Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ザザ虫漁解禁

2005-12-04 12:10:48 | 自然から学ぶ
 12月1日にザザ虫漁が解禁となったと報道された。ザザ虫といえば天竜川で採られていることが知られている。天竜川漁協に登録されている漁師は約50人、昨年は台風によって天竜川が荒れたため、ザザ虫が流されてしまって、不漁だったというが、ことしは洪水になるほど大雨もなく、回復傾向のようだ。四つ手網か三日月網を下流にあてておいて、上流から万能鍬で底の石をがりがりかいて石からはがして網にすくって捕る。現在では、つるはしで石をひっくり返し、足につけた鉄製のカンジキで川底をこすって流れ出たザザ虫を四つ手網ですくうようだ。捕ろうと思えば、普通の人でも石をひっくり返して手でとればとれないことはない。ただし、漁業権が必要なので、きっと昔は普通の人でも捕ったりしたのだろうが、今は漁師にゆだねられている。
 ザザ虫という虫は世の中に存在しない。トビケラ、ヘビトンボなど10種類くらいの水生生物を総称してそういう。いわゆる川むしである。地元でいわれる青虫とか孫太郎虫もそうした虫のことをいうのだろう。そして現在もっとも捕獲されている種はヒゲナガカワトビケラだという。天竜川上流、それも伊那市までの限られた流域にとくに多く生息するザザ虫は、諏訪湖を源とする天竜川の環境に関係するのだろう。ザザ虫は自重の約半分程度の重さの食料を毎日とるという。その餌になるものが諏訪湖から流れ出た植物プランクトンが主なもののようで、たべたものの半分は団子状の糞として排泄する。また、ザザ虫自体が魚や鳥など他の生物の餌となり、水域外にも運ばれていく。こうした生物界の連環によって、天竜川の水質浄化が行なわれている。そう考えると、ザザ虫の体内には諏訪湖の汚れが混ざっていることに気がつき、それを食べるとすると、わたしたちも諏訪湖の浄化という流れの一部材になっているんだと気がつく。
 妻の実家はもらい物がたくさんあって、時には鮎を釣ったからといってたくさんもらうことがある。そんなとき、妻はこういうのである。「この鮎は○○さんからもらったものだから、きっと天竜川の鮎。あまり食べたくないよね」と。鮎に限らず、もらった人の顔をみながら、どこどこの魚と判断して、こんな会話がよく交わされるのである。確かに天竜川の水は、他の支流に比較すれば汚く、何が混ざっているかわからないが、妻がそういうと、わたしもそれに同調してしまっている。まあ、わざわざ汚い川から捕れたものを食べようとは思わない。
 わたしはザザ虫なんて知らなかったが、社会人になって、まわりに伊那の出身者がいてそういうものがあることを知った。そのころ(20年以上前)は、グラム数を指定すると、袋詰めにしてくれて購入したものであるが、今は伊那市内でそんな売り方をしているところを見たことがない。ほとんどが缶詰の状態で売られている。だから一般の人が缶詰ではない状態で食べることは今はまずない。とても高価であるが、佃煮状態になっているから食べられるが、生の状態だったら「これを食べるの」というくらいゲテモノである。伊那の人たちはゲテモノ喰いだといわれる要因も、そんなところからきている。ちなみに100グラム買ったら5000円くらいする。
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