猫にお年始 その１

〉猫にお年始　その１



ノラさん、明けまして御目出度う御座います。お年始にどうぞ。

あらまあまあまあ！　【まぐろのぶつ切り】じゃないの！　……はむはむ、ぺろり！　げふっ。

……五切れ、瞬殺、ですか。

ほほほ、貢物は躊躇わず戴かなくちゃ。それにしても、忙しなくて。風情の薄れたことだわ。昔は十五日までは正月気分で居られたものだったけど。

え？

何？　『え？』って。

ぼくは、いつも一月いっぱい正月気分を満喫してますけど。

ほっほっほ。何ともあなたらしい、『ユニーク』。

はい？『湯に行く』のは夕方、ですが。


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2018/01/07
13:35 pm
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七種粥

〉七種粥



つかささん、【しちぐさがゆ】ですか？

【しちぐさ】は、いちろくぎんこうにおかねをかりるとき、つかうものですよ。
【ななくさ】ですね。『せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ』の、ななしゆるい、の、やそう、です。

おかゆに、てんこもりの、みどりいろが、【ななくさ】ですか？　ゆかりより、あおあお、してますが。

ああ、これは、めいつぱい、きざんだ、【ぱせり】ですね。これしか、なかつたので、【いちくさがゆ】でいいや、とおもつて。

てきとー、ですね。

いいのです、【きはもちよう】、ですから。では、いただきます。

（ふーふー、はふはふ、ぐもぐも）
（ふーふー、はふはふ、ぐもぐも……）

つかささん、しやしんは、とらなくて、よかつたのですか？

はい、とても、ひとさまに、みせられるものじや、ないですから。

おいしいですか？

そこはかとなく、まずい、です。しつぱい、です。

（かたかた、ちーん）

あれ？

おや、いはいと、おりん、が？

ちちうえさまと、ははうえさまと、あきれている、のでは？

……どうかんです。

ちーん。なむなむ。


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2018/01/07
08:30 am
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lunacy

　　　　　lunacy



十八時四十九分の空には
十六夜、マーマレード色の月で
わたし、キミの唇を啄む

余所見しちゃダメ、わたしだけを見て

十八時四十九分の地上では
俯いて、スーツケースを引く人
二十七人目、すれ違った

気にしちゃダメよ、わたしにkissして


三十六ヶ月と十五日目の月夜
魔法は発動して留めを刺し
キミは、わたしに夢中になった

大丈夫、わたし必ず
キミを幸せにしてあげる

三十六ヶ月と十六日目の月夜
誓いは全世界中に公開され
わたし、キミの全てを奪い取る

大丈夫、わたし絶対
キミを幸せにしてみせる


悪魔に魂、売って、でも


（本日、アナタノ契約書ヲ滞リナク受理イタシマシタ）
（御目出度ウゴザイマス、 【命アル限リ】オ幸セニ）


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written：2018/01/03
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スーパームーン

〉スーパームーン


今宵（一月二日）は満月。十九時四十二分に撮影した。十二月に続いて、のスーパームーン。掌の皺がはっきり見える明るさだった。


さぼてん、ですよう！
にせんじゆうはちねん、いちがつは、すぺしやる！　なんと、まんげつが、にかい、あるですよ！　つきのぱわー、にばいにばいで、らつきーらつきー、かも♡


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2018/01/02
19:45 pm
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Amaterasu

　　　　　Amaterasu



高台から臨む夜は薄まり、
薄まった夜は光を吸って、
朝へと疾走を始め、
大気は極小温度の、
摂氏零度に凝縮しきった。


太古、此処には【海】があった。


高台から公園に下る急激な段差は、
なだらかに住宅地に連なり、
この地がかつて、
海岸線であったことを告げている。

背中に気配がした。
祈り、の気配だ。
真摯な処女の、祈りの詩だ。

長い黒髪を結って、
純白の衣を纏い、
emptinessと化して、
energyの降臨を待っている、
巫女の清浄なる祈りの、祝詞、だ。

　　　　　その後ろで、
星を、
　　　月を、
　　　　　　陽を、
大地を、海を、

――森羅万象、の、
――季節の巡り、を、

読み、拝み、祈る、
古人の【合掌の、群れ】が、
高台を埋め尽くす。

凛と張り詰めた、
元旦の空を朱に染めて、
地を照らし、
海を照らして、
energyが溢れ弾ける、
初日が昇り、
辺りに響き渡る、

二拍手。

刹那、気配は消え、
わたしひとりが、
慈悲深く冬の天を照らす、
初日に、
合掌して、

震えていたのだ。


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written：2018/01/01〜02
elaborated：2018/01/02
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