姦されたことは知らせることが出来なかった。
君江を溺愛していた父親は当然、愛娘が強姦の被害を受けたことを警察に届けるだろう。
その結果、君江は自ら命を絶つかもしれない。
徹は頭が混乱して、頭を掻きむしった。

 

創作欄 徹の青春 13

稲穂が豊かに実る田圃の先にはテーブル状の珍しい山容の三峰山が見えていた。
右には戸神山の尖った山容が望まれた。
市街地の田圃では秋の深まりの中で稲刈りが始まっていた。
沼田城址のシンボルである「御殿桜」は樹高約17㍍の巨木であり、紅葉していた。
春には200余の桜が市民の目を楽しませていた。
4
月の上旬に御殿桜は満開となり、ソメイヨシノは4月中旬満開となる。
どれも大きな桜である。
徹は加奈子と夜桜見物に来たことを思い出していた。
そして徹から離れていった加奈子への未練が断ちがたく、紅葉した桜を見あげて涙ぐんだ。
徹は高校を中退してまで、妹の君江を強姦した男たちを探し回っていた。
「何処かで出会うはずだ」
沼田公園の突端の約70㍍もの崖から真下に清流の薄根川が青い水を湛えて流れていた。
小学生の頃、徹は従兄弟たちと夏にはその川で泳いだり、魚釣りをして遊んでいた。
薄根川の木橋を渡ると町田町の観音堂への道に至る。
その観音堂の裏で藤沢勝海は、17歳の女子高生を強姦した。
だが勝海の悪運が尽きる日が来た。
君江を強姦した3人の1人の17歳の少年が、「自慢げに強姦は面白い」と遊び仲間に吹聴したのである。
「やってみるか?」と少年が誘うと2人が興味を示して応じた。
彼らはたまたま通りかかった小学生6年生の女の子に声をかけた。
大柄な子どもであり、胸も膨らんでいたので、中学生に見えたのである。
3
人は強引に女の子の体を押さえつけて、桑畑にを引きずり込んだのであるが、女の子は恐怖心から金切り声を発して助けを求めた。
16
歳の少年の1人が慌て女の子の口を封じたが、偶然、道を自転車で通りかかった2人の警察官の耳に届いていた。
2
人は逃げたが、君江を強姦した17歳の少年が逃げ遅れて取り捕らえられ、強姦未遂で現行犯逮捕された。
そして少年の自供で藤沢勝海も逮捕された。
徹が男たちに報復を加える前であった。
徹は毎日、男たちを探し回っていたが、その日は徹が通っていた高校の国語の教師の佐田稲次郎に路で出会った。
「徹から少し話を聞きたい。いいな」
佐田は徹を喫茶店へ誘った。
徹はコーヒーが飲めないのでミルクにした。
佐田はコーヒーを美味しそうに飲んだ。
「徹はコーヒーが苦手か?」
徹が黙って肯くと佐田は微笑みを浮かべた。
徹は喫茶店へ入ったのは初めてであったので店内を見回した。
レジの傍にはジュークボックスが置かれていた。
レジ係りとウエイトレスを兼ねている若い女性は、赤く髪を染め厚い化粧をしていた。
壁にはルノアール画・イレーヌ・カーンダンベルス嬢の肖像の複製画が飾られていた。
徹はポニーテールの加奈子の横顔をそれの絵に重ね見た。
「徹にどのような事情があったかは聞かないが、学校を途中で辞めるのは惜しいな。徹には徹でなければ、果たせない使命があるはずだ」
「使命?」
徹は胸の中で、報復が使命なのかと思ってみた。
「自分を大切にすることだ。惜しい。もったいない。できれば、徹には大学へ行ってもらいたいんだ」
佐田は高校の教師のなかで、徹にとって一番好感が持てる教師であった。
大学を出て2年目の新米教師であるが、生徒への接し方に熱いものが感じられたのである。
「人に会う約束があるんで、今日は時間がない。今度、会った時はじっくり語りあいたい。徹には良いものがある。立ち直るんだ。いいね」
佐田が握手を求めてきた。
柔らかい温かい手の感触が徹の手に伝わってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 


