LJSの日に父がもらってきた花束。
蕾みだった花が咲いた。
大きな大輪の花。
黄色だと思っていた花が、咲いてみたら鮮やかな橙色だった。
葉もみずみずしく光り輝いている。
ほんの短いひとときの、新しい家族。
そんな気分。
父の曖昧な記憶。
相変わらず、どの女性ジョッキーから貰ったかは定かではない。
よくよく父の話を聞いてみると、別府真衣騎手であるように思う。
それらしく、少し話を振ってみた。
けれど父は、まだ山本茜騎手だと信じている。
それでいいのだと思う。
本当のことなんて、ここではきっと必要のないことだ。
花を空にかざしたら、それは茜ちゃんの勝負服になった。