トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

命の水

2010-12-24 | 水辺環境の保全

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 棚田への取水堰の下部が漏れてしまって、送水できなくなっていた。渇水期を前にして棚田が干上がるのを防ぐため、急遽復旧作業をする。取水する流路の河床も土砂で埋まり、堤との高低差も僅かになって氾濫の原因=田の埋没を防止するため、河床を掘り下げ堰も低く付け直す。

 取水管は50Φだが、元々が絞り水で給水されている棚田だから十分な管径である。太い管もあるのだが出水時に土砂が流入し易くなるから、ここは敢えて細めの管径にしてある。「チョボチョボ」と流入する水量だが、6枚の棚田を潤し水生生物の命を維持するには十分な水量である。

 流路は傾斜が強く、浸食防止の段差工を施してあるけれど、今回の補修で下の段差工の河床と堰の河床をほぼ同じ高さにしたから、今度は浸食で漏水する度合いは少なくなった。堰の丸太と河床の内部に肥料袋も敷きこんだから漏水はほとんど心配無いといってよいだろう。

 水路の段差工を実施して数年が経ち、浸食や崩壊で再補修をしなければならない箇所も見出されるけど、とりあえずは「命の水」を断たない算段を施せたから、他の補修は来春だ。


*諸行無常

2010-12-23 | 性向有毒の翁なれば

Photo_4     荒猪は皮をむかれて橋の下

     生皮をはがれ川原の山鯨

     はらわたを抜かれて猪は横たわり

     川中で猪をさばくにAKB

     猪肉の布施はあるかと立ちて見ゆ


冬至の花

2010-12-23 | 小父のお隣さん

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  予報より早く雨が上がって穏やかな冬至となった。前夜は皆既月食だったのに全天雲模様で見る事は叶わなかったが、冬至の皆既月食なら『372年ぶり』なのだそうだ。

 予定の作業は斜面の除竹なので、快晴にもかかわらずスリップを懸念して休んだが、近所の田んぼ道を歩いていたら春の花が咲き出している。まだ株も花数も小さく少ないが、まぎれもなく春の花である。ホトケノザ、オオイヌノフグリ、タネツケバナなど、ありふれた種ばかりだが、考えてみなくとも明日以降、陽射しは伸びてくるのだ。

 漢語的には「一陽来復」だけれど、小生的には「米粒一つ分づつ、日が長くなる」のが幼い頃からの認識である。畦道に花を見せている小さな植物は、何をもって開花の時期を決めたのか、冬至の今日ではわからない小生だ。

 日が伸びたわけでも、気温が上昇してきた訳でも、積算温度が引き金を引いた訳でも無いだろう。でも、僅かではあるが春の兆しを目の当たりに出来たのは嬉しいことには違いない。

 「千秋の思いの春は靴の先」なんちゃったって!

 


伐倒集材

2010-12-22 | 今日は真面目に

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 「午前は晴れ」の予報を信じて出かける。雨は落ちてこなかったが、陽射しの無いこの時期は寒く感じる。

 除竹し始めた場所は、平坦部が真竹林で「密度管理区域」、斜面がヒノキ林だが孟宗竹の侵入が激しく、日あたりの良い林縁部は、すべて孟宗竹にとって替わられ、ヒノキは立ち枯れてしまった。奥の日あたりの悪い部分は、生き残ったヒノキも多いが三分の一は立ち枯れている。日当たりが悪い分だけ孟宗竹の猛威も減じたのだろう。

 孟宗竹は全伐するのだが、勝手気ままに倒れても差し障りがあるから、処理し易いように窪みの方向に向きをそろえて倒しこんだ。これで長さを切りそろえて枝を払い集積する作業が楽になる。後々のことを考慮すると「もうひと手間」を、が大事だ。

 森作りの活動を始めた頃、除竹は地際で切断していたが、この頃は「地上1m」程度で切断する。その理由は「樹液の溢れ出る量と期間が長い」ためだ。この事は月間「農業世界」に掲載されていた記事による。理由は「地際の切断は、上部が無いのがばれて樹液の供給を遮断するが、1m程度残すと上部が存在するとして、根が衰退するまで供給を続ける」という理屈だった。

 結果として、地下の根茎ネットワークが早期に衰退枯れ死してしまうらしい。樹液の溢れ出る量は一本一本異なるものの、多いのは切り口に溜まって溢れるくらい出続ける。舐めてみても味はないが、夏期には発酵して多くの昆虫類を呼び寄せる。