創作欄 徹の青春 8

2024年10月17日 04時45分40秒 | その気になる言葉

「おぎょん」と呼ばれている沼田の祇園祭は、徹と加奈子に大きな黒い影を落とした。
お囃子が聞こえてくると胸が深く痛んだ。
あの日の夜、「2人が熱くなっている。お兄ちゃん私、消えてやろうか?」
徹と加奈子に何か気配を察したのだろうか、君江が悪戯っぽく笑みを浮かべて突然言う。

「この金魚、死んでは困るから、私、先に家へ帰る」と金魚すくいで捕った金魚2匹が入ったにニール袋を2人の目の前に掲げた。
「気をつけて帰りな」
徹の心配は口先だけで、内心ほくそ笑んでいた。
君江は浴衣姿の裾を肌蹴るようにして、駆け出していく。
「1人で帰って、大丈夫かしら?」
加奈子は人影に隠れて行く君江の行方を危惧していた。
「大丈夫さ、人が一杯居るじゃないか」
徹は大胆になって加奈子の腰に手を回していた。
祭は徹の血をたぎらせていた。
浴衣姿の加奈子は16歳であったが、思いのほか豊かな腰をしていた。
「私、嫌な予感がするの。私たちも帰りましょう」
加奈子は徹の手を押しのけるようにした。
御輿の還御を待って繰り広げられる最後の夜の各町の「まんどう」の優雅に奏でるお沼田祇園囃子の競演が見ものであった。

徹が住む材木町の山車、加奈子が住む上之町の山車、原新町の山車、下之町の山車、西倉内町の山車、東倉内町の山車、清水町山車、馬喰町の山車、鍛冶町の山車などが集合してきた。
午後10時から須賀神社境内で行われるみこしと祭囃子の競演では、人の波と熱気につつまれ、祭は最高潮に達する。
「まんどうの祭り囃子の競演を少し見てから帰ろうか?」
徹は懇願するように、加奈子の手を握り締めた。
「それなら、少しだけね」
加奈子は念を入れるように徹の手を握り返した。
「徹さんの手熱い。熱でもあるようね」
加奈子は徹の顔に目を注いだ。
徹は加奈子のきらきら輝くような瞳を見つめて、「この子と結婚することになるのだろうな」と想ってた。
それは予感のようなものであった。
徹の従姉の香苗は中学校を卒業し、15歳で川場村の親戚の農家に嫁いだ。
相手の勝雄は20歳で、父が戦死していたので、沼田農業高校を卒業して農家を継いでいた。
徹は母の実家が川場村にあるので、子どものころから勝雄を知っていた。
勝雄の家系は、美男美女を輩出しており近隣でも知られていた。
顔立ちに気品もあった。
蔵が4つもある村では一番の資産家であったが、農地解放で多くの田畑、山林などを失っていた。
徹の父、加奈子の父も戦死していたので、勝雄の存在は気になっていた。
従姉の香苗は16歳で男の子を産んだ。
加奈子の年で母親になったのだ。
香苗のことを思うと加奈子と徹が結婚しても不思議ではない。
だが、運命の悪戯で徹と加奈子に別れがやってきた。
あの夜、先に帰ったはずの君江は帰宅していなかった。
徹の母は川場村の実家へ帰っていた。
義父は農協の旅行で新潟県の湯沢温泉に行っていた。
両親が家に居なかったので、徹の気持ちは解放された気分になっていたので、加奈子を自宅に誘ったのである。
だが家の電灯は1つも灯っていなかった。
「私、胸騒ぎがする。警察に届けましょう」
加奈子は悪い想念を払うようにポニーテールの頭を振って、両手で豊かな胸を押さえた。
「イヤ、君江は友だちに出会っているんじゃないか?」
徹は最悪な事態など少しも考えずに楽観していた。
「徹さん!心配じゃないの! 私、交番へ行く」
加奈子は下駄音を高鳴らせて駆け出して行った。

「加奈子の取り越し苦労だ」
徹は縁側にしゃがみ込み、苦笑を浮かべながら月空を仰いでいた。

 

