スマホの中身も遺品です 古田雄介 著 中公新書ラクレ
デジタル遺品が増加している昨今、その持ち主が亡くなり、その後の遺族としての相続のひとつとしての引き継ぎ方や整理のしかたなど、デジタル遺品のいろいろな問題点について掘り下げて説明されている本でした。生前からデジタル資産を自ら整理しておくことの大切さも痛感しました。この本を読むと、デジタルデータが保存されているスマホやパソコンやタブレットや外付けハードディスクやUSBメモリーの本体だけでなく、それぞれ保存されたデータそのもの、たとえば、具体的には、写真や動画、音楽ファイル、ワードやエクセルなどの文書ファイル、インストールしたアプリや操作履歴、送受信済のメールなどもデジタル遺品ということや、インターネット社会の中に存在する、たとえば、フェィスブックやLINE、ツィッターといったSNS上にある自分のページにアップロードした書き込みや写真、そのほかのオンラインステージに保存しているあらゆるファイル、そしてそれを使うための権利(アカウント)そのもの、〇○ペイ、ブログやホームページなどもすべてがデジタル遺品だということを再認識しました。このほか、ネット銀行やオンライン証券会社の口座、有価証券などもデジタル遺品に含まれているということでした。遺族が故人が遺したデジタル資産とその中に保存されている思い出をアカウントやパスワードを知らないときに、どのようにしたらアクセスでき、確かめることができるのかとか、故人が遺されたスマホのアップルのiPhoneを10回連続してパスコードを入力したら工場出荷時のに初期化されてしまうという事例など知らなかったこともたくさん紹介されていて、役に立ちました。今後、増々デジタル遺品が増えていくであろうと想像される世の中なので、デジタル遺品回りの環境が財産関連の環境だけでなく、思い出関連の環境も整えられていくことを望みたいです。このブログも自分が亡くなったらすぐには削除されなくても、いつかは消えていくものであるということなんだとしみじみ思いました。新聞の書評に掲載されていたのを見つけ、図書館で予約して借りて電車の中で読み終えた本でした。