前回レイキャビクの隣り街であるハフナフョルズルについて書きました。その中で溶岩地帯を公園にしたHellisgerdiヘットゥリスゲルジィに「妖精センター」がある、ということにも触れました。今回はこの「妖精」についてもう少し。
世界のどこの国でも同じようなものでしょうが、アイスランドにもいろいろな神話というか伝説というか迷信というか、要するに「信じるー?信じない?」的な話しがあります。
代表的なのがTrollトロットゥルという巨人(巨人といっても二三メートル)やGardramadurガルドゥラマーズルという魔法使い、さらにDraugurドロイグルという幽霊ですが、そこに加わるのがAlfurアウルブルと呼ばれる妖精です。
妖精はまたHuldufolkフルドゥフォルクと呼ばれることがよくあります。Hulduの辞書形はHulinnで「隠された」を意味します。Folkは「人々」の意味ですので「隠された人々」ということになります。
で、簡単に言ってしまうとこの「妖精」あるいは「隠された人々」というのは森や岩の間などに住んでいて誰にでも見えるというわけではない存在です。一般的に人に悪さをするわけでもなく、静かに自分たちの世界に引きこもって生活しているようです。
私は妖精というのは小人なのだろうと先入観で思っていたのですが、一説では人間と同じサイズであるのだそうです。でもそうすると「住処」とされている岩などはちょっと小さ過ぎる気がしますが。
アイスランド人はこの「妖精神話」を結構まじめに受け止めています。現大統領のオーラブル・ラグナル・グリムスソン氏によると「アイスランド人は少数です。だから妖精を信じることで国勢を二倍にしたいと望んだのです」
この説明はあながちでたらめではないと思います。私自身一夏だけ隣りの家が歩いて十分のところ、という本当の田舎に住んだことがあるのですが、その時は野原の岩の陰に小人がいるのではないか、いや「いて欲しい」という思いに駆られたことを覚えています。
さて、この妖精に関してひとつのニュースがあります。この一年間レイキャビクとハフナフョルズルの間にあるAlftanesアウルフタネスという町で新道路の開設をめぐって争いがありました。
レイキャビクーハフナフョルズルを結ぶ幹線道路から、大統領官邸のあるアウルフタネスへ向かう現道路が狭くて危険だという理由で、新しい道路を作る計画がありました。
ところがこの新道路が希有な自然を留めている溶岩地帯を通ることから自然保護者団体が反対していたのです。ずいぶんと座り込みによるデモが行なわれ逮捕者まで出ました。私の知り合いの老婦人ひとりも逮捕されました。ちなみに私自身この新道路には反対です。
Alfakirkja「妖精の教会」移転
モルグンブラーズィズ紙の一面
結局権力に後押しされた新道路建設が無理やり強行されているのですが、その新道路の予定地にAlfakirkjaと呼ばれる溶岩石がありました。これは「妖精の教会」と呼ばれるもので、妖精信奉者には聖地のようなところです。
座り込みで逮捕された人の中に、ラグンヒルドゥル・ヨウンスドティ-ルという妖精の専門家がいるのですが、二年ほど前に妖精が彼女を「妖精の教会」に呼び出し「自分たちを平穏にしておいてくれ」と頼んだのそうです。
結局「権力」もこれを無視するのは怖くなったようで、新道路を迂回させる計画変更を採用しようとしました。ところが何かが不都合だったようで、最近になってこの「妖精の教会」を近所に移転してもらう方針に変ったようです。
工事請負会社の長の話しではスタッフの中にも妖精を信じている人がいるとか。また「この移転は妖精たちも合意するところだ」とも。この「妖精の教会」は推定五六トンといいますから、それなりの仕事です。妖精にも納得してもらわないと骨折り損になってしまいますからね。
ご紹介したいのはこのことが伝統ある全国紙モルグンブラーズィズ紙の一面記事になったことです。先週の水曜日のことでした。一面だけではなく四面には解説記事も。
今さらながら面白い国です。でもワタシ的には決して嫌いではありません、こういう風に妖精や幽霊に礼を表するのは。(*^^*)
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
世界のどこの国でも同じようなものでしょうが、アイスランドにもいろいろな神話というか伝説というか迷信というか、要するに「信じるー?信じない?」的な話しがあります。
代表的なのがTrollトロットゥルという巨人(巨人といっても二三メートル)やGardramadurガルドゥラマーズルという魔法使い、さらにDraugurドロイグルという幽霊ですが、そこに加わるのがAlfurアウルブルと呼ばれる妖精です。
妖精はまたHuldufolkフルドゥフォルクと呼ばれることがよくあります。Hulduの辞書形はHulinnで「隠された」を意味します。Folkは「人々」の意味ですので「隠された人々」ということになります。