創作欄 徹の青春 9

検事調書によると、藤沢勝海は昭和11年、東京・大田区蒲田に生まれた。
父は中国の満州へ軍属として行っていたが、行方不明となった。
多分、戦死したのであろうが、確かなことは分かっていない。
昭和20年、戦争が本土空襲に及んだことから日本政府は「縁故者への疎開」を奨励したが、学校毎の集団疎開(学校疎開)も多く行われた。
勝海たちは山梨県の甲府へ学校疎開した。
1945
年(昭和20年)310日に行われた大空襲で、母との兄、弟、妹3人のを失った。
終戦後、国民学校の先生の配慮で、勝海は母の妹一家に育てられ孤児にならずにすんだ。
だが、群馬県の北部月夜野の学校ではイジメにあった。
孤独な勝海は1人で何時も川で遊んでいた。

北には遠く谷川連峰が見えており、魅せられるように仰ぎ見ていた。

近くには大峰山、三峯山が迫るように見えており、何時か登りたいと思っていた。
そして月夜野は清流である利根川と赤谷川の合流に囲まれた山紫水明の地であった。
きれいな澄んだ水と緑が濃い森林に勝海は心を和ませられていた。
学校疎開で住んだ山梨県の甲府とは違った趣が月夜野にはあった。
作家・石原慎太郎の短編小説『太陽の季節』が芥川賞を受賞し話題となり、この小説をもとに、1956年に映画化され人気を博した。
さらに石原慎太郎原作の『処刑の部屋』(1956年)、『狂った果実』(1956年)が公開され、「太陽族映画」と称していた。
勝海はそれらの映画を観て強い衝撃を受けた。
事実、この時代の背景として「太陽族映画」を観て影響を受けたとして、青少年が強姦や暴行、不純異性行為など様々な事件を起こし社会問題化した。

中学を卒業した勝海は、大工となっていた。
そして、仕事が休みの日は、太陽族のような派手な服装をして沼田の繁華街をうろうろしていた。
「女なんかな、顔を二発、三発は叩いてから、やるもんだ。女はな、初めは抵抗するさ。でもな、女だって気持いいこと知っているから、すぐに抵抗しなくなる。中にはな、ヨガってしがみついて、俺の体を離さない女もいるぜ」

勝海は遊び仲間に自慢気に強姦を吹聴していた。
勝海は強姦されたことを警察に訴える女性が1人もいなかったので、すでに8人の女性たちを強姦してきた。
何時も単独で犯行を重ねてきていた。
おぎょんの日、15歳の君江は勝海たちの不良仲間3人に強姦されたのだ。
君江は男たちに犯されながら、母が熱心にしていた宗教の題目を涙声で唱えていた。
その声は初めは男たちには聞こえていなかった。
だが、男の1人が気づいたのである。
「こいつ、何か唱えていやがる、成仏させてやるか」
男の1人が君江を犯しながら首を絞めたのである。
「ああ、殺されるんだな」
やせ細り非力な君江は抵抗を諦め、覚悟を決め題目を唱えた。
だが、男は突然、激しい腹痛に苦しみだしたのである。
急性虫垂炎であった。
「殺すことないよ!」と17歳の少年が背後で男を制した。
君江の首を絞めた男は19歳であった。

 

 


創作欄 徹の青春 5

2024年10月17日 04時33分33秒 | 創作欄

徹は、詩人・小説家の室生犀星の抒情小曲集の「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」の詩句に出会って、室生犀星に興味を持った。
そして、『性に目覚める頃』も本屋で買って読んだ。
その小説は、寺の子として育った青少年の「性」の目覚めと葛藤を描いた作品である。
作家の実体験をもとに書かれていた。
そして犀星が幼少の頃に過ごしたとされる雨宝院が登場する。
徹は犀星と同じような「性」の目覚めと葛藤を覚えていた。
たぎるほどの性への衝動とそれを抑制するために、常に葛藤もしていた。
小説には作家・室生犀星の赤裸々な実体験が書かれており、その体験の赤裸々さはそのまま徹にも色濃く投影されたのだ。
だから、妹の君江と加奈子の3人で尾瀬へハイキングに行くことにした。
加奈子と二人きりになったら、徹は性の衝動を自制することが出来ないと自分を怪しんだのだ。
思春期の男の子のように、女の子も「性」に目覚め、葛藤することがあるのだろうか?
徹は度々想ってみた。

