トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

金柑の芳香蒸留水

2020-03-28 | 何よりの楽しみ
 思い立って「どうにも止まらない」胸の内、意を決して金柑の鈴なりだったお宅を訪ねた。ヒヨドリが金柑を食べに群がっているのは見ていて「あーあ、もったいない」と指を加えつつの行きかえりだったのが、この日の樹の金柑は半減していたのだった。家で落ち着かない時間を過ごしてもらちが明かない。拉致はもっともっと明かないご時世である。もう「言い値で購入する」と決めて伺ったのだった。

 庭先の小父さんに問うと作業小屋を指さした。作業小屋にいた親父さんに来訪の趣旨を話したら「おっかあに聞かねば分からん」と言いつつ家に入っていった。しばらくし奥さんが出てきて顛末を話すと「昨日、良い実だけを収穫した。いっぱいあるから持ってきますよ」と言うではないか。それではあまりにも悪い。「せっかくですが申し訳ないから自分で取ります」と2キロになっただろうと思える量を採集した。
 金柑の樹には小さな棘があって実を採る時に指先に障る。初めて知ったけれどゴム手袋は持っていない。仕方が無いから素手で採集した結果、人差し指に数カ所の刺し傷を作ってしまった。出血するほどではなかったのだが野茨の棘と同じようにズキズキとうっとおしいキズになった。
 1kg千円程度の費えで2kg調達する心づもりが「好きなだけ持って行っていいよ」と言われ金額すら言わない。田舎育ちの小生には申し訳ない思いだけなので、帰路に就く前に商店街まで下り、どら焼きとカステラの詰め合わせ、しめて1500円を気持ちとして作業場にいた親父さんに届けてすっきりした。

 さて肝心の芳香蒸留水は持ち帰った金柑の半量をまず使ってみる。半量900gの果実を半割にして鍋に入れた。半割にしたのは果肉の成分が出易くなると考えての事なのだが、残りの半分は果実そのままで比較するのだ。段取りは手馴れてきて「いつも通り」の感覚。最終的には500㏄を得た。取り過ぎなのかまだ大丈夫なのか基準が不明でも一応、自分では「1kgの材料で400㏄前後の蒸留水」としている。

 得られた蒸留水は淡白に感じた。皮があるから精油成分が出ているのは確認できたけれど「絶対!」と想定していた水準では無かったから気落ちした。でもまだ試みは半分ある。
 鍋の底に残った湯は果汁が滴ってオレンジ色で捨てるにはもったいない。入浴剤として100㏄ほど投入してみたら、湯がまろやかに身体にまとわりつくように感じたが香りは無い。まあ、どちらにしても入浴剤が無難か。
 蒸留水は手の甲に摺り込んでみたらしばらくは芳香が残ったが、お爺が柑橘系の香りを出してもしょうもないだろうなぁ。ただ加齢臭を押さえる効能はある!。

    伊予柑の皮も加える  ➡   蒸留中  ➡    精油は少し認められる