アメリカ政治は選挙で動く。コンサルタント主導のメディア戦略では手の届かなかった多様な人々をいかにして摑んでいくか。オンライン技術とともに新たな潮流が展開する選挙民対策の現場から、デモクラシーの進展と分裂の可能性をともに孕んだアメリカ選挙の現在を浮彫りにする。
目 次
序 章
第1章 アメリカの政党と選挙
—— アウトリーチ戦略の文脈
1 なぜアウトリーチ戦略が重要なのか
2 先行研究の批判的検討
3 アメリカ政党政治の中に位置づけるために
4 本書の課題
第2章 人種・移民・宗教をめ
ぐる集票
—— アウトリーチの開花とその軌跡
はじめに
1 アクター・活動・対象
2 起源と開花
小 結
第3章 「地上戦」の復興と新技術の融合
——「オバマ選挙」以後のアウトリーチ戦略の展開
はじめに
1 2008年選挙 —— 人種アウトリーチと地上戦への回帰
2 2010年選挙 —— 保守派の草の根運動とヒスパニック票
3 2012年選挙 ——「ビッグデータ選挙」とアウトリーチ
小 結
第4章 予備選挙・党大会・政権運営
——「コミュニケーション空間」の誕生
はじめに
1 アウトリーチ戦略の効果 —— 新しい「コミュニケーション空間」の創出
2 アウトリーチ戦略の限界 —— その範囲と効果の多様性
小 結
終 章 デモクラシーの変容とその未来
あとがき
註
参考文献・インタビュー調査一覧
図表一覧
索 引
受 賞
第33回「大平正芳記念賞」
第4回「アメリカ学会斎藤眞賞」
書 評
『レヴァイアサン』(第61号、2017年秋、評者:吉田徹氏)
『選挙研究』(第32巻第2号、2017年、評者:小野恵子氏)
『アメリカ学会会報』(第193号、2017年4月、評者:梅川葉菜氏)
『出版ニュース』(2016年3月中旬号)
北海道新聞(2016年3月6日付)
読売新聞(2016年2月8日付)
日本経済新聞(2016年2月7日付)
関連書
『アメリカ福音派の変容と政治』 飯山雅史 著
『アメリカ医療制度の政治史』 山岸敬和 著
『アファーマティヴ・アクションの行方』 川島正樹 著
『アメリカニズムと「人種」』 川島正樹 編
『20世紀アメリカ国民秩序の形成』 中野耕太郎 著
『アメリカ合衆国と中国人移民』 貴堂嘉之 著
『アメリカを創る男たち』 南 修平 著
『外交と移民』 上 英明 著
アメリカ政治は選挙で動く。コンサルタント主導のメディア戦略では手の届かなかった多様な人々をいかにして摑んでいくか。オンライン技術とともに新たな潮流が展開する選挙民対策の現場から、デモクラシーの進展と分裂の可能性をともに孕んだアメリカ選挙の現在を浮彫りにする。
【受賞】
・第33回「大平正芳記念賞」
青山和佳氏による選評“…………: 15年におよぶ著者のジャーナリスト、研究者として、「個別のアメリカ」と「全体のアメリカ」を接続する結び目探しの集大成であり、その成果は瞠目すべきものがある。
………… 背筋がぞっとするような興奮を味わったのは、とくに第2章「人種・移民・宗教をめぐる集票」と第3章「『地上戦』の復興と新技術の融合」であった。人種やエスニシティの変化、イデオロギーの分極化、インターネット技術の革新など諸要素が、政党と活動家、および活動家同士の相互作用を進め、絡み合い、選挙過程を変貌させ、ひいてはアメリカという国のあり方を変貌させていく。
著者が結論で述べているように、アウトリーチ戦略にはデモクラシーの進展と分裂という両義性があるのだ。トランプ大統領の出現は偶然の出来事ではない。それは過去と未来につながっている。…………" (大平正芳記念財団パンフレット(「第33回『大平正芳記念賞』受賞作の紹介」から)
【書評】
・『レヴァイアサン』(第61号、2017年秋、評者:吉田徹氏) “選挙と分極化の中のアメリカ政党"
・『選挙研究』(第32巻第2号、2017年、評者:小野恵子氏)
・『アメリカ学会会報』(第193号、2017年4月、評者:梅川葉菜氏)
・『出版ニュース』(2016年3月中旬号)
・北海道新聞(2016年3月6日付)
・読売新聞(2016年2月8日付)
・日本経済新聞(2016年2月7日付)
“米国における選挙の戦い方を研究してきた著者の集大成的な新作だ。ヒスパニック(中南米系)やアジア系の急増に伴う米社会の構造変化を知るうえでも役立つ分析だ。…… 著者は民主党の選挙スタッフとして戸別訪問に回るなど選挙戦の最前線に立った経験がある。
資料として載っている中国語や韓国語が入り交じって書かれた選挙ビラの写真を見るだけでも面白い。同時に著者は米メディアの選挙報道は「候補者取材」であり、有権者の声を拾えていないと批判する。
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