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基礎講義 わかりやすい経絡治療.17 第13章「脉診」1
治験研究発表「蜂窩織炎」「妊娠中の患者さんに対する鍼灸治療」
午後
指導講座 高等部 「証決定」実技
支部年間研究テーマ「刺鍼と脉状変化の検証 其の3」はりの接近・接触
実技 基礎班.
「ナソ(頸肩腕部)・ムノ(腰仙部)治療2」「奇経治療2」「子午治療2」
研修班. 「脉診・標治法・補助療法」
基礎講義では、脉状診は、浮沈、遅数、虚実の六祖脉を観察する事で、病位や寒熱、
生命力の盛衰を評価し、刺鍼時に於ける深度、速度、補瀉等ドーゼ決定に
資する脉診であり、又、比較脉診は、五臓の虚実による十二経絡の
変動を各脉位を通して評価し、主証決定を導く脉診であるとの内容でした。
更に、患者の現す脉状は、個々の体質や季節、時刻によっても種々影響
を受けるので、これらも念頭に置かなければ適切な脉診は出来ないとの事
でした。
当会では、診察開始から治療終了に至るまで実に主役を為す診察法ですので、今後も研鑽を重ねていかなければと思った次第です。また現状の脉診力で施術の方針決定の比重を大きくとるのは非常に恐ろしいとも感じました。他の診察ともあわせてしっかり裏付けをとらねばと強く感じました。
続いて行われた治験発表では、今回お二人からの発表でした。
「蜂窩織炎に対する鍼灸治療」ということで、延べ9回の経絡治療の内容と効果の発表でし
た。テーマを聞いたとき、そんなに難しい疾患に取り組むなんてすごいなとまず驚き
ました。でも発表を聞いていると、このような外科的な疾患に対しても経絡治療が有
効で期待できるんだなあと想わせる程、よく観察し丁寧に行なわれていたので感心し
ました。後に行われた「妊娠中の患者さんに対する鍼灸治療」の発表も、これはこれで大変分かりやすく妊娠に
対する身体の変化について解説していただき、その鍼治療の適否、方法等、勉強になりました。
「刺鍼と脉状変化の検証 はりの接近・接触」は、押手に鍼を入れ、鍼先が穴所に当たる寸前の脉状と接触した際の脉状についての検証がなされました。
検脉中、鍼先が穴所に当たる寸前まで進むと急に脉が弱くなった感覚を受けましたが、これは脉が広がったことによるものと教えて頂きました。更に鍼を進め鍼先が穴所に接触した際も脉状が変化したようですが、自分には少し判りにくかったので、今後、更なる修練が必要だと思いました。
只、以前と比して少しではありますが、脉の変化が感じられる様になった事は、とても嬉しく思いました。
実技 「ナソ・ムノ治療」「奇経治療」「子午治療」
今回は、(右手)心包経上に発症した弾発指を有する模擬患者に対し、子午治療及び奇経治療を実践しました。
子午治療では右心包経に限局した症状が現れていた為、その健側で子午関係にある絡穴、即ち左胃経の豊隆穴を取穴し、金の三十番鍼を用いての治療を実践しました。
取穴に於いては、骨度法を以て取穴しましたが、実際はそれより数ミリ離れた位置に反応があり、そこが治療点(豊隆穴)との事でした。
実際、そこを触れさせてもらうと、周囲より皮膚が硬くなっており、治療すると
その硬さが改善していました。
又、奇経治療では、内関-公孫にテスターを貼り、検脉してみましたが、今一つ反応が悪く、太衝-通里の反応が良かったようです。
この太衝-通里の組み合わせは概して奇経治療に用いる八総穴には含まれていませんが、これは当会が独自でその臨床経験に基づいて研究・発見した奇経治療に於ける組み合わせのようです。
以上の様に東洋はり医学会独自の知識を学べたり、手から手に反応点を教えてもらえたりする事は、とても良い経験になっております。
東洋はり医学会 趣意書
文化の進展は瞬時の猶予をも許さず、今や鍼灸術も世界の医学界に登場するところとなった。
翻って国内においては、これが科学化の掛け声と共に種々な研究が進められてはいるが、その大勢は鍼灸の臨床における諸現象を現代医学によって解明せんとするものの如くである。即ち、経穴を刺激の部位となし経絡はほとんど顧りみない状態であるが、かくては数千年の伝統を誇る東洋医学の真髄を学ぶことは全く至難となる。
病体を気血の変動とし、その病変を経絡の虚実として統一的に把握し経穴を診断と治療の場として補瀉調整する経絡治療こそ鍼灸術本来の正道である。しかして、この学理と術技を体得せしめて、真に病苦除去の実力ある鍼灸人を育成することこそ、その科学化に優先すべき必須要件であるが、不幸にしてこれを誤る時は、その鍼灸術、すなわち我が祖先の偉大な文化遺産を後世に伝承することは全く不可能となる。
ここにおいて、我々志を同じうする者、相図って東洋はり医学会を結成し別紙綱領の完遂を期す。
以上の主旨を諒とせられる同志は、来って本会に投ぜられんことを広く業界の諸君に訴える次第である。
綱 領
1.我々は臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せんことを期す。
1.我々は正しい経絡治療の学理と術技を修得することによって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せんことを期す。
1.我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことを期す。
基礎講義 わかりやすい経絡治療.17 第13章「脉診」1
治験研究発表「蜂窩織炎」「妊娠中の患者さんに対する鍼灸治療」
午後
指導講座 高等部 「証決定」実技
支部年間研究テーマ「刺鍼と脉状変化の検証 其の3」はりの接近・接触
実技 基礎班.