で、簡単に言ってしまうとこの「妖精」あるいは「隠された人々」というのは森や岩の間などに住んでいて誰にでも見えるというわけではない存在です。一般的に人に悪さをするわけでもなく、静かに自分たちの世界に引きこもって生活しているようです。
私は妖精というのは小人なのだろうと先入観で思っていたのですが、一説では人間と同じサイズであるのだそうです。でもそうすると「住処」とされている岩などはちょっと小さ過ぎる気がしますが。
アイスランド人はこの「妖精神話」を結構まじめに受け止めています。現大統領のオーラブル・ラグナル・グリムスソン氏によると「アイスランド人は少数です。だから妖精を信じることで国勢を二倍にしたいと望んだのです」
この説明はあながちでたらめではないと思います。私自身一夏だけ隣りの家が歩いて十分のところ、という本当の田舎に住んだことがあるのですが、その時は野原の岩の陰に小人がいるのではないか、いや「いて欲しい」という思いに駆られたことを覚えています。
さて、この妖精に関してひとつのニュースがあります。この一年間レイキャビクとハフナフョルズルの間にあるAlftanesアウルフタネスという町で新道路の開設をめぐって争いがありました。
レイキャビクーハフナフョルズルを結ぶ幹線道路から、大統領官邸のあるアウルフタネスへ向かう現道路が狭くて危険だという理由で、新しい道路を作る計画がありました。
ところがこの新道路が希有な自然を留めている溶岩地帯を通ることから自然保護者団体が反対していたのです。ずいぶんと座り込みによるデモが行なわれ逮捕者まで出ました。私の知り合いの老婦人ひとりも逮捕されました。ちなみに私自身この新道路には反対です。
Alfakirkja「妖精の教会」移転
モルグンブラーズィズ紙の一面
結局権力に後押しされた新道路建設が無理やり強行されているのですが、その新道路の予定地にAlfakirkjaと呼ばれる溶岩石がありました。これは「妖精の教会」と呼ばれるもので、妖精信奉者には聖地のようなところです。
座り込みで逮捕された人の中に、ラグンヒルドゥル・ヨウンスドティ-ルという妖精の専門家がいるのですが、二年ほど前に妖精が彼女を「妖精の教会」に呼び出し「自分たちを平穏にしておいてくれ」と頼んだのそうです。
結局「権力」もこれを無視するのは怖くなったようで、新道路を迂回させる計画変更を採用しようとしました。ところが何かが不都合だったようで、最近になってこの「妖精の教会」を近所に移転してもらう方針に変ったようです。
工事請負会社の長の話しではスタッフの中にも妖精を信じている人がいるとか。また「この移転は妖精たちも合意するところだ」とも。この「妖精の教会」は推定五六トンといいますから、それなりの仕事です。妖精にも納得してもらわないと骨折り損になってしまいますからね。
ご紹介したいのはこのことが伝統ある全国紙モルグンブラーズィズ紙の一面記事になったことです。先週の水曜日のことでした。一面だけではなく四面には解説記事も。
今さらながら面白い国です。でもワタシ的には決して嫌いではありません、こういう風に妖精や幽霊に礼を表するのは。(*^^*)
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
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コメントと興味深い思い出話しをありがとうございます。
アイスランドのゴーストストーリーを紹介したいと思いつつなかなか実現しません。実は前にいくつも日本語に訳したのですが、その訳も原文もどこかへ消えてしまい見つからないのです。
これもゴーストの仕業かも?です。(^-^;
妖精、精霊はいると思います。少なくとも幽霊はいますね、何回も見ていますから。
子供の頃、祖母から不思議な話を聞きました。実家の近所に川のながれる四つ辻があるのですが、そこにある特定の日に赤飯一升を夜盥に入れておいておくと朝には無くなっている。
実際には野の物かなんかだろうと思いますが、きれいに無くなった年には良い事が、残った年には悪い事が起こると言われていました。
また、母からはカッパの話を聞きました。母が子供の頃、夜子供達だけで隣町から帰っていた時に途中山の中の川で何かがうごいている。町一番と言う豪腕の男性が何かと必死で引っ張りっこをしていた。綱の先は川の中。子供達も手伝って必死で引っ張ったが綱は引き込まれてしまったと言う話です。綱の先には実は馬(対州馬と言う小柄な馬)が繋がれていたと言う事です。何かが馬をいきなり川に引き込んでしまい、男性は必死で引っ張っていたと言う話でした。その川は昔からカッパがいると言われていた川だったと母は言っていました。
この話は母が実際に関わった話で、他にも数人の子供がいたのであながち嘘とも言えないのですよ・・・
妖精達が納得してくれないと移転自体出来ないでしょうね。
しかし納得していただいても相当な大仕事ですね(^^;
人以外の知的な生命体がいてもおかしくはないと思います。