12月某日、映画館にて鑑賞。
評価・・・★★★★★ 5.0
泣ける映画なんだろうな~、と漠然と思っていたのですが、泣けませんでした。
あまりに過酷で悲惨な戦況に凍り付いてしまって、泣くどころではありませんでした。
一番衝撃的だったのは、悲観した上官の命令に従って、塹壕の中で次々と兵士が自決していく場面。もちろんもろには映りませんが、次々に吹っ飛んで死んでいく兵士たち。手榴弾をコツンと頭に当てるその動作が最初コミカルに見えてしまっただけに、余計衝撃が大きかった・・・
思わず目をつぶって耳を手で塞いでしまいました・・・
良かったところは、日米双方の悪いところを描いていた点。よく美談ぽく描くことが多いと思うんですが、ここにはちゃんと双方の醜い点が描かれていたと思う。
タイトルにもなっている手紙のエピソードですが、ケガをして亡くなった若い米兵がもっていた手紙を伊原剛志さんが読み上げるエピソードが強く印象に残りました。
その手紙は米兵の母親からの手紙で、息子を心配する母親の想いが込められていました。その内容を聞いた日本兵たちが思わず立ち上がる場面に、ちょっとジーンときてしまいました。
憎き敵と思ってきたけれど、その米兵にも自分たちと同じように心配している家族がいる・・・
「戦争は悪いんだ!」と直接力説しなくても、こういったエピソードを淡々と描いていくことで、戦争の虚しさが伝わってきました。
新聞のこの映画についての批評に「日本人が撮るべき作品だった」というようなことを書いたものがあったのですが、本当にそう感じました。
そんな作品を生み出したクリント・イーストウッドがますます好きになりました。