*一席二諜

2010-12-22 | 温故痴新

 鳥の音におどろかされて暁の寝覚めしづかに世を思うかな   後村上天皇

      盗りの音に脅しすかさる垢付きの目覚めぬ衆を余と思うかな

 花の木も緑にかすむ庭の面にむらむら白き有り明けの月    雪玉集

      鼻に木の縁で結ばる二羽の面村々白ける二年目の月

 古も今も変はらぬ世の中に心の種を残す言の葉         衆妙集

      古も今も変はらぬまつりごと民を欺く巧し言の葉


そろそろ本腰

2010-12-21 | 今日は真面目に

Photo  ようやくヒノキ林内の侵入竹除伐に着手できた。今日は4名の参加があったから、黙々と作業はしていても安心感がある。

 孟宗竹は太いのばかりで、胸高径でも一升瓶より太い。チェーンソーより新品の竹切り鋸が使いやすいのだが、上腕が痛いから動力に頼ってしまいがちだ。

 ただ作業の正確さからいえば手鋸に軍配が上がる。倒す方向をコントロールする時、チェーンソーでは一旦置かなければならない。倒す場所が狭く、二間ほどの隙間だから最終的には微調整が必要になる。微調整と言えども、竹の重心方向は不揃いだから、それを一箇所に倒すのは「受け口・追い口」だけで決まらない。重心移動させてやる必要があるから「ヨイショー!」の手間仕事になる。

 今日は手前から伐り倒していったが、写真に撮ると事前・事後も大差が無かった。背景は変わらない竹の林立で手前は杉木立だから空間が見えない、少々ガッカリである。切り株を撮ったほうが明確だった。


*負託など不択

2010-12-21 | 温故痴新

 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ     藤原定家

      見渡せど誠信義もなかりけれ永田の石屋党の夕暮れ

 雪はみな払い果てたる秋風を松に残して月を見るかな      藤原良径

      行くはみな吹くも果て無き野分ゆえ俟ちに残して年を見るかな

 あわれいかに草葉の露のこぼるらむ秋風立ちぬ宮城野の原  西行

      あれはいかん草葉の陰もこぼしらむ秋風立ちぬ宮城野の沢


*ゆく川の流れは

2010-12-20 | 今はうたかた

 夕焼けを追いて消え行く梵鐘の里もなつかし童のあの日

 村役場けやきに吊りし大熊の血受けのたらい黄紅葉の浮く

 お稲荷の祠に生ずムクノキの幾年ぶりか大樹とそびゆ

 水無しの川原に熟れるアキグミは霜を被りて静かにありや


ギョッギョ、危険生物!

2010-12-20 | 小父のお隣さん

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 燻製を作ろうと炉の天蓋を外して「ぎょっ!」とした。サシガメが3匹いたのである。体長は30mmほどだから「オオトビサシガメ」だろう。図鑑に掲載されていたサシガメ類の他の体長は20mm以下だから間違いなかろう。ちなみに魚くんが「ギョッギョ!」としたのはクニマスだ。

 いままでに見かけた事はあったかも知れないが、近くでジックリ眺めたのは初めてである。たまたま先日の新聞記事だったか、サシガメの記載があって「刺されると非常に痛い」「痛みをとるためには眼球をすりつぶして塗布する」とか「刺された部分を切断する」とか、冗談半分で痛みの酷さを表現してあった。

 だから触ることも追い払うこともしなかったが、炉から煙が出る頃には消えてしまった。思えば越冬中の邪魔をしたことになるが、直ぐ近くには丸々とした黒蟻が、これはカードくらいの大きさに群れてジッとしていた。数を数えたわけではないが、一円玉の面積に20匹は入るだろうから、数百匹の群れになるのだろう。

 天蓋はステンレス製だから、陽射しがあれば暑いくらいになるし、気温が下がれば保温性能などは全く無いから外気温そのままである。もっとも風は入ってこないから快適と言えば快適か。さて、くだんの蟻とサシガメは何処へ潜り込んだのだろうか…。サシガメしたいわけではないがスモーク気になる。


鯵の燻製

2010-12-19 | 何よりの楽しみ

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 12月の定例会にあわせて久しぶりに燻製を作ってみた。今回は鯵の開きである。参考にしたレシピは二種類あったのだが、ごま油を塗布して燻煙する方をやってみた。

 開きは事前の処理が無い分、簡便であるが食べてみて判ったことは、焼くよりも水分が多く残るので風乾をした方が良かったと思われた。美味しかったが焼き魚にするより「水っぽい」印象となった。

