渡来ジンのもぐもぐ日記

チビ 前編

ある年の春先だったと記憶している。

ジュンがよく似た容姿の猫を伴ってやって来た。

お隣の敷地から庭に現れて横に並び…何やらその猫を紹介に来たようだった。

ジュンは連れてきた猫に対して「今後はここでご飯を貰いなさい」と言っているように見えた。

確かその日は二匹ぶん一緒にご飯を出した気がする。

それから一、二度来て以来、ジュンは姿を見せなくなった。

急に姿を見せなくなったので、2~3ヶ月ほど心配して皆で探したが見つからずじまいだった。年寄り猫だったので、まぁそういうことだろうと思うことにした。

それからジュンに代わってチビが家に来るようになったのだが。ジュンには呼び名があったが、誰もこの痩せた子猫の名前を知らず、見た目からチビと呼ぶことにした。

最初は2日おきくらいにご飯の催促に来ていたのが、夏前には毎日、昼夜問わず玄関先に現れて「アオー、アオー」と鳴いた。酷い日は、朝、昼、夕、夜、と数時間ごとに来た。

生まれながらの野良だったようで、ジュンと違って遠慮というものを知らなかった。

また、ご飯を出しても警戒心が強く、近寄ってこない。ご飯を出して、少し離れたらソロソロと近付いてきて左右を見回しながらご飯にありつく。

食べ終わったら用は済んだとばかりにすぐ居なくなる(笑)

終始こんな感じで、最後まで全く馴れることはなかった!


続く
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