青木村奈良本神社下の道祖神
青木村といえば思い浮かぶのは奈良本神社の神楽である。とはいえ、見たことがあるわけではない。『信州の芸能』(昭和49年 信濃毎日新聞社)に紹介されていた東信の民俗芸能はそう多くはなく、9件。その中に奈良本神社の神楽が掲載されていて、いつか訪れてみたいと思っていたものの、前述したように青木村そのものに足を運んだことがほぼない。
実は今になって奈良本神社の近くにあった道祖神なんだと気がついている。写真の道祖神は、奈良本神社への参道の入口から少し西に行ったところ、位置的に言えば奈良本神社の下にある道祖神である。5基並んでいて、向かって左から二つ目には「道祖神」と彫られている。あとは自然石。左端のものが「石」としては最も形状は変わっているかもしれないが、特別変わった「石」でもない。これらを道祖神として祀る背景は何か。東信地域の自然石道祖神の中では、青木村のものは少し様子が違うようにも見える。
さて、神楽のことについて触れておく。前掲書をあらためて読んでみるとここの神楽、24年ぶりに復活したと記されている。その神楽が現在も奉納されているのかというと、検索してもはっきりしない。そんななかで、青木村公民館で開催される青木村総合文化祭に各地区の神楽が上演されていて、下奈良本区保存会が神楽を上演しているよう。ただし今年も舞われたのかははっきりしない。当郷区の「壁塗り踊り」も上演されているようなので、いつか訪れてみたいと思う。奈良本の神楽には「鳥さし舞」もあるようで、演じるのは前掲書では「子ども」とある。また「和藤内」も子どもが演じるようで、かつて「和藤内」について鍾馗が登場する獅子舞との関連について触れたことがある。前掲書でも子どもが唐傘をさして登場するといい、さらには「〝和藤内〟はトラを生けどる勇ましいはなし」と表現しているから獅子を生け捕るという意味合いで演じられるのかもしれない。印象では松川町生田中山神社の獅子舞と似ているようで、また鳥刺しについては、ここから比較的近い殿野入に伝承されている。殿野入と奈良本は松本と上田を結ぶ道の延長上にある。現在も演じられているのなら、ぜひ見てみたいと思う。
奈良本について検索していて、地図と『長野縣町村誌』を歴史館のページから参照してみる。
地図を見ると、神社のあるところは「殿入」というらしい。ますます「殿野入」と関係を感じる。
『長野縣町村誌』は、最近長野県民俗地図に関係して研究会の中で話題になっている書。
続く