■哲学の道■
哲学の道とは琵琶湖疏水沿いに続く小道の若王子神社付近から銀閣寺(慈照寺)までの間を指し、春の桜の開花期と秋の紅葉期にはたくさんの観光客がこの道沿いを散策するそうだ。
全長は1.8kmなので、往復+寄り道をすれば4km以上になるので、半日掛けるのが丁度良い時間配分になる。
冬型の季節風が強まって、この日も釣行が中止になったことを受けて、妻と二人でこの界隈をぶらり散策に出かけることになった。
■麵処■
上述したように昼からの半日コースだったので、まずは北側からのスタート地点である、銀閣寺近くの「名代 おめん」で昼食をとることにした。
京都市内とニューヨークにある「おめん」の本店がここで、ファンも多いと聞く。
メニューはうどん、それもつけ麺タイプがメインになっている。
京都名物も多々あるが、その一つに鯖寿司がある。その昔、現在の福井県小浜市から塩で締めたサバを背負った行商人達がこの京都にやってきて商いを行っていた。その彼らが通った道が鯖街道と呼ばれ、その道沿いにも鯖寿司を売る店が点在しているが、超有名店の”いづう”も東山区(祇園)にあることから、どちらかと言えば街道の延長である京都の東側に広がっているように思える。ここ、おめんも京都の同様の立地にあるせいか、鯖寿司がメニューにあって、それとのセットを夫婦共々注文する。
近頃ブームの讃岐うどんばかりを食べていたせいか、正反対の柔らかで優しい食感とツルッとスムースな喉越しの麺を上品な味わいのダシに浸けて食べるスタイルは、「これぞ京うどん」と思わせる物であった。
また、ここ独自の、きんぴらごぼうを始めとする野菜系の薬味と、オリジナル・スパイスの”七味+1”の八味を始めとする和風スパイスを組み合わせて味に変化をつけるスタイルは、初めての経験であり、新鮮であった。
■法然院■
”おめん”を満喫した後は、哲学の道を南下する。そして途中の法然院(ほうねんいん)に立ち寄るため、標識に従い、左折して境内を目指す。
法然院と言うだけに、浄土宗系の寺院だが、その見所は三門下にある盛砂=白砂壇(びゃくさだん)だろう。白砂壇は水を表すということだ。従ってここを訪れる者は、空門・無相門・無願門の三境地を経て仏国土に至るという三門をくぐり、白砂壇の間を通ることで心身共に清めた後に浄域に入ることになる。
質素かつこぢんまりとしていながら、品のある境内は好感の持てるモノで、ここに谷崎潤一郎を始めとする著名な学者や文人の墓があるのも頷けるような気がする。
■熊野若王子神社■
法然院を後にして再び哲学の道を南下する。途中、小洒落た店や京都らしい茶店タイプの喫茶店が点在するが、思ったほどには店数は多くはなく、自作の絵画や絵はがきを売る人が居たりで、そのことが「哲学の道」の雰囲気を逆に醸し出しているようにも思える。
そして、最終地点にあるのが熊野若王子(くまのにゃっこうじ)神社だ。
ここは京都発の熊野詣の際に起点となるところで、古人はここで身を清めてから、はるばる紀伊の熊野までの参詣に出立していたそうだ。
■永観堂へ■
熊野若王子神社の前で哲学の道が終わり、南西方向へ少し降りてゆくと、永観堂がある。
この寺は禅林寺永観堂というのが正式名称だが、”禅”の文字が入るので、予備知識を持たずに訪問したため、禅寺か?とも一瞬思ったが、浄土宗の寺院だった。したがって、ご本尊は阿弥陀様ということなる。そしてここの境内は秋の紅葉の美しさで全国に知られている。
御堂の数も多く、内部には長谷川等伯の襖絵などもあって見る者を飽きさせない。
面白かったのは天皇の使いが出入りするときに使われた勅使門だった。法然院と同じように白砂が釈迦堂との間に盛られているのだが、こちらは一山しか無いのだ。解説を読むと、勅使はこれを踏んで身を清めてから、中に進んんだそうだから、”清める”という意味は同じでも使い方は違うのだ。
