つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ・あれから、1年

2012-03-19 15:31:24 | エッセイ

エッセイ 課題 【あれから一年・東日本大震災】

あれから、一年

「もう一年なんですね」、「あれから一年たったよ」、こんな言葉があちこちで聞か
れる。

東日本大震災から一年たったが、テレビや新聞の報道は、目にする度に心が凍
りつく。

災害に遭われた人をどう支えたらいいのか、自分が試されているような気持ちが、
今も、いつもしている。
離れたところに住んで、体力もない私は、現地に行ってボ
ランティアをと言っても
邪魔なだけだろう。
出来ることは少しの募金と、復興にか
かる税金を、どうぞお使い下さいと、政治家
の背中を押すことぐらいしかできない。

災害の跡、大きな病院や公共施設と思われる鉄筋の建物は残っていた。
あれがもう少し高かったら、随分変わっていただろうと残念で仕方がない。

「津波が来たら高いところに」、誰でも知っている。
それを考える時、津波で周りが
水浸しになっても、救援活動ができる広い屋上を
もつ、公団の建物のようなものを
沢山造ったらどうだろうか。

地震も津波も突然来る。地震に壊れにくい頑丈な建物、大きな津波からでも身を
守れる高い建物、不意を突かれても、すぐに逃げ込めるところを、早急にはじめて
ほしい。

テレビで男性が話していた。
あの時、津波が来ると聞いたので、2階に上がった。

外を見ると、濁流が窓近くに来たので、お父さんを3階に引っ張り上げる間もなく、
2階に水があふれた。そして3階にも水が上がってくる。
窓から表を見ると、真っ
黒な渦が凄い勢いで近づいてきた。
「あ~もう駄目だ」と、観念したという。

だが、突然水の向きが変わり、引いていった。
道路を水路にしていた流れが、交
差点のまわりで急に変化したのが幸いしたの
だろうと、その模様を話し、最後に、
「まるで、魂が抜かれるようだった」と言った。

人間、そんな思いは一生のうちに何度もあるものではない。その言葉が、私は忘
れられない。

 

コメント
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