「子どもの学力がぐんぐん伸びる古典音読」陰山英男著
注:以下、長文です
学級担任をしていた頃、必ず「名文」といわれる古文や漢文の音読を指導していた。子どもたちは、リズムや言葉遣いが面白いらしく、喜んで音読していた。
なぜ名文の音読はよいのか、どう指導すればよいのかが分かりやすく書いてあるのが、この本である。
文の引用と自分の感想を述べる。
以下、「 」の中が引用した文である。
「読み書き計算をより伸ばすために必要なのは、さらに古典的な立腰教育であったり、呼吸法であったり、鉛筆の持ち方や運筆練習といった伝統的で基礎的なものであったのです。」P.12
やはり立腰教育は学習のベースにもなるのだ。
「重要なのは、意味よりリズムです。古文や漢文はリズムがいいから読みやすいのです。」
「ひょっとして意味が分からないというのは、子どもにとってはいいことなのかもしれません。なぜかというと、この時期の子供は、リズムのある文章を喜びます。またこうしたリズムのいい文章を単純に覚えることについては大人以上に力を発揮します。ですから、意味が少し難しいものでも、凄く難しいものでも、関係なく吸収してしまいます。」p.23
意味の分からないものでも、覚えてしまう。特に低学年の子は、覚えるのがはやい。
「古典の名文を何回も読んでいるうちに気がついたら暗唱してしまっていたというのが、望ましい在り方なのです。」p.25
この考え方は、野口芳宏先生と同じである。自分はついどれだけ暗唱できたかを確認させながら指導してしまっていた。
「スコーラは一週間に一回五十分の中で読み書き計算に取り組むので、音読だけに限って言うと一週間に一回十分ぐらいしか指導できません。あとは宿題なのですが、そうした枠組の中でも伸びていきます。短いものなら、一瞬にして覚えるという場面も出てきています。」p.26
一週間に十分間だけでも伸びていくというのはオドロキである。
「子どもにとって『読むこと』は難しいことなのです。それは音読させて初めて気づくことですが、意外なほど『読めない』のです。」p.28
これは、教室で指導すれば分かる。だからこそ、機会を見て、国語科以外でも音読をする学習は取り入れなければ伸びない。
以下、指導方法についての留意点やヒントがたくさん書いてあった。
「読み書き計算を短時間で反復するのに余計な声かけは必要ありません。むしろじゃまです。私が提起したのは『流れ作業』です。」p.32
「音読で一番重要なのは、教師がいい読み方のお手本を示すこと、つまり範読です。」p.33
「子どもたちの頭を鍛えようとするのならば、頭が休んでいる時間を作ってはいけません。」p.50
「同じ文章を少しずつ、スピードを上げながら、繰り返し読んでいきます。先生はついてこられない子がいないかどうか、机間巡視をして、目配りをしていきます。ここでの観察は指導力の要です。」p.51
「よい指導をしている学級では、先生の説明は本当に一言だけです。」p.53
「そうなるためには、常日頃からできる限り少なく簡潔な言葉で子どもたちに重要なことを伝える。これが大事です。」「いかに声かけをせずにすすめるかを考えなくてはいけません。」p.54
大事なのは、
○ 言葉を削る。(削っても学習が進むようにシステム化する、流れを作る)
○ 手本を示す。
○ 空白の時間を作らない。
○ 確認する。見届けながら指導する。
ということか。
その他、これも重要だろうという記述があった。
「過去見てきた学校で成果を上げているかどうかの分かれ目には、いろいろな要因があるように思われますが、つきつめると実はたった一つでした。それは校長先生のマネジメントだったのです。」「優れた校長先生というのは、やはり学校をひとつにまとめていくことに優れているのです。」p.55
「今、子どもの読解力が落ちているのは、学習における読む力が弱くなっているからです。今の教科書は分厚くなっています。昔に比べると約一、五倍の分量があります。本来なら、それにとのない読む力を育成する指導があってしかるべきなのですが、実際にやっていることは『話す』ことです。」p.111
「読み書き計算の反復学習の本質的な目的は、読み書き計算ができるようになることではなくて、それを通じて脳そのものの働きを高めていくことです。AI時代においても、その基本はいささかも変わらず、むしろその重要性は高まっていくと私は思うのです。」p.148
「読み書き計算の反復学習の本質的な目的は、脳そのものの働きを高めること」というのは、これからも読み書き計算の反復学習は、不易流行の「不易」であると言える。
注:以下、長文です
