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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

安山岩地帯の安山岩の十王

2024-08-05 23:02:18 | 地域から学ぶ

小諸市菱平後平福正院十王

 

 小諸市菱平後平は、小諸インター東にある飯縄山北麓にある傾斜地の集落で、その最も高いところに曹洞宗福正院という無住の寺がある。もう半世紀は無住と言われる寺であるが、荒れているわけでも
なくよく管理されているよう。その寺の入口に石造の十王が安置されているというより雑然と置かれているという感じ。数体は頭部を欠損しているが、ほぼ10体現存し、奪衣婆も残っている。伊那谷では禅宗の寺では十王が粗末にされたという例を聞くが、この地域ではどうだったのか。雑然と露天に転がっているところを見ると、大切にされてきたという風ではない。石質を見ると白っぽいものもあって全て同じ石では無いようだが、安山岩であることに変わりはないよう。

 

 ちなみにすぐ脇の水田に積まれていた石積の石は安山岩であった。地質図で確認すると、このあたりは安山岩の産出される地域。ようは当たり前のことだろうが、石積のような石材は地元の石が使われている。そして十王も同じ安山岩ということで、伊那谷と同じように安山岩の十王ではあるものの、近在に産出されない安山岩の十王を、あえて伊那谷では多く祀っているというわけである。このことを前置きしたうえで、次項では後平の自然石道祖神を見てみることとする。

続く


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