Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

薔薇色の残照

2014-01-07 | 風景

 

年末年始は山へ入らない。

そういう風に、長く過ごしてきた。

たぶん母を安心させるための、私なりのルールだったのだろう。

でも、その母もいないわけだから、

このルールには、もう意味がない。

それでも、なんだか腰を上げるのが億劫だ…

rieさん、mariさんと一緒に出掛けた雪山の初詣は、

そんな私自身の頑(かたくな)な部分を、少し和ませてくれた。

まっさらな雪の世界には、そんな作用がある。

(もちろん彼女たちの優しさが、その大部分であることは間違いありません。感謝。)

 

 

年始の混雑も一段落した頃合いを狙って、山へ入った。

前夜の雨は、山では雪だったようだ。

ロープウェイ山上駅から成就社へ続く雪道は、

青空にキラキラ氷の煌めきを放つ霧氷林に覆われている。

時折「シャー」、氷砂糖が空気中にばらまかれたような雪の煙幕が、

樹上から大量に落ちてきて、陽光にプリズムの虹彩を放つ。

きゅっきゅっきゅっ、靴底が雪の感触を確かめながらスキップしている。

今日は、鳥居前で柏手を打ってから、そのまま山門を潜った。

(いつも寄っている白石旅館はパスした)

夕映えに染まる4時までには、山上に達したかった。

 

初めての年始入山は、想像以上に楽ちんな行程でした。

こんなにお気楽な雪山は初めて(笑)

結局、アイゼンを着けないまま弥山山上へ到着。

到着予想時間より一時間以上早く、三時前に弥山へ。

山上にひとり佇むその人影は、のんびり山歩さでした。

途中で下山者から聞いていた物好きな避難小屋お泊り客は、

予想通り顔見知りの山の写真ヤさんでした(笑)

 

 

その日の夕映えは、素晴らしかった。

東の空が黒い雲に覆われ、西の空が空いて夕陽が落ちてゆく。

昏い暗雲を背景にして、刻一刻とその色合いを変えてゆく天狗岳の姿に魅了された。

次第に落日が、二の森の頂に達しようとする時、

山上の雪面が淡いピンクから薔薇色の輝きに染まる。

正対する天狗岳の雪面も鮮烈な茜色を帯び始めていた。

「おっおー」

山歩さんと二人、この黄金の時間に向き合い、むさぼるようにシャッターを切った。

年明け早々、鮮烈な風景と出会えた。

これは「小吉」どころじゃないね(笑)

お山の神様に、ひたすら感謝。

間もなく私は、石鎚入山200回を数えます。

 

その夜は、山歩さんと色んなお話が出来ました。

帰路の車中も含めて、たいへんお世話になりました。

また新たな知見を得ることが出来ました。


私自身を含めて、マスメディアが流し続けた偏った報道に対して、

それを、そのまま鵜呑みにしていたところがありました。

立場が変われば、当然のように見方も変わるのです。

そして日本は決して、情報公開度のひらけた国ではありません。

 

偏見や誤解は、お互い胸襟を開いで歩み寄ることから始めないと、その先に何も生じない。

益々生きにくい世の中ですが、

そうありたいと強く感じました。

 

 


コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雪山で初詣 | トップ | 雪嵐の朝 »

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひろぞう)
2014-01-07 20:58:31
ウオォ~~!! ス ・スゴイ!

山頂お泊りの
ス、スイッチが入りそうです!(*^_^*)
感動しました。

日曜日に2の鎖手前の鳥居までを目標に保護者同伴で行く予定です。


返信する
理想的なライティング (ランスケ)
2014-01-07 21:46:28
ひろぞうさん、ありがとうございます。

ある意味、この冒頭の写真は、私にとって理想的なライティングです。
自然界では、こちらの意図するような光の照射状態は偶然に頼るしかありません。
いくら天気図を読んでも、これだけは予想出来ません(汗)

そんな意味では、雲海や首巻の発生を予想する方が確率が高いかも?