学級担任をしていた頃、必ず「名文」といわれる古文や漢文の音読を指導していた。子どもたちは、リズムや言葉遣いが面白いらしく、喜んで音読していた。
なぜ名文の音読はよいのか、どう指導すればよいのかが分かりやすく書いてあるのが、この本である。
文の引用と自分の感想を述べる。
以下、「 」の中が引用した文である。
「読み書き計算をより伸ばすために必要なのは、さらに古典的な立腰教育であったり、呼吸法であったり、鉛筆の持ち方や運筆練習といった伝統的で基礎的なものであったのです。」P.12
やはり立腰教育は学習のベースにもなるのだ。
「重要なのは、意味よりリズムです。古文や漢文はリズムがいいから読みやすいのです。」
「ひょっとして意味が分からないというのは、子どもにとってはいいことなのかもしれません。なぜかというと、この時期の子供は、リズムのある文章を喜びます。またこうしたリズムのいい文章を単純に覚えることについては大人以上に力を発揮します。ですから、意味が少し難しいものでも、凄く難しいものでも、関係なく吸収してしまいます。」p.23
意味の分からないものでも、覚えてしまう。特に低学年の子は、覚えるのがはやい。
「古典の名文を何回も読んでいるうちに気がついたら暗唱してしまっていたというのが、望ましい在り方なのです。」p.25
この考え方は、野口芳宏先生と同じである。自分はついどれだけ暗唱できたかを確認させながら指導してしまっていた。
「スコーラは一週間に一回五十分の中で読み書き計算に取り組むので、音読だけに限って言うと一週間に一回十分ぐらいしか指導できません。あとは宿題なのですが、そうした枠組の中でも伸びていきます。短いものなら、一瞬にして覚えるという場面も出てきています。」p.26
一週間に十分間だけでも伸びていくというのはオドロキである。
「子どもにとって『読むこと』は難しいことなのです。それは音読させて初めて気づくことですが、意外なほど『読めない』のです。」p.28
これは、教室で指導すれば分かる。だからこそ、機会を見て、国語科以外でも音読をする学習は取り入れなければ伸びない。
以下、指導方法についての留意点やヒントがたくさん書いてあった。
「読み書き計算を短時間で反復するのに余計な声かけは必要ありません。むしろじゃまです。私が提起したのは『流れ作業』です。」p.32
「音読で一番重要なのは、教師がいい読み方のお手本を示すこと、つまり範読です。」p.33
「子どもたちの頭を鍛えようとするのならば、頭が休んでいる時間を作ってはいけません。」p.50
「同じ文章を少しずつ、スピードを上げながら、繰り返し読んでいきます。先生はついてこられない子がいないかどうか、机間巡視をして、目配りをしていきます。ここでの観察は指導力の要です。」p.51
「よい指導をしている学級では、先生の説明は本当に一言だけです。」p.53
「そうなるためには、常日頃からできる限り少なく簡潔な言葉で子どもたちに重要なことを伝える。これが大事です。」「いかに声かけをせずにすすめるかを考えなくてはいけません。」p.54
大事なのは、
○ 言葉を削る。(削っても学習が進むようにシステム化する、流れを作る)
○ 手本を示す。
○ 空白の時間を作らない。
○ 確認する。見届けながら指導する。
ということか。
その他、これも重要だろうという記述があった。
「過去見てきた学校で成果を上げているかどうかの分かれ目には、いろいろな要因があるように思われますが、つきつめると実はたった一つでした。それは校長先生のマネジメントだったのです。」「優れた校長先生というのは、やはり学校をひとつにまとめていくことに優れているのです。」p.55
「今、子どもの読解力が落ちているのは、学習における読む力が弱くなっているからです。今の教科書は分厚くなっています。昔に比べると約一、五倍の分量があります。本来なら、それにとのない読む力を育成する指導があってしかるべきなのですが、実際にやっていることは『話す』ことです。」p.111
「読み書き計算の反復学習の本質的な目的は、読み書き計算ができるようになることではなくて、それを通じて脳そのものの働きを高めていくことです。AI時代においても、その基本はいささかも変わらず、むしろその重要性は高まっていくと私は思うのです。」p.148
「読み書き計算の反復学習の本質的な目的は、脳そのものの働きを高めること」というのは、これからも読み書き計算の反復学習は、不易流行の「不易」であると言える。
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