古川商工会議所の機関誌、会議所ニュース12月号の『税のワンポイント講座』
の原稿を書いたので、
先行してアップします。
毎月の連載を始めてから、もう10年以上経ちます。
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みなさんこんにちは。税理士の筒井です。
今月は世間を賑わせている『103万円の壁』について考えてみましょう。
『壁』には、
100万円(住民税が課税される)
103万円(所得税が課税される)
106万円(大企業で社会保険料が取られ始める)
130万円(中小企業で社会保険料が取られ始める)
150万円(配偶者特別控除が減少し始める)
などがありますが、
今回は103万円の壁について、実際に給与(パート)収入が103万円を超えると税金の負担がどれくらい増えるのか比較してみましょう。
まず、前提条件として、
(1)年収500万円の夫の妻がパートとして勤務していて、
①妻の年収が103万円だったとすると、妻に所得税はかかりませんが、住民税の均等割りがかかるので、8,700円の税負担になります。
②その妻が110万円稼いでしまうと、税額は19,200円になり、10,500円のアップですが、それほどの負担増ではありません。
(2)次に上記(1)の場合の夫の税負担ですが、
①でも②でも夫の税額は同じです。配偶者については、配偶者控除が受けられなくなっても配偶者特別控除が準備されているので、夫の税負担は緩やかにアップしていくからです。
(3)配偶者ではなくて20歳の長男の学生アルバイトの場合はどうでしょうか。
①長男の年収が103万円か、②110万円かでの長男本人の税負担については基本的に(1)と同じで10,500円のアップになります。
(4)次に上記(3)の場合の夫(父)の税負担ですが、長男に対する扶養控除(特定扶養親族)は、長男の年収が103万円を超えた瞬間にゼロになってしまうので、
夫(父)の税負担は一気に152,400円もアップしてしまいます。
夫(父)の税負担は一気に152,400円もアップしてしまいます。
配偶者よりも子供のアルバイトについて注意した方が良さそうですが、学生は103万円もアルバイトしないで勉強に集中しましょう。
上記の(1)~(4)の比較は、その他の所得控除(社会保険料控除や勤労学生控除など)は無い前提です。また細かい点は省略しています。
なお、夫の会社が独自に給与規定で『配偶者手当』などを設定している場合は給付そのものがもらえなくなる可能性がありますので気を付けて下さい。