さて今週末は、面白そうですよ。
明日からの寒気を伴なう低気圧は、山では雪になるでしょう。
金曜日まで降り続ける雪のおかげで、山は更にたっぷりの降雪が期待出来そうです。
あの年末年始に出来た石鎚の山上までの明瞭な道も消えてしまうでしょう。
ひろざうさんも覚悟して入ってください。

私もループさんと友人の3人で東の川から瓶ヶ森を目指します。
3人で交代でラッセルして明るい内に山上に到着出来るでしょうか?
それだけに山上に到着した翌朝の壮絶な風景にわくわくします。

ひろぞうさん、雪山の山岳風景は別格です。

返信する
むさぼる (misa)
2014-01-07 22:09:29
鮮烈に伝わってきます
初めてみた夜明けの雪原に珊瑚だ!と叫びました
体力的に時間的にもうその世界は見られませんが
むさぼるようにシャッターを切る時って全身に電流が走る感覚ですよね
日曜日休みなのですが運転手急用でまた延期となりました
どうも今年は雪原で遊ぶ程度になりそうな気配です
まそれはそれで違った意味での写真にはなりますが・・・
終わりなき旅ですね
返信する
風景写真の聖地 (ランスケ)
2014-01-07 23:21:38
misaさん、お正月モードから目覚めましたか?

今年は、過去15年間通い続けた石鎚でも格別の冬となりそうな予感がします。
今回で198回。
後2回で200回目の石鎚入山です。
瓶ヶ森は次回で50回。

さて、どちらにしても区切りとなる年明けです。

何度通っても、この山は奥が深い。
日本国中探しても、ここは別格の聖地だと実感しています。

さて今年は、どんな風景と出会えるか?
お楽しみに。
返信する
この色ですよ・・・ (zen)
2014-01-08 03:50:20
なかなか出会えない色!
ほんと理想的なライティングでしたね
こんなの見せられては炬燵ネコも、瓶かけまわるイヌに変身せねば・・・・・(笑)

返信する
すごい! (鬼城)
2014-01-08 10:17:32
 その場にいなければ、この美しさは見ることが出来ない。
しかし、写真にすれば近づくことが出来る。
この色、すばらしいですね。
あまり見たことがありません。
3枚目などは日本画そのものです。
平山画伯のふすま絵みたいです。
山岳会より、冬合宿のお誘いがありましたが、今回もパスです。いつになったら・・・(泣)
返信する
ローズピンクの再現 (ランスケ)
2014-01-08 14:07:45
zenさん、やっと目覚めましたか?
写真ヤさんを目覚めさせるには、鮮烈な風景ですね(笑)

このローズピンクを思わせる発色は、zenさんが県展に出品した黎明の瓶ヶ森の色に近いですね。
ポジフィルムでは、確かにこの色の再現が可能なのですが、
デジタルでは、なかかな再現が難しい色だと思います。

かなり今回は、近い色でしたが、まだ違う。
そして、こういうライティングには、スポット測光や中央重点測光が効果的ですね。

さて目覚めた瓶駆け回るイヌとの再会が楽しみです。
返信する
真冬のお遍路さん (ランスケ)
2014-01-08 14:22:14
鬼城さん、天赦園の新春の風景、拝見。
お遍路さんも立ち寄るのですね。

この寒空を歩くお遍路さんの姿を、石鎚初詣の車中からも見ました。
真夏と真冬のお遍路道中は、本当に苛酷だと思います。
何かお接待するべきだったと、
今更ながら反省しています。

幸先の良い年始の風景でした。
さて、今週末も雪たっぷりの瓶ヶ森へ行って来ます。
返信する
ラッセル (ループ)
2014-01-08 21:02:37
ランスケさんこんばんは。
本当に美しいですね。夕焼けはオレンジのイメージがあったのでとても以外でした。
ますます週末の瓶ケ森がとても楽しみになってきましたが、過酷なラッセルが待ち構えているでしょうね。登山として考えても凄い挑戦ですよね!3人で達成しましょう(^-^)/
返信する
ループさんの幸運にあやかって (ランスケ)
2014-01-08 22:55:04
成就社のライブカメラが作動しなくなったので、
新たに張り付けた石鎚スキー場の天気情報を見ると、
今日は雨ですね。

でも、この雨も標高の高い場所では、おそらく雪でしょう。
今回の石鎚も、下界は晴天なのに山上は夜から雪が降りました。
それなりに覚悟して入りましょう。

そうですね。
三人という人数は、気持ちの上で、とても楽になれます。
なんとか明るい内に山上に到着しましょう。
きっと山上には、今まで見たこともないような風景が待っていますよ。

そう、ループさんは何故か素晴らしい風景に出会える確率が高いのだから(笑)
返信する

コメントを投稿

風景」カテゴリの最新記事