TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

浅田家!

2021年05月08日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りてきた映画『浅田家!』を観賞しました。この映画は家族を撮り続けた写真家浅田政志さんを主人公に彼を支え続けた家族を温かくユーモアたっぷりに描き、写真家として「家族」を撮り続ける人生を通して、家族の力、写真の力を描いた、実話をもとにした映画でした。「浅田家!」の写真集は以前いた職場にあり、読んだことがあったので少しだけ知っていました。子どもの頃から写真好きの父親の影響を受け、自身も写真を撮影するのが大好きだった、主人公・政志(二宮和也さん)が写真の専門学校の卒業の課題として、一生に後1枚しか写真が撮れなかったら何を撮影するかという問題に直面し、彼の家族がなりたかったものを彼の家族を巻き込みながら、消防士、レーサー、極道、ラーメン屋など、いろいろなシチュエーションを上手に構築しながら、家族と一緒にコスプレしたユニークな家族写真を世に送り出したことから始まるストーリーでした。弟・政志のために、消防車を用意したり、レーシングカーを用意したりしながら献身的に協力する兄幸宏(妻夫木聡さん)が常に支え続けて行く様子や看護師であるお母さん(吹雪ジュンさん)の逞しさ、お母さんを助けていつも家事をしているお父さん(平田満さん)のほのぼのした温もり、その家族の皆さんしわからないような家族史が垣間見れる家の中にあるいろいろなユニークな物たちの存在など、世界中でたったひとつしかない一家族を構成している家族にとっての掛け替えのない諸々の大切なものは世界中のどの家族にも当てはまらないような独特の大切なものであるという普遍的な事実が描かれているような映画でした。

浅田家の家族写真を収集した「浅田家!」の写真集が注目を浴びる木村伊兵衛賞を獲り、要望があれば、全国に家族写真を撮りに行く仕事が増え出した頃、東日本大震災が起こり、政志は以前家族写真を撮影したある家族の安否を案じて被災地に向かい、家族や家を失った人々の姿を見、シャッターを押す気持ちになれないでいました。その被災地の一角で、津波で泥だらけになったたくさんの家族写真の洗浄をしながら家族に返却するボランティア活動をしていた大学院生に出会い、その活動に参加するようになります。流されてしまった写真を見つけて嬉しそうに帰って行く人々の笑顔を見ながら、家族写真を撮影できなくなってしまった政志の心に変化が起きて行きます。

「人が補ったものを補助するのはきっと記憶だけではなく、その記憶を確かなものにしてくれるのが写真であって、写真は思い出を残すだけではなく、その写真が今を生きる力になる。」と政志が語っていたシーンがありました。写真の持つ力を信じて活動を再開していく政志の心の変化と力強さがとても印象に残りました。

人は、その期間が、短くても長くても、家族に支えられていること、また、家族だけではない、いろいろな人々に支えられて生きているということを暗に教えてくれているような映画でした。

最近は、スマホでの写真撮影される方々が多い時代なのですが、この映画を観ると、カメラで写真を撮影するというシーンがたくさん出てきていて、スマホでなく、カメラで撮影するということ自体が意味がある大切なものに繋がっていることもあるんだろうなあと思いました。また、確かに、写真が持っている力は信じることができるし、大きいなあと思った映画でした。後1枚しか撮影できない写真を撮影するとしたら、その人にとって一番大事なものを撮影するということ、それが、生きる上での一番大事だと思っていることだったりするということなのだろうなあと思いながら見終えました。

コメント
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