【特集】消えたコメ もはやマネーゲームの対象に… 専門外の業者も参入して争奪戦 苦悩する生産農家を直撃取材 県JAグループは備蓄米の入札に参加へ
配信 FBC福井放送
高騰するコメの価格を抑えようと、政府が備蓄米の放出を決定したことを受けて、県JAグループは入札に参加する意向を示しました。
一方で、生産農家や消費者からは、本当に値下がりするのか疑問の声も相次いでいます。 25日に開かれた県JAグループの定例会見。宮田幸一会長は次のように述べました。
■県JAグループ 宮田幸一会長 「政府の備蓄米の放出については、消費者の部分(目線)があり、コメが高くなると消費が落ち込むところもある。政府の方針に従って受け入れをしたい」 コメ価格の高騰を抑えようと今月、備蓄米の放出を決めた農林水産省。今回放出するのは備蓄米全体の2割にあたる21万トンで、来月上旬にこのうち15万トンの入札が行われ、中旬にも集荷業者に引き渡す方針です。
当初は備蓄米の放出に否定的な立場を示していた県JAグループの宮田会長。
消費者への影響も踏まえ、来月の備蓄米の入札に参加することを表明しました。県内では全体で1470トンを見込んでいて、初回は1050トンを対象に入札に臨むということです。 コメの高騰で家計を圧迫する消費者からは備蓄米の放出を歓迎する一方、効果を疑問視する声も聞かれました。
■主婦 「倍ですね。5キロで2000円前後で買えたのが今は4000円。(備蓄米放出で)前の価格の2000円前後になってくれると一番いい」
■主婦 「コメが安くなるのなら大歓迎だけど(効果は)分からないし、買い占めしている人がいると聞いているのでどうかなと。放出することで一般市民に安く提供されるのかが心配」 農林水産省によりますと、去年の全国のコメの生産量は前の年より18万トン増える見込みなのに対し、実際に市場に出回っている量は逆に21万トン少なくなっています。
この差は実に茶わん32億杯分に相当し、いわば行方不明となっています。私たちが取材してみると県内の生産現場では去年の秋から異変が起きていました。 去年秋に新米が流通した段階で落ち着くと見られていたコメの価格。しかし、品薄が解消されても値上がりは続きました。
■田中農園 田中勇樹さん 「全くコメがない。並んでいるコメもすべて客の予約分ということで、出せるコメは一粒もない」 去年8月、坂井平野の生産農家ではJAだけでなく、全国からコメを買い付ける業者や専門外の業界も参入し、争奪戦が起きていました。
■田中農園 田中勇樹さん 「リサイクル業の感じでやっている人や産廃関係とか名乗って入ってくる」 さらに、別のコメ農家の元には外国人も現れました。
■坂井市内の農家 「片言の日本語で"コメがないか"と私に聞いてきて。"ない"と断りました。一番は自分の素性を明かさない人がいる。明らかに投機目的でコメを集めているのが感じられるような。国内でさらに高い値段で販売しようとしている」 今やマネーゲームの対象とも指摘されているコメ。農家は備蓄米の放出に向けて、経営への影響を見守っていくとしています。
■田中農園 田中勇樹さん 「いろんな会議に参加してコメ屋の話を聞くと、そんなに下がらないと。資材費が上がった分、コメの価格が上がってほしいのはあるけど、コロナ禍の時のような安値になるというのは不安」 なお、放出したコメは将来的に国が買い戻すことになっていて、その時にJAなどの集荷業者が同じ量を確保できるのか、疑問視されています。
■越前市内の稲作農家 「ほとんどの大農家は加工用米、備蓄米を出していない。そんな状態なので、放出した分を1年以内に備蓄米として戻せということでしょう。(集荷業者は)それができるか」 備蓄米は早ければ3月下旬にもスーパーの店頭に並ぶ見通しですが、どこまでコメの値下がりにつながるかは依然として不透明です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます