一月末に「森の市」が予定されていて出品はコロナの影響で今年と昨年は出品しなかった。そのため作りためた木の玩具が邪魔になり昔のよしみで施設に引き取ってもらったのだが、今になると市に出品する品物が無い。11月、12月はそれでも縁台加工が出来るのだが1月に入ると寒くて屋外工作は遠慮したい。そんな事から見本に残して置いた玩具の点検をしている時にビビビッと何時ものお告げがあったのである。
幾何回転体は作り易いオロイド、スフェリコン、ヘキサ・スフェリコンと3種制作してきたが今回のビビビッはヘキサ・スフェリコンだった。今まで木材で製作していたのを簡便に塩ビ管で作れば早い、と思ったのである。
とりあえず試作見本として作ってみる事にして塩ビの継手と中隔壁になるアクリル板を購入して試作してみた。管径で正六角形の寸法が決定するのだが計算できないから図面に現物の切断幅を合す事になる。材料の管と隔壁の素材が異なり、安い塩ビ用の接着剤が使えない。瞬間接着剤も瞬間では接着できなく固まるまで我慢辛坊が必要だった。固着してから転がしてみたのだが思ったよりうまく転がった。材の継手もワンサイズ太いのだと肉厚でこちらの方が丈夫だし接着面が広くなるから安心かも知れない。ネジ止めも可能な幅がある。しかし価格は倍近いからコストは上がる。
さて、既に実物見本は無く画像も失せたので「半円形4枚接合型」が一番最初に試作したのだがパーツが多いのと正確に組み立て固定するのが面倒で円柱を縦半分に割ったのをずらして接着したのが二作目である。これは市販の円柱を外径で決まる高さを出して半割にすれば接合部も広く丈夫で重さもあるから転がる事は転がるのだが重心の偏移が大きいので慣性の作用も大きくなり平面で転がすと長続きしないし見た目も「野暮ったい」のでもう少しセンスを上げたデザインにした。
三作目が木工旋盤で中刳りして円筒形に仕立てこの外寸から長さが決まるから切断・半割して接着した。デザイン的にも好きだったのだが旋盤で中刳りするのが結構、危険な作業で時折は材料を吹っ飛ばしたりするからそうそう数はこなせない。どのタイプにしても運動エネルギーの損失が大きく長く転がり難いので緩斜面で重力の助けを借りて遊ぶのがベストか…。
一方、片持ち状態では強度に難があり、また子ども等が遊ぶ事になると角が出ていたり指を挟むかもな、などの可能性が捨てきれないから隔壁を入れてリスクを解消する事にした。これで隔壁採用となり半円四枚使用時の中子や隔壁を伴った初期型に戻った感覚である。
四作目が今回、ビビビッときた塩ビ管を使う制作方法である。作ってみれば製作時間も少ないし出来上がりも均一性がある。数を作るにはこれが楽だけれど、いかにせん木材ではないのが気になるのであった。ここにきて一番最初の試作過程を思い出した。「骨格だけだと接合部が小さく弱い」ので接合部にダボを入れて接着したのだが面倒だし強度も向上しなかった。そこで菱形の中子を入れたのだが、これも接合と正確に菱形を作るのが面倒で量産型にはならなかった。
結局は写真左と右のタイプが量産型だろう。個人的には真ん中のタイプが好きで隔壁の樹脂板をカラーにすれば見た目にも可愛くなるし隔壁が正六角形なので半割した片側を60度ずらして合わせたのも一目瞭然、明快である。正式名称はヘキサ・スフェリコンと言うのだそうだが「なんのこっちゃい」であって小生は「ガタコン」で通した。他は「コロリン」と「コロコロ」と転がり方の特徴で名前を付けたのだ。