レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「メトロ」が恋しいアイスランドの生活

2018-03-18 05:00:00 | 日記
「アイスランドに住んでいて、日本の何を恋しく思いますか?」という質問は、年中ではないですが、年に数回は訊かれている気がします。もちろん「恋しい」と思うものもありますし、もう少し実用的な意味での「こっちにもあったらいいのになあ」とないものねだりをしてしまうもの/ことも沢山あります。

食べ物関連を挙げるとキリがなくなりますので、別のものを。それは「地下鉄」「電車」です。「列車」ももちろん加えていいのですが、毎日の生活における重要性という点から考えると、「電車」「地下鉄」の方に若干ウェイトが多くかかるかなあ、という感じです。

私は東京都下の八王子出身で、予備校、大学は都内でしたし、その後の三年間のサラリーマン時代も、ずっと八王子から通学通勤をしていました。もちろん電車と地下鉄(最近はメトロというのでしょうか?)

その間の十年間弱を振り返ると、車の必要性はまったく感じなかったと思います。もちろん車が趣味で運転したい方は、異なる必要性があるのでしょうが、特にカーマニアでもなかった私には、東京メトロ万歳!の毎日なのでした。

都内の会合などで、遅刻してくる人のほとんどは車族だったと記憶しています。みんな、おんなじ言い訳:「駐車場がなくって...」車なんか使うからだよ、都内で... ちなみに私の仕事は「車必須」の業界ではありませんでしたので。

その後、名古屋に移りましたが、名古屋は大都市とはいえ、やはり東京とは密度が違いますので、車が日常必須の生活となりました。それでも、電車、地下鉄共に発達もしていましたから、車か電車かの使い分けができて、これも便利な毎日だったと思います。

名古屋の次がレイキャビクです。言葉とか、食文化とかの違いはさておいて、「移動の足」ということだけに焦点を当てても、これは相当な大変換でした。なにしろ、列車、電車、地下鉄の類、何もない... ここには。レイキャビクだけでなない、国内に二本のレールの上を動くものは、いっそモノレールも含めても、存在しないのです。

レイキャビク市内にある、国内線用の飛行場の隣りにある丘には、線路が残っていると記憶しています。第二次大戦中に、そこに英軍、米軍が物資運搬用のトロッコを引いたのだそうです。いまでもあるのかな?レール。

あと、ダウンタウンの港前の広場に小さな蒸気機関車が展示してあります。もちろん動きません。ああ、あれがもしかしたら英軍だか米軍が使っていた代物なのだろうか?すみません、ちょっと勉強不足です。

で、現在レイキャビクは150%くらいの車社会に成長しています。日本と比べる規模ではありませんが、朝夕はラッシュもあります。相当な距離の車の行列ができあがります。

ラッシュ緩和と環境対策のためにバスの利用を勧めてきたこともあるのですが、バス会社経営の困難から、運賃は上がる一方。これでは、バスを使いたくても使えない、という人まで出てきてしまう始末です。

なにしろ一回の運賃が460クローネ。対して託しの初乗りが690クローネで、キロごとに約300クローネ増し。ふたり以上ならタクシーの方が安い、ということも十分にあり得ます。ついでに、大人の一ヶ月のバスカードは12.300クローネもします。「車の代替にしろ」というのは無理のある額です。

最近は自転車愛好家も増えてきているのですが、こいつらのために交通事情はますます煩雑かつ遅延していると感じています。(スミマセン、私は『通勤通学自転車』大キライなのでした)




金曜日のモルグンブラウズィズ紙 Borgarlina路線図


で、とにかく、市街地の交通が飽和化してきていることは周知の事実となっています。レイキャビクとその周辺の地方自治体は、その対策としてBorgarlinaボルガーリーナという交通手段を設置することを、ここ数年間検討してきています。電車状のバス車輌であるようです。専用レーンを走行するので「高速で移動する」とのことです。

実際にどういう形体の電車なのかは、まだ具体的にされていないのですが、おそらく「ゆりかもめ」的なイメージのものなんだろうと想像しています。もちろんモノレールではないですが。

あるいは今風の「都電」のようなものかもしれません。最近、随分スタイルの洗練された都電が走っていますよね、「モヤモヤさまぁ〜ず」だか「正直さんぽ」だかで見た記憶があります。




電車なのか、バスなのか?
Myndin er ur Vidreisen.is


このボルガーリーナ(ボルガーは「市内の」とか「市の」、リーナは「ライン」を意味します)計画、しばらく前に一度書いたことがあると思いますが、なにしろ土地の区画整理みたいなことが、大前提条件になりますので、計画の段階から難問に突き当たっていた、と聞いていました。

それでも諦めたわけではないらしく、この金曜日のモルグンブラウズィズ紙には、レイキャビク市と周辺地方自治体が基本的に合意したとして、ボルガーリーナの路線計画を掲載しています。

計画そのものはボルガーリーナだけではなく、大規模な道路改修と新開発を含み、2030年の完成を目指す大計画です。

新聞記事によりますと、ボルガーリーナは計四本の線が敷かれることになるようで、これらはすべて、すでに相当発展をしている地域に限られています。近距離の住宅地とオフィス街を結ぶことを主眼にしているように思われます。

多分、通勤通学者をごそっと車利用から振替えよう、ということなのでしょう。ですから、市内と「郊外」を結ぶような長距離路線は計画されていないようです。

私なんざ「ケフラビクの空港から市内まで電車で行けたらいいのに」と思っていましたし、今でもそう思ってますから、若干がっかりです。

ボルガーリーナに限っての総予算は439億クローネだそうです。ボルガーリーナ1キロあたり12億5千万クローネとか。話しの流れからして、電車というか市電というか、その車輌そのものの予算は含まれていないように思われます。

正直言って、こういうのを聞かされても、現実味がないというか、宛てにできないというか、自分には関係ないと思われてしまうというか...

現実味があるのは、こういうのを計画して、あるいは実際に施工するとして、それでガッポガッポ儲ける輩が裏には必ず存在するのだ、ということです。結局、ここも人の住む社会ですからね、基本的な構図は他所と変わらないのでしょう。

夢のような気はしますが、それでもボルガーリーナができればいいだろうな、とは思います。電車、地下鉄、モノレール、あるいは「電車状の」走行車輌。「文明」を私は感じます。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« To Remember and Pray  | トップ | 生活の怠惰なリズム »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たけぞう)
2018-03-18 08:21:55
2009年に初めてアイスランドへ旅行した時、空港-レイキャビック市内の鉄道計画の看板とHPを見たのですが、やはり幻の計画だったのですね…
返信する
ブログ当事者 (Toshiki Toma)
2018-03-25 22:05:21
たけぞうさん、こんにちは。

2009年は経済危機の直後ですからね。それまでのバブルでいろいろ計画していたことが、まだ漂っていたのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事