回廊状になった内部を進み、やがて本堂へと到達する。ここには珍しい「みかえり阿弥陀さま」と呼ばれる阿弥陀様が納められている。勿論、像を含めた内部は撮影不可になっているので写真はないが、その周囲を気遣うかのようなお姿はやさしく、見る者に安らぎを与えてくれる。
本堂から、元来た通路を一旦下り、開山堂へと向かう。その間をつなぐ階段状の廊下は臥龍廊(がりゅうろう)と呼ばれるが、その姿はまさしく”龍が如く”であった。
各御堂を巡った後は、一旦外へ出て多宝塔を目指す。
多宝塔からは真正極楽寺あたりから東山方面を見渡すことができる。
これで境内を一通り巡り終えたが、人の少ない今はゆっくりと境内の襖絵や仏像を見ることができる反面、景観は紅葉期のようには行かず、庭の木々は冬枯れの“わびさび”の永観堂だった。
境内を出ると少し時間があったので、南禅寺の境内を歩いた後に、来た道を引き返すことにした。
■よーじやカフェ■
哲学の道を北上し、往路でチェックしておいた「よーじやカフェ」で休憩することにした。
よーじやと言えば舞妓はん御用達の”あぶらとり紙”が超有名だが、最近ではカフェ事業に力を入れているようだ。京都市内の「ここぞ」といった観光名所の他、羽田空港にまで進出しているが、ホームページで確認する限りこの銀閣寺店が一番和情緒にあふれ、最も京都らしく思える。恐らくこの店は民家を改築しているらしく、当然と言えば当然だ。
ドリンク類やケーキは結構なお値段だったのだが、その味わいはそれだけの価値があるものだった。
紅葉期には「さぞや」と想像できるこの界隈。人混みになるのは間違いないだろうが、それが解っていても、いつしかその時期に訪問したくなる「感じのイイ」ロケーションだった。
哲学の道とは琵琶湖疏水沿いに続く小道の若王子神社付近から銀閣寺(慈照寺)までの間を指し、春の桜の開花期と秋の紅葉期にはたくさんの観光客がこの道沿いを散策するそうだ。
●スタート地点は銀閣寺界隈●
全長は1.8kmなので、往復+寄り道をすれば4km以上になるので、半日掛けるのが丁度良い時間配分になる。
冬型の季節風が強まって、この日も釣行が中止になったことを受けて、妻と二人でこの界隈をぶらり散策に出かけることになった。
●石畳の小道が1.8km続く●
■麵処■
上述したように昼からの半日コースだったので、まずは北側からのスタート地点である、銀閣寺近くの「名代 おめん」で昼食をとることにした。
京都市内とニューヨークにある「おめん」の本店がここで、ファンも多いと聞く。
●おめん 銀閣寺本店●
メニューはうどん、それもつけ麺タイプがメインになっている。
●冬のメニュー●
京都名物も多々あるが、その一つに鯖寿司がある。その昔、現在の福井県小浜市から塩で締めたサバを背負った行商人達がこの京都にやってきて商いを行っていた。その彼らが通った道が鯖街道と呼ばれ、その道沿いにも鯖寿司を売る店が点在しているが、超有名店の”いづう”も東山区(祇園)にあることから、どちらかと言えば街道の延長である京都の東側に広がっているように思える。ここ、おめんも京都の同様の立地にあるせいか、鯖寿司がメニューにあって、それとのセットを夫婦共々注文する。
●おめんと鯖寿司とのセット●
近頃ブームの讃岐うどんばかりを食べていたせいか、正反対の柔らかで優しい食感とツルッとスムースな喉越しの麺を上品な味わいのダシに浸けて食べるスタイルは、「これぞ京うどん」と思わせる物であった。
また、ここ独自の、きんぴらごぼうを始めとする野菜系の薬味と、オリジナル・スパイスの”七味+1”の八味を始めとする和風スパイスを組み合わせて味に変化をつけるスタイルは、初めての経験であり、新鮮であった。
●ジャパニーズ・スパイスの数々●
■法然院■
”おめん”を満喫した後は、哲学の道を南下する。そして途中の法然院(ほうねんいん)に立ち寄るため、標識に従い、左折して境内を目指す。
●法然院の三門(山門)●
