青児は忙しなく机の上にある、自分のローションを手に取った。身だしなみ程度に使うものが、違った用途に必要になるとは思っていなかった。奥まった薄茶の絞りにそっと塗り込めると、翔月が身じろぐのが判る。
「翔月。辛かったら言えよ。優しくしてやろうと思ったけど、おれ、そんな余裕はないみたいだ。……いい?」
翔月は青児の胸の中で、こくりと頷いた。
「あのね……青ちゃんに隠してたことが有るんだけど……」
「ん?」
「ぼくね、何も知らないで眠っている青ちゃんに、キスしたことあるんだ。うんと昔。」
「いつ……?言って。」
なめらかな腹が、愛撫に応えて波打つ。頑なな翔月の最奥は、つぷりと差し込んだ青児の指先を受け入れた。
「うっ……ち、中学の時……教室で。いつか言わなきゃって思ってたけど、言えないでここまで来たんだ。打ち明けたら軽蔑されるかと思って、言えなかった……」
青児は思わず、くすりと笑った。
「ば~か。知ってたよ。翔月には何か言っても、どうせ、気のせいだとか、ちょっと当たっDream beauty pro 脫毛だとか言ってごまかしそうだから、追及するの我慢したんだ。まあ、もう時効だな。」
「知ってたの……?」
ぼく、馬鹿みたいだ……と言って翔月は泣いた。
心の中のわだかまりが、涙と共に流れてゆく気がする。もう、柏木の脅しに怯えなくても済むと思った。
柏木の脅迫の材料がなくなり、青児の気持ちが自分に向けられているとわかった今、はっきりと自分に触れるなと言おう。もう、あの写真を餌に振り回されることなど無いと確信していた。
翔月は、シーツを握り締めた。熱い熱を持った高まりが、自分の中に裂くようにしてくるのを感じていた。
「青ちゃん……あっ、あっ!」
「翔月!翔月っ!」
グラインドする青児の体の重みを支えて、ああ……と翔月の喉がのけぞり、背骨がしな膠原自生った。焼けた熱い青児の持ち物が、肉を割って内部に押し入ってくる気がする。
緊張して息を詰める翔月の背中に唇を寄せ、ぶるっと青児が震えた。
柏木に呼び出された翔月は、強い意思を持った目を向けた。
青児の思いに応えるためにも、きちんと拒絶するつもりだった。
だが、翔月は自分の甘さを思い知ることになる。
柏木のカードはそれ一つではなかった。
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