「ナソ(頸肩腕部)・ムノ(腰仙部)治療2」「奇経治療2」「子午治療2」
研修班. 「脉診・標治法・補助療法」
基礎講義では、脉状診は、浮沈、遅数、虚実の六祖脉を観察する事で、病位や寒熱、
生命力の盛衰を評価し、刺鍼時に於ける深度、速度、補瀉等ドーゼ決定に
資する脉診であり、又、比較脉診は、五臓の虚実による十二経絡の
変動を各脉位を通して評価し、主証決定を導く脉診であるとの内容でした。
更に、患者の現す脉状は、個々の体質や季節、時刻によっても種々影響
を受けるので、これらも念頭に置かなければ適切な脉診は出来ないとの事
でした。
当会では、診察開始から治療終了に至るまで実に主役を為す診察法ですので、今後も研鑽を重ねていかなければと思った次第です。また現状の脉診力で施術の方針決定の比重を大きくとるのは非常に恐ろしいとも感じました。他の診察ともあわせてしっかり裏付けをとらねばと強く感じました。
続いて行われた治験発表では、今回お二人からの発表でした。
「蜂窩織炎に対する鍼灸治療」ということで、延べ9回の経絡治療の内容と効果の発表でし
た。テーマを聞いたとき、そんなに難しい疾患に取り組むなんてすごいなとまず驚き
ました。でも発表を聞いていると、このような外科的な疾患に対しても経絡治療が有
効で期待できるんだなあと想わせる程、よく観察し丁寧に行なわれていたので感心し
ました。後に行われた「妊娠中の患者さんに対する鍼灸治療」の発表も、これはこれで大変分かりやすく妊娠に
対する身体の変化について解説していただき、その鍼治療の適否、方法等、勉強になりました。
「刺鍼と脉状変化の検証 はりの接近・接触」は、押手に鍼を入れ、鍼先が穴所に当たる寸前の脉状と接触した際の脉状についての検証がなされました。
検脉中、鍼先が穴所に当たる寸前まで進むと急に脉が弱くなった感覚を受けましたが、これは脉が広がったことによるものと教えて頂きました。更に鍼を進め鍼先が穴所に接触した際も脉状が変化したようですが、自分には少し判りにくかったので、今後、更なる修練が必要だと思いました。
只、以前と比して少しではありますが、脉の変化が感じられる様になった事は、とても嬉しく思いました。
実技 「ナソ・ムノ治療」「奇経治療」「子午治療」
今回は、(右手)心包経上に発症した弾発指を有する模擬患者に対し、子午治療及び奇経治療を実践しました。
子午治療では右心包経に限局した症状が現れていた為、その健側で子午関係にある絡穴、即ち左胃経の豊隆穴を取穴し、金の三十番鍼を用いての治療を実践しました。
取穴に於いては、骨度法を以て取穴しましたが、実際はそれより数ミリ離れた位置に反応があり、そこが治療点(豊隆穴)との事でした。
実際、そこを触れさせてもらうと、周囲より皮膚が硬くなっており、治療すると
その硬さが改善していました。
又、奇経治療では、内関-公孫にテスターを貼り、検脉してみましたが、今一つ反応が悪く、太衝-通里の反応が良かったようです。
この太衝-通里の組み合わせは概して奇経治療に用いる八総穴には含まれていませんが、これは当会が独自でその臨床経験に基づいて研究・発見した奇経治療に於ける組み合わせのようです。
以上の様に東洋はり医学会独自の知識を学べたり、手から手に反応点を教えてもらえたりする事は、とても良い経験になっております。
東洋はり医学会 趣意書
文化の進展は瞬時の猶予をも許さず、今や鍼灸術も世界の医学界に登場するところとなった。
翻って国内においては、これが科学化の掛け声と共に種々な研究が進められてはいるが、その大勢は鍼灸の臨床における諸現象を現代医学によって解明せんとするものの如くである。即ち、経穴を刺激の部位となし経絡はほとんど顧りみない状態であるが、かくては数千年の伝統を誇る東洋医学の真髄を学ぶことは全く至難となる。
病体を気血の変動とし、その病変を経絡の虚実として統一的に把握し経穴を診断と治療の場として補瀉調整する経絡治療こそ鍼灸術本来の正道である。しかして、この学理と術技を体得せしめて、真に病苦除去の実力ある鍼灸人を育成することこそ、その科学化に優先すべき必須要件であるが、不幸にしてこれを誤る時は、その鍼灸術、すなわち我が祖先の偉大な文化遺産を後世に伝承することは全く不可能となる。
ここにおいて、我々志を同じうする者、相図って東洋はり医学会を結成し別紙綱領の完遂を期す。
以上の主旨を諒とせられる同志は、来って本会に投ぜられんことを広く業界の諸君に訴える次第である。
綱 領
1.我々は臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せんことを期す。
1.我々は正しい経絡治療の学理と術技を修得することによって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せんことを期す。
1.我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことを期す。