福神漬は近代日本史の残滓

福神漬は近代日本史の残滓
調べれば調べるほど福神漬は幕末明治の混乱を象徴する食べ物であった。多くの日本史学者は『近代日本史は黒船来航から始まる。』となっている。
　福神漬のそのものは明治１０年代に創製された漬物であるが、命名された経緯やその中に入っている具材は隠し比喩があったと思われる。その比喩の元をたどって行くと鎖国をいかに解くかの問題に葛藤した人々の話となってゆくのは想像もつかないことである。缶詰に入れた福神漬が明治２０年代に徐々に普及してゆくが一般市民には高価すぎて。当時の文化人とか芸者・役者そして池之端の近所に住んでいた三菱関係者から広まっていった。
日本郵船の歴史に福神漬の話題があるが『記録は無いがみんなの記憶にある。』ことは様々な裏事情があって、記述がなかったと思われる。節目節目の苦しい時に事件と共に食べた思い出を呼び起こすことがある。福神漬はその様な食べ物であったかもしれない。
　福神漬に関して、様々なエピソードがあるがぞれぞれ独立した話題で関連性が無いように思われる。しかし詳しく調べてゆくと『記録は無いがみんなの記憶にある。』ことから現れたこととなる気がする。江戸時代初期に日本の海上輸送網を創った河村瑞賢が福神漬の元祖であるという説も、鎖国を開くきっかけとなった漂流民返還騒動の原因は遭難しやすい冬季に輸送することから始まったと思われる。消費者しかいない武士の首都は東京湾口を封鎖されれば物価が上昇し、直ぐに武士が困窮することとなる。江戸時代末期はアヘン戦争の結果の情報が届いたとたん鎖国を続けることが困難であるという考えが一部の人に発生した。この開国やむなしという考えの人達の人脈から結果として福神漬が普及発展していったことになった。