レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ガイコクジンモOK 五月はレイキャビク市議会選挙

2018-05-13 03:00:00 | 日記
五月も早、中旬になってしまいました。月初からの「寒の戻り」もどうやら終わってくれたようで、気温はなんとか十度前後に落ち着いてくれています。

六月になると、まず間違いなくサッカー男子のワールドカップでアイスランドの国中が騒がしくなるものと思います。ですが、その前にもうひとつ騒がしいものがあります。地方自治体の選挙です。

地方自治体の選挙は、四年ごとに五月の最終土曜日を投票日として実施されます。九年前の経済危機以降、国政選挙は予期せぬ国会解散などの影響で選挙が不定期になっていますが、地方自治体の方は判で押したように四年ごとの選挙が続いています。

地方議会で解散、出直し選挙というのはあるのかしら?すみません、不勉強でこの点は調べてみないとわかりません。制度的にはあるかもしれませんが、おそらく実際にそうなったことはないだろう、と想像します。

日本とは違う点がいくつかありますので、それらをご紹介しながら話しを進めていきましょう。




RUVのネット版にも選挙用のコーナーがオープン


第一に、日本では市長選挙、市議会議員選挙、というように分かれていて、市長は市民が直接選びますね。こちらでは、「市長選挙」というものはなく、市議会の多数派が自らの中から市長を選びます。つまり、市議会議員から市長を出すわけです。選挙で勝った党から、総理大臣が出るのと同じ仕組みです。

ちょっと話しが逸れますが、市長は必ずしも市議会議員である必要はありません。2003年から二年ほど、ソウロウブル·アルトゥナルスソンというビジネスマンが、「契約市長」を務めたことがあります。文民大臣みたいなものですね。

これは選挙の結果、市長を続投していた当時のインギビョルク·ソウルンという女性が、国会に転身するために市長を辞任したためでした。「誰も選んでいない人がしちょうになってもいいんだ」と驚いたのを覚えています。

さて、現在の市長はダーグル·エッゲルトスソンという人です。2007年から短い間市長を務め、次に2014年から再び返り咲きました。ちなみにこの人はもともとお医者さんです。

ダーグルさんは社民党に属し、現在の市議会は社民党、明るい未来党、ピラター、そして緑の党の四党連立で多数派を形成しています。野党派は独立党、進歩党(という名前の保守党)です。あと、わけあって進歩党を追われた無所属議員がひとり。

日本では、市議会選挙の際などには「政党色」を薄くして「実利」を優先する傾向がありますが、こちらではまったく同じではなくとも、国会選挙のように「政党」が主軸にして選挙を戦います。

ここで日本と違う第二の点です。こちらでは地方選挙(国会選挙もですが)は、間接選挙です。つまり有権者は個人の候補者に投票するのではなく、定められた候補者リストに投票します。

日本の比例代表制と同じです。例えば、独立党は「私たちは、このような人々を市議会に送ります」というリストを提出し、得票数に応じて上から議席を得ていくわけです。

当然、リストの一番目に来る人は -それがメジャーな党のリストであるならばですが- リスト確定の時点で議席を得たようなものです。それでもこちらの候補者たちは、最後まで一生懸命選挙戦をしていますが。

で、このリストの順番を競って、それぞれの党内で選挙の半年くらい前から「予備選挙」というものを行うのが普通です。見ていると、この予備選挙は結構シビアなもので、長年市議会議員を務めてきた人でも「今期は期待に沿っていない」とさっさと切られてしまうようです。

伝統的に、この候補者リストは特定の政党に基礎を置いてきました。独立党がこのリスト、社民党がこのリスト、という具合です。

唯一の例外とと言えるのはKvennalistinnクヴェンナリスティン「女性のリスト」というもので、これは1983年から2000年まで、政党よりは「女性の権利」という原則の上に立って選挙の参加してきました。2000年に社民連合に合体しました。

さて、今回の地方選挙ですが、この「リスト」がやたらと多いのです。なんと16の候補者リストが提出されています。メジャーな政党は八つと言っていいでしょうから、残りの半分のリストは、政党というよりは実際的な「共通の利益、訴え」に基づいて人々が集まったものになります。




16ものリストが乱立する、今回のレイキャビク市議会選挙


もっとも、そういう集まりでも「党」と名のりますが。まあ、日本なら「無所属」として、個人でも出馬できますが、こちらではとにかく「リスト」を提出せねばならず、そのリストには最低十七人の候補を並べる義務があります。ですから、今回のように多数のリストが出てくるのだろうと考えます。

まあ、同時に既存の政党に満足できない有権者が多いということでしょうね。実際には、選挙後に多数派を形成する際に、協力するための妥協点を見出していかねばならないわけで、自分たちの主張が100%通ることは考えられません。

それだったら、も少し事前に政党間で、あるいは政党と話しをして、「妥協できる共通の政策プラン」をまとめたらいいと思うのですが。選挙後の連立協議というのは、ある意味「壁の向こう側」でのやりとりになりますから、そこにあまり重きが置かれてしまうのは良くないのではないでしょうか?

最後にもうひとつ、日本の地方選挙と違う点。こちらでは地方自治体の選挙には外国人も参加できます。投票も、立候補も。五年以上継続して居住していることが基礎条件です。

というわけで、私も投票できます。もっと言いますと、候補者でもあります。レイキャビク緑の党の候補者リストの三十一番目なんです。

もちろん、三十一番目なんていうのは、ただ名前と顔を出すだけの飾りに過ぎません。どの党も、「老若男女」に加えて「肌の色が違う人、母国が違う人もウチにはいるよ」ということをアピールするために、いろいろな人を番外の席に招くわけです。

国会選挙のリストでしたが、元総理のオッドソン氏が独立党リストの三十番くらいに乗ったことがあります。

私の場合、もう十二三年の間、緑の党に属していますし、入った当時は結構積極的に活動したこともあります。ただ市政は合ってないです、ワタシには... やたらと実利的な問題が山のようにあるのが市政です。

国政なら、もう少し大上段からものを語る、的なところがありますし、そういうことならわりと好きなんですけどねえ... 残念ながら、国政(選挙)には外国人は参加できません。市政は難し過ぎます。というわけで、リストの三十一番目が、ワタシにとっての最適の「政治参加」なのでした。

まあ、こういうのもアイスランドの生活の楽しみ方です、な〜んて言ったらブッ飛ばされますね。スミマセン。いえいえ、移民の権利を確立し、義務を行使することのお役に立つためにワタシは端っこにしっかり座っているのです。(^-^;


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com


Home Page: www.toma.is


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