話は前後するが、1956年に売春防止法が制定され、195841日から完全施行された。
それは徹が中学校3年になった14歳の時であり、近隣の高校生までが、いわゆる売春宿が廃業する前に、駆け込み的に性の体験を求めて売春婦を求めて沼田にもあった色街へ行ったのだ。
そして、19歳の徹の従兄の浩までが売春宿へ足を運んで、性の体験談を自慢話として徹たち中学生に聞かせていた。
みんなが固唾を呑んで、その体験談を聞いていた。
「お前たち、まだ中学生で残念なことをしたな」
従兄の浩はタバコを吹かしながら、みんなの顔をニヤニヤしながら見回した。
17
歳になった徹は、16歳の加奈子の体を求めたが拒絶されていた。
「結婚前は、ダメ」
その時の加奈子の表情は、言い知れぬ悲しい表情をしながらポニーテールの頭を振った。
それが1960年(昭和35年)ころの高校生の女の子の普通の貞操観念であった。
貞操観念とは、異性関係について純潔を守ろうという考えのことを指す表現。

 

創作欄 徹の青春 6

尾瀬は果てしなく広がる湿原地帯だった。
そこから3人の尾瀬沼一周ハイキングのコースが始まった。
尾瀬を訪れる観光客や登山客たち全員湿原の草の上を歩いたら貴重な植物は失われてしまうだろう。
環境保全のため、歩いて良いのは湿原の上に作られた木の板の歩道のみであった。
木道を歩みながら加奈子と君江が「夏の思い出」を歌った。
「加奈子さん、歌がうまい」
先頭を歩く君江が感嘆して振りかえった。
徹は加奈子が歌うのを始めて聞いた。
徹はラジオ世代で育ったので、声にはとても敏感である。

1952年(昭和27年)、NHK連続ラジオドラマ『君の名は』が放送開始された。
徹が9歳の頃であったが、番組の冒頭で「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」という来宮良子のナレーションが流れ、「忘却とは忘れ去ることなり」は流行語にもなった。
そして、主人公の氏家真知子役の阿里道子の美しく可憐な声は今も徹の耳に残っている。
徹は改めて加奈子の甘美な声に魅せられた。

徹の母親は、戦死した夫の思い出を重ねるようにして、ラジオドラマに耳を傾け涙を流していた。

戦争の最中空襲で男女が偶然に出会い、その後は運命に翻弄されるドラマは、戦後まだ7年が経過した歳月の中であり、国民の多くの人たちの心を揺さぶるドラマとなった。
思えばラジオから流れる声が人々の想像を駆り立てるように、加奈子の美しい歌声は徹の胸に深く響いた。
水芭蕉は満開で丁度見頃であり、尾瀬は気持のよい至福の時間であった。

「きれいね」と君江がかがんで水芭蕉を眺めた。
澄んだ水を湛える尾瀬沼に至仏山が映じていた。

あるいは、時々小川のせせらぎの音がかすかに聞こえてきたので、加奈子は耳を傾けるように立ちどまった。

悠久の歴史を秘める尾瀬は、特有の貴重な植物群落が見られ昭和31年に天然記念物に、徹たちが尾瀬を訪れた昭和35年には特別天然記念物に指定された。

尾瀬沼が見える手前に分岐があった。
この分岐で右回りか左回りかを決定する。

ここから沼の折り返しとされる沼尻休憩所まで、右回りの場合約3kmで1時間要し、左回りは約4kmで1時間20分。
この分岐で左に行く人が多かったのでそれに付いて、3人は長蔵小屋のある方向へ行った。
尾瀬ヶ原には、相対するように二つの山が有る。

至仏山(2,228m)と燧ケ岳(2、346m)だ。

両山とも深田久弥の日本百名山に選定されている。
歩き始めてから1時間ほどで3人は長蔵小屋のある休憩所に到着した。

長蔵小屋は昭和9年に建築されたが、こば板葺きの屋根や黒光りする木の廊下など、落ち着いた風情が漂っていた。

徹はが確認したら収容人員は約300人であった。

3人は長蔵小屋に泊まることにした。

 

