50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

昨日思い描いていた男を、理恵は・・・

2015-06-16 19:52:57 | 小説
昨日思い描いていた男を、理恵は何となく脳裏でくりかえした。デッキにでると電車を離れると、あの世界をどこかに引きずっていなければ心細いのだった。敏彦を引きずっていくことを胸に念を押す理恵で、咳を一つしながら宇礼市に降り立っていったのだ。深紅のバラの紙袋を股の前にし、人待ち顔を意識して佇んでいる。

(つづく)


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