 会友には好評なのだが、炉の付近で付きっ切りになるから何時もと言うわけにはいかない。どうしても作業を優先してしまう。だが、いつもの「お手軽」を脱して、そろそろベーコンやロースハム、スモーク焼き豚等に挑戦すべきかも…。


12月月例会

2010-12-19 | 月例会

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2010/12/18(土)9:30~14:30

会員  13名

活動  午前:用材の荷上げ・真竹林の手入れ

     午後:侵入竹除伐(ヒノキ林の孟宗竹)

昼食: いつもの豚汁及び鯵のひらき燻製、持ち寄りのお菓子など

*真竹林内の伐り残し株・切捨て残材 が散策に危険なため排除した。不特定多数が資材として節度の無い切り取りをするため荒れが目立っている。フイールドに就学前の母子グループが入るようになって放置できなくなった。予定を変更して手入れを実施した。


*秋と冬の間

2010-12-18 | 感じるままの回り道

 飛行機も蜂に聞こえる秋深し

     迂回して大蜂も来る男前

        ブブと来るとんぼブォンのすずめばち

           冬めだか波紋のこして沈みける


連鎖の痕跡

2010-12-18 | 感じるままの回り道

Photo_3  竹林の林床に鳥の羽毛が散乱していた。時折見かける食事の痕跡だけど羽は様々だ。鳥の種類は確定は出来ないが、キジバトの羽毛ではないかと色合いで想像する。

 林内の粗朶の集積した上に散乱していたから、捕食者は獣類か鳥類か判断がつかなかった。今まで見つけた場所は、概ね林内周辺で、明るく開けたところで痕跡を見出したことは無い。

 感知する・しないにかかわらず、食物連鎖は連綿と継続しているのだが、我々も連鎖の環の一角にいても、それを自覚しないのは恐ろしい事だと言ってよいのだろう。落葉が土に還っていく様を見るたびに思うことだ。

 落葉でも竹や笹類の葉は腐植し難いようで、腐葉土化が進まず堆積していくのを見ていると、林床が貧しいのも良く理解できる。蛇足だが周年一題のあそこは、冨蝕に熱心なだけで不要度化するばかりの連鎖だけだから、この鳥のように生きることへの連鎖に寄与する者は一人もいないのだろうなあ。

 羽毛の散乱した光景は、一般的には「可哀相」と言えるのだろうが、小生的には「有り難や、合掌」に類する。「可哀相」も大事だけど、近辺で頻繁に生じている「猪の括り罠」リセット行為は、きっと「可哀相」、「動物愛護」などという視点で行っているのではと、元の地主と立ち話をしていて思えてきた。「人声色々」である。


*理想の職場

2010-12-17 | 勢子、雨毒に侵されて呻く

Photoたんとこさ歳費湯水に減らず口実業知らず実学不要

身の程は本も努めぬ質ならば責めて縁りたい暖簾の中に

ヘストンの猿の惑星にも遠く先祖がえりか三猿の群れ

醜陰も惨院もみな同じ恥尻の蒼きに臭いのもよし


竹盗り物語

2010-12-17 | 小人閑居して憮然

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 フイールド内に2箇所、それも400㎡ほどしかない真竹林の林床を片付ける。駐車場から近いし、資材として伐り盗っていく量が多くて、再生竹は細く疎らになる一方である。

 伐り採るのも手入れの一環として、過密や養成を考慮してくれれば荒れるはずは無いのだが「県有地=私は県民」の論理で、伐り易いところから伐り盗っていく。ここまでは無視できるのだが、伐り残しと不要な枝・稈を片付けないのが無視できなくなった。

 子ども達が入ってくるようになって、中途半端な高さで伐り取った残りが非常に危険な仕掛けになってしまう。小生自体が、それで肋骨骨折をしてしまっているから、思い切って処理に入った。手入れをしても、おっつけ荒らされるのはウンザリするほど体験済みだけれど…。

 伐り残しをチェーンソーで地際から切断するのだが、乾いて古いのは硬く、直ぐに切れ味が鈍ってしまう始末だ。あわせて切り捨ててある残渣も窪地に再集積して、少しは安心して歩けるような林床に近づいたが、燃料切れで二割ほど残ってしまった。林床に放置された枝の下は植生が全く生じないから、これも綺麗に片付ける必要があるので、もう一日必要だろう。

 今日の最高気温は10度。ウインドブレーカーを羽織って丁度いい気温だった。オオスズメバチが飛翔しないと思えるから寒くても安心感はあって、やっと丈夫な黒い上着を着れる。