Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

売られている正月飾りから 前編

2018-12-30 23:54:47 | 民俗学

 この時期、アクセスの多い記事のひとつに「正月飾り」がある。2008年のものだから、ちょうど10年前の日記だ。その際ホームセンターなどをまわって販売されている飾りをいろいろろ見たものだが、10年も経てば様子も変わる。そう思って明日は大晦日という日に、買い物に出た際に少し注視してみた。

 以前「オヤス」についても触れた。今でも正月を前にお年寄りなどを迎えて正月飾りの講習会を子どもたちが開く。そして作られるのがオヤスである。伊那谷では特徴的な飾りのひとつであるが、このオヤスもあちこちの店で売られている。

 たとえば松川町農協で売られたものはこれだ。「下伊那産」と記されているものは、見るからに手作業で作られたもので、おそらくみなみ信州農協の販売店のあちこちで売られているのだろう。ひとつのオヤスに松の枝と、それを結わえるのは水引である。まさに下伊那の特徴的松飾り売り物のひとつといえよう。

松川町南信州農協

 

 同じ松川町のホームセンターである「すまいる」で売られていたものが次のもの。「入口や水場に飾ります」と値札に注記がある。農協で売られているものより小さいのは、藁の先端が長くないせいだ。販売しやすいように小さく揃えてある。チェーン店ではないので、町内のどなたかに依頼して作ってもらっているものなのかどうか。ただし、藁の状態からすると地元産という印象はないがどうだろう。

松川町スマイル


 次のものは「オヤス」とは表示されていなかったが、いわゆるオヤスと同等のものと言える。名称は「輪飾り」とあった。これはカインズで販売されていたもので、藁というよりイグサのように緑色をしている。明らかに地元産ではない。同じように緑色っぽいものが綿半でも売られているが、カインズのものに比較するとオヤスらしさがある。やはりカインズのものはオヤスを象ったものではないかもしれない。

高森町山吹カインズホーム

 

飯田市鼎綿半


 飯田市内上黒田のキラヤで売られたものが次のもの。地元の店だけに、やはり地元て作られたという印象がある。これも小ぶりなものだ。

飯田市上郷上黒田キラヤ


 次は飯島町の道の駅で売られていたもの。これも道の駅だから地元産と思われる。オヤスに松の枝と稲穂、そして垂が付けられて販売されている。我が家では稲穂を付けるということはなかったが、道の駅のある七久保あたりではこうしたオヤスが飾られているのだろうか。

飯島町道の駅

 さて、これらは安いもので1個160円ほど、高いものでも200円程度である。通常オヤスは入口などに飾られるため、かつてなら各戸10個くらいは飾られていた。10個購入したとして2000円ほど。忙しい世の中であるから、やはり「購入した方が安い」、そう思われても仕方ない。

 

続く


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