創作欄 徹の青春 7

「私たちの罪ね」
加奈子は肩を激しく震わせて、徹の腕の中で豊かな胸を当てて泣いた。
沼田城址の桜の木立で競うように蝉が鳴いていた。
陽は子持山に隠れようとしており、時折遠雷が聞こえ風が激しく木立を揺らした。
徹は人影を感じていたが、加奈子を強く抱き寄せて加奈子の唇を吸った。
加奈子はポニーテールの頭を振るようにして、徹の口を避けた。
徹は欲情を抑えらないので、激しい息遣いのなかで再び加奈子の頭を両手で押さえて顔を強引に引き寄せた。
「ヤメテ、今日はダメ!」加奈子は激しく身を捩った。
徹は加奈子の女心を理解していなかった。
話は前後するが、尾瀬のハイキングで長蔵小屋に泊った日、徹は加奈子の豊かな胸を弄った。
妹の君江が隣で寝息を立てていた。
加奈子は、しばらく徹の手をそのままにしていたが、「もう、ヤメテ」と強く手を払った。
「おばさんが、死にそうなの。それを考えると私寝られないの」
加奈子は徹に背を向けて、咽び泣いた。
徹は身を起して、「悪かったね」と加奈子の背向かって声をかけた。
人生には、何が起こるかわからないものだ。

尾瀬のハイキングから、2か月が過ぎていた。
沼田の祇園祭は全国各地の祇園祭の例に見られるように、京都の八坂神社祇園祭に端を発している。
沼田祇園祭を「おぎょん」と呼んでいた。
加奈子と君江を誘って徹は、おぎょんへ行く。
加奈子の浴衣姿は豊かな胸を一層際立たせていて、徹は欲情を駆り立てられた。

「おぎょん」と呼ばれた沼田祇園祭は、8345日の3日間開かれていた。
蚕すんだら沼田のまつりつれていくから辛抱おしよ”と唄われていた。
勇壮豪快な御輿が並んで街を練り歩くが、優美華麗な山車運行が祭りの主役でもある。
この山車のことを「まんどう」と呼ぶのも沼田の独特である。
その日も200軒を越える露店が集まっていた。
群馬県沼田の夏祭りは、この「沼田まつり・おぎょん」で終止符を打ち、『おぎょん』を境にして農家は農繁期に入るのである。

 

 

 


生前葬をやりたい ?!

2024年10月17日 04時11分35秒 | 創作欄

60歳になった父が突然、生前葬をやりたいと言い出した。
生前葬になど出席するほど、多くの人は暇ではない。
だから、死んだことにするのだ。
当然、棺桶の中は空である。

以下は実際にあった話をベースに創作してみた。
歯科界、歯科業界も含めてバブルの時代、誰もが狂奔していた。
歯科器材を売っていたある歯科商社も建設・建築業、不動産業にも進出した。
だが、突然バブルが弾けたのだ。
振り出した手形が暴力団に流れた。
どのように借金を穴埋めするのか?
「死んで、金を作れ!」
押しかけてきた暴力団は迫った。
相手は保険金を目当てにしたのだが、経営者はその保険金を既に解約していた。
それほど金に窮していたのだ。
「では、葬儀をやれ!」
「葬儀?!」
経営者は相手の意図が理解できずに目を丸くした。
結局、青山斎場で盛大な葬儀が営まれた。
暴力団が、全ての段取りを整えた。

結局、全ての香典は、暴力団の手に渡ってのである。
当然、棺桶の中は空であったが、その経営者の行方は未だ分からない。
これは、ある経営者の従弟の歯科技工士から聞いた話である・・・

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<参考>

 生前葬

生があるうちに縁のある人やお世話になった人を招いてお別れと礼を述べるために行う人が多い。

また、本来出席できないはずの自分の葬儀に喪主として参加することができるため、思い通りのやり方で行うことができる。

そのため多くは、無宗教であったり、音楽やスライドなどを多用した明るい葬儀であったり、一般の葬儀とは異なるイベント的な葬儀となる。

形式はカラオケ大会から立食パーティー、また、自費出版の自分史を配るなど、様々。

しかし、本人が本当に亡くなった後も、遺族により再び葬儀が行われることもままある。

日本では交際範囲の広い知識人が、自らの社会的活動の終止を告知する機会として開催することが多い。

生前葬を行った主な有名人

児玉誉士夫
右翼運動家。1960年に生前葬を行った。1984年死去。
水の江瀧子
女優。1993年に生前葬を行い、以降芸能界を引退しメディアに露出せず隠居生活を送っていた。2009年死去。
養老孟司
解剖学者。200411月に山口県防府市の多々良学園講堂ホールで行った。