不敬罪"天皇ごっこ" -明治秘史- 石堂秀夫著 三一書房 1990年10月
今正月用に読んでいるが、明治26年1月28日に山形県酒田市の料亭相馬屋で酒田の豪商たちが、新年会を催した。まだ明治26年は酒田も地域の基幹都市と、北前船から続いている日本海沿海海運で交易の中心・中継都市として繫栄していた。
この相馬屋は事件後間も無く、焼失し元の姿で再建し今でも見ることが出来る。この消失によって当時の記録と記憶が薄れ、地元でも酒田市史に詳細な記録が残らず、やっと著者のしつこいというか執念で事件を掘り起こした様だ。
今は江戸時代から酒田を代表する料亭「相馬屋」を酒田市の平田牧場が買い取り 修復し、新しい観光スポットとして平成12年3月に舞子茶屋相馬楼として開樓しました。
戊辰戦争の東北戦争で庄内藩は奥州列藩同盟に参加していて、恭順後でも心情は反薩長だったようで、『天皇ごっこ』を新年のイベントとして秘密裏に企画し、自由民権の報道する新聞記者によって、このイベントの内容が洩れ、酒田市の富裕層とか芸者等の人たち参加者が拘留されたようだ。取締りをする警察も日ごろ付き合っている有力者たちを天皇(酒田の有力者)に表敬訪問するという企画に非体制派の新聞に告発され、仕方なく取り調べたようだ。洒落と報道する保守系新聞と自由民権運動支援派の新聞との報道合戦もあったが地方紙ということで、その記録は残っていない。結局嫌疑不十分ということで釈放されたのだが今でも酒田市民の古老の思い出と残っているようだ。皇后には町の美人女将、女官は芸者で、当時の政府高官に酒田の富裕者が参加していた。
今のイベントとして安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部は2021年12月28日、公職選挙法(寄付の禁止)違反容疑などで不起訴となり、検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けた。安倍元首相を再び不起訴処分とした。この捜査をした検察はいかに職務とは言え、人生の一部の時間を浪費した気分だろう。