みなさんこんにちは。税理士の筒井です。
毎年12月には自民党の税制調査会の決定に基づいて税制改正大綱が発表されます。
翌年3月には、ほぼこの通りに改正法案が成立するので、事実上の決定事項と捉えられています。
この原稿を書いているのは11月30日ですが、インボイスと電子帳簿保存法という既に決定している大きな税制の転換点について、一部を延期ないし緩和するのではないかという情報が流れています。
電子帳簿保存法については当コラムの9月号で詳しく書きましたが、
「令和6年1月1日以降は、メールなどで受け取った領収書などについては紙に印刷しないで、そのままデータとして保存しなければいけない」という既に決定されている事項について、再度の延期が検討されています。中小企業の準備が遅れているなどが理由ですが、元々強制するのには無理がありましたし、周知徹底の努力が不足していたように思うので、安易な延期はどうかとも思います。
インボイスの導入については、免税事業者がインボイスを発行するためにやむを得ず課税事業者になる事を選択すると、これまでは納付しなくても良かった消費税の納税負担が増えるので、受け取った消費税の20%だけの納付にするという事になりそうです。例えば税込みで550万円の売り上げがあった場合に、
50万円の20%の10万円の納付を上限とします。これは、簡易課税の第2種(80%税額控除)と同じ結果になります。第1種の事業者(卸売り)の場合は10%の5万円の納付ということでしょうか。まだ現時点では不明な点が多いです。3年間の期間限定とするようですが、令和5年3月31日の法案成立予定日から10月1日の制度開始まで半年しかないのに、性急で場当たり的な緩和措置と言わざるを得ません。システム開発会社は大変でしょう。
いずれも、今後の方向性を注視していくことが必要です。