夏の盛りに刈り払ったヌスビトハギとアザミの枯れ草の上に白いキノコが大量に頭を出してきた。笠の大きい物は20cmもある。白いけれどもツボもスカートも付いていないから猛毒のドクツルタケの仲間ではないようだ。
全体に軟弱で、笠の上には幼菌の頃に体を包んでいた薄膜の破片が残っている。オブラートが千切れた印象だ。枯れ草を押し広げると、その下は菌糸で一杯だった。指で突いてもしっかりした密度である。
悪戯していて思ったのは、祖母が繭を重炭酸ナトリュウムを入れ茹で上げ、引き広げて真綿に加工していた情景だ。出来上がった真綿にそっくりなのだ。菌糸であるけれども、感覚的には絹 糸と言いたい状態だ。菌類の世界は、いつも「すごいなあ!」と一緒に現れる。