土曜日の荒尾競馬では、現役女性ジョッキーの一人、岩永千明騎手が1勝、他にも2連対と大活躍の一日だったようです。
女性ジョッキーといえば先日18日、金沢競馬場にて「レディースジョッキーズシリーズ(LJS)」の第1ラウンドが行われたばかり。
彼女は、その第2戦を落着いた騎乗で勝利しました。
数少ない注目の場、当日は人気馬に騎乗ということで当然モチベーションも高まっていたことでしょう。
そんなことが精神的に好影響を与えたのでしょうか、土曜日の彼女は非常に乗れているという感じがしました。
やはりああいった精神的にも研ぎ澄まされた状況を経験すると、そのまま持続して集中力を発揮しやすくなるものなのかも知れません。
第4レースでは、4番人気馬で逃げての2着。
第8レースでは、6番人気馬を二番手で折り合っての2着。
そして第9レースでは、7番人気馬を後方から追い込んでの見事な勝利で10万馬券を演出しました。
一昨年は落馬から大きなケガを経験した彼女。
それでも恐怖感を乗り越えて騎乗に向かうその意欲は、きっとどこかで実を結ぶはず。
やはり他の男性ジョッキーに比べれば、腕もまだまだ劣るのかも知れません。
でももっと数を乗れば、彼女はきっと何かを掴んでくれそうな予感のするジョッキーです。
日頃の報われない努力も、続けていればある日ある時ちょっとしたきっかけで大きく花開くこともある。
LJSは、チャンスの少ないその他全ての女性ジョッキー達に、そういったきっかけを与えてくれる良いチャンスでもあるのでしょう。
そういえば昨年、中央から参戦した増澤由貴子騎手も、このLJSのあとやたらと中央のローカル競馬場で名前を見かけるようになりましたね。
それまで失われていた騎乗へのモチベーションが上がったのでしょう。
そう思うと、このLJSの後も相変わらず騎乗機会に恵まれない北海道や岩手、南関東の騎手はかわいそうな気もします。
どこも賞金が高く群雄割拠のツワモノ揃いの開催場ですから、厳しいのも致し方ないところでしょうか。
でもそんな中、北海道所属の笹木美典騎手が騎乗機会を求めて、11月末より高知で期間限定騎乗に挑むそうです。
やはり、ジョッキーはレースに乗ってナンボというもの。
まずレースでいろいろな経験を積まなければ、技術向上は望めません。
普段は全くと言っていいほど有力馬の騎乗に恵まれない彼女が、高知のレースでどんな騎乗を見せてくれるのか楽しみでもあります。
ちなみに名古屋競馬では、宮下瞳騎手が金曜日に2勝、他1連対しました。
こちらもその日は、非常に見事といえる好騎乗が目立ちました。
彼女はいまや言わずと知れた日本の女王と呼べる存在。
やはり経験や技術は、他の女性ジョッキーに比べてワンランクもツーランクも上なのは確かなところです。
ただ彼女の場合も、もっともっと注目される場に出て行くことによって磨かれていくように思います。
巧さは認めるものの、地元では2着3着が多く勝ち切れないことも多い。
ソフトで綺麗な騎乗が彼女の魅力ではあるのですが、逆に馬券の軸として考えるとワンパンチ足りない印象も受けます。
さらに大きな舞台で注目されることにより、勝利への貪欲さみたいなものがレースに出てくれば、もっと地元のファンにも信頼される存在になることでしょう。
年齢的なもの、生活環境の変化など、女性としての彼女にこれ以上の厳しい勝負師としての向上心を望むのは酷なことなのかも知れませんが。
とはいえ、彼女のジョッキーとしての高いプロ意識は、他女性ジョッキーの追随を許さないものであることは間違いありません。
今週の地方競馬は、全国各地で女性騎手の活躍が目立った一週間でした。