法然院と言うだけに、浄土宗系の寺院だが、その見所は三門下にある盛砂=白砂壇(びゃくさだん)だろう。白砂壇は水を表すということだ。従ってここを訪れる者は、空門・無相門・無願門の三境地を経て仏国土に至るという三門をくぐり、白砂壇の間を通ることで心身共に清めた後に浄域に入ることになる。
●白砂壇(びゃくさだん)●
質素かつこぢんまりとしていながら、品のある境内は好感の持てるモノで、ここに谷崎潤一郎を始めとする著名な学者や文人の墓があるのも頷けるような気がする。
■熊野若王子神社■
法然院を後にして再び哲学の道を南下する。途中、小洒落た店や京都らしい茶店タイプの喫茶店が点在するが、思ったほどには店数は多くはなく、自作の絵画や絵はがきを売る人が居たりで、そのことが「哲学の道」の雰囲気を逆に醸し出しているようにも思える。
そして、最終地点にあるのが熊野若王子(くまのにゃっこうじ)神社だ。
ここは京都発の熊野詣の際に起点となるところで、古人はここで身を清めてから、はるばる紀伊の熊野までの参詣に出立していたそうだ。
●熊野若王子神社(くまのにゃっこうじじんじゃ)●
■永観堂へ■
熊野若王子神社の前で哲学の道が終わり、南西方向へ少し降りてゆくと、永観堂がある。
●永観堂●
この寺は禅林寺永観堂というのが正式名称だが、”禅”の文字が入るので、予備知識を持たずに訪問したため、禅寺か?とも一瞬思ったが、浄土宗の寺院だった。したがって、ご本尊は阿弥陀様ということなる。そしてここの境内は秋の紅葉の美しさで全国に知られている。
●秋の紅葉時の写真が載るパンフレット●
御堂の数も多く、内部には長谷川等伯の襖絵などもあって見る者を飽きさせない。
面白かったのは天皇の使いが出入りするときに使われた勅使門だった。法然院と同じように白砂が釈迦堂との間に盛られているのだが、こちらは一山しか無いのだ。解説を読むと、勅使はこれを踏んで身を清めてから、中に進んんだそうだから、”清める”という意味は同じでも使い方は違うのだ。
●勅使門と盛砂●
回廊状になった内部を進み、やがて本堂へと到達する。ここには珍しい「みかえり阿弥陀さま」と呼ばれる阿弥陀様が納められている。勿論、像を含めた内部は撮影不可になっているので写真はないが、その周囲を気遣うかのようなお姿はやさしく、見る者に安らぎを与えてくれる。
●本堂前の柱部の装飾●
本堂から、元来た通路を一旦下り、開山堂へと向かう。その間をつなぐ階段状の廊下は臥龍廊(がりゅうろう)と呼ばれるが、その姿はまさしく”龍が如く”であった。
●臥龍廊●
各御堂を巡った後は、一旦外へ出て多宝塔を目指す。
●多宝塔●
多宝塔からは真正極楽寺あたりから東山方面を見渡すことができる。
●多宝塔からの風景●
これで境内を一通り巡り終えたが、人の少ない今はゆっくりと境内の襖絵や仏像を見ることができる反面、景観は紅葉期のようには行かず、庭の木々は冬枯れの“わびさび”の永観堂だった。
境内を出ると少し時間があったので、南禅寺の境内を歩いた後に、来た道を引き返すことにした。
■よーじやカフェ■
哲学の道を北上し、往路でチェックしておいた「よーじやカフェ」で休憩することにした。
●お馴染みのよーじやのロゴが描かれた看板●
よーじやと言えば舞妓はん御用達の”あぶらとり紙”が超有名だが、最近ではカフェ事業に力を入れているようだ。京都市内の「ここぞ」といった観光名所の他、羽田空港にまで進出しているが、ホームページで確認する限りこの銀閣寺店が一番和情緒にあふれ、最も京都らしく思える。恐らくこの店は民家を改築しているらしく、当然と言えば当然だ。
ドリンク類やケーキは結構なお値段だったのだが、その味わいはそれだけの価値があるものだった。
●2階の様子と抹茶カプチーノ●
●2階からの眺め(奥によーじやの店がある)●
紅葉期には「さぞや」と想像できるこの界隈。人混みになるのは間違いないだろうが、それが解っていても、いつしかその時期に訪問したくなる「感じのイイ」